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まとめ|短編小説集

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お題だったり、思いつきだったり。とにかく単発ものの短編を集めたもの。長編の種となるものも混ざっているかもしれない。
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記事一覧

月がいっとう輝く瞬間|掌編小説

 御伽話のような出会いをした親友の、あの言葉がずっと忘れられずにいる。 「この世界が美し…

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はろうぃん・ないと|童話風小説

 今年も夜の街にハロウィンがやってきた。  ほら、綺麗な薄黄色の満月が歓迎しているよ。  …

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月のめくり時|掌編小説

「ピピピ。月めくりの時期が近づいてきました。忘れないうちに捲ることをお勧めいたします。」…

42

芽生えの奇跡|掌編小説

 初めて互いを目にした時、二人はゆるりと肺を膨らませた。目を奪われた。そういった方が正し…

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抜いた歯の行方|短編小説

※注意書き ほん怖などのような、スレッド形式のホラー小説に挑戦した際の過去作です。初めて…

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青い止まり木|140字小説まとめ

過去に某青い鳥のSNSで、細々と投稿した、140字小説たちのまとめです。 途絶えない来客  う…

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最後の本屋|掌編小説

 大いなる自然は人が作った物を憤怒で囲っている。都会を都会たらしめる、速やかで流動的な生活の面影はもう無い。自然の怒りをさらに遠くへと運ぶ風。それ以外の全ては静止してしまっている。  しかし、人類とは自然と共に生まれたもの。この世界が巡る限り、簡単には見放されるようなものではない。生き残りはいる。ただ、いつまで持つかは誰にも分かりえまい。  生存者たちは、残った建物への入り口を通るために、絡まった枝葉を破いて進む。自然は、この試練をさらに困難なものにしようと模索しているか

ガラス瓶に詰めたもの|掌編小説

 真っ白な正方形の紙が一枚。まさしく掌サイズと形容するのにふさわしい。ふわりと軽く、ざら…

愚痴錠剤|ショートショート集

 醜い感情に共感してもらうには、美しく書き表して提示しないといけない。では、醜い感情を醜…

掌編小説|執着心をほどほどに。

 僕は今までの人生、何かに対して執着心を抱くことがなかった。よく遊んでいたおもちゃ、よく…

狂い咲く|掌編小説

 桜の木の下には何も埋まっていない。埋まってなんかいないんだ。  桜たちは、春を懸命に生…

撫でる魔法使い|短編小説

  大好きなお婆ちゃんが亡くなった。白寿手前の九十八歳。長年暮らしてきた家の縁側で、穏や…

ずっとお友達|掌編小説

 私の役目は、あなたの隣にいることだった。静かにお話を聞いてくれる友達が欲しかったとき、…

与えられた最期|掌編小説

 「永遠は祝福などではない」と誰かが言った。「終わりを乞うようになるだけだ」と。  「贅沢なことを言うのだな。それで、待った甲斐はあったのか」とまた誰かが問う。  「大いにあった」と初めに話した者が答える。「永遠を彷徨う同士よ、この機会に感謝する。それと同時に、まだまだ先の見えない終わりを持つ其方を、ワタシは憐れむよ」と続けた。  「私の使命であり、理由でもある。だから憐れむ必要はない。どうしても憐れみたいと言うのであれば、遠縁の命を断つ役目を負わされたことを憐れめ」最初に問