チェルシー

18-19プレミアリーグ7節 チェルシーvsリバプール「次の段階に進むためには」

プレミアリーグ7節、チェルシーvsリバプール戦は1-1の引き分けに終わりました。

両チームのフォーメーションはこちらです。


この試合は、Twitterの予告通り、「チーム全体としての試合の狙い」にフォーカスして書こうと思いますが、個人のことも多少は触れたいと思います。それ以外の個人の判断や技術の部分については、時間があれば動画編集してTwitter(@avante_fronta)で解説しようかと思います!

本日は以下について書きます!


①リパポが狙ってきたチェルシーの構造的欠陥と、チェルシーの対応。
②7節終えて5勝2分け。ここまでチェルシーが勝てている理由
③期待したいサブメンバーの底上げ

です!


①リパポが狙ってきたチェルシーの構造的欠陥と、チェルシーの対応。


リバプールの守備の狙いは、まずはジョルジーニョを止めること。フィルミーノがチェルシーのCBがボールを保持しているときに、常に首を振ってジョルジーニョの位置を確認してパスコースに入っていました。また、パスが入ってもヘンダーソンがジョルジーニョを監視していたので、ジョルジーニョが簡単にボールを受けて縦パスを通すシーンは皆無でした。

この試合で輝いたのは、コバチッチです。ジョルジーニョのコースを消されたときに、コバチッチはヘンダーソンの脇にポジションを取ったり、ジョルジーニョが厳しい時には並列まで落ちて組み立てを助けていました。それ以外にも運ぶドリブルで陣地を回復するプレーや、タイミングよく相手DFにフリーランで入っていくプレーもありました。

アシストのシーンは、ヘンダーソンがプレスに来ている矢印と、元々ヘンダーソンがいたスペースが空いていることを同時に認知してワンツーを選択。抜け出したアザールに完璧なスルーパス。ジョルジーニョがマークされ、ジルーが完璧に抑えられてアザールが自由に前を向かせてもらえない試合でも、コバチッチで攻撃出来てしまうチェルシーの怖さを思い知りました。

そして、コバチッチにパスを供給していたのは、ダビド・ルイス。

https://twitter.com/tam_futbol/status/1046551081319161856?s=21

Twitterでも取り上げましたが、「なんでも出来る置き位置」が分かっているので、相手を直前まで見てプレーを判断出来ます。この動画ではロングボールにフォーカスされていますが、他のシーンでも相手のDFとMFの場所と矢印をしっかり観察して、その都度ボールを入れる場所を変えています。アザールの得点も、アーノルドが自ら守るスペースを空けてアザールにプレスをかけさせるために、縦パスを意図的に入れたのはダビド・ルイスです。 彼はチェルシーの攻撃を握る重要な技術を持っています。

また、アザールに対して絞ったSBが持ち場を空けてプレッシャーをかけてきたのは、ウェストハム戦でも同様でした。その試合での課題を次の試合で解決してしまう選手の改善スピードの速さには驚かされます。


また、リバプールが攻撃時に狙ってきたのは2つのスペースです。

1.ボールを奪った瞬間の、アロンソの裏のスペース(サラーが攻め残っている)
2.ジョルジーニョの背中と、ダビドルイスとリュディガーの間に生まれるスペース

1に関しては毎試合狙われる部分であるので、今回は他チームが狙ってこない2のスペースについての2つの対策を書きたいと思います。

1つめの対策は、442にオーガナイズを変更することです。このオーガナイズに変更するのは、相手がDFからビルドアップをするときです。433の泣き所であるジョルジーニョの脇のスペースをマネフィルミーノサラーに使われることが嫌だったので、カンテとジョルジーニョで真ん中を塞ぎました。さらに相手CBに関してはジルーに加えてコバチッチと、たまにアザールの2枚でプレッシャーをかけて攻撃をサイドに追いやりました。後ろからのビルドアップから真ん中を使われたシーンは、この試合はさほど見受けられなかったと思います。

2つ目の対策は、カンテです。笑
対策というか、もう、カンテって感じです。笑
ジョルジーニョはビルドアップ時、ヘンダーソンのパスコースをやらせないというタスクがあり、ルイスはサラーに食いつき過ぎてしまうことが多かったので、2.のスペースは空いていました。

今までのチームは、そこのスペースに入り込める選手や、そこにボールを供給できる選手がいなかったのですが、さすがはリバプール、フィルミーノがサラーと巧みにポジションチェンジしたり、アーノルドからの斜めのパスを使いながら空いたスペースをガンガン突いてきます。前節のレビューで、「リバプール戦はチェルシーの守備の欠陥が露わになる」ようなことを書きましたが、まさにそのような展開となりました。

しかし、私はカンテの力を甘く見ていたようです。サラーにスペースでボールを受けられても、素早いスライドで真ん中のスペースを埋めてシュートやマネ、フィルミーノへのパスコースを遮断していました。こればっかりはカンテの凄まじい運動量を称えるしかありません。ウィリアンとアザールが自由に動き、守備のタスクも明確でない中で、サイドの守備も出ていかなければいけないのに、中のスペースを埋めるために戻ってこられる。そんなカンテの存在価値を改めて示した試合でした。

②7節終えて5勝2分け。ここまでチェルシーが勝てている理由


私のレビューを読んでくださっている方はお気づきかもしれませんが、現在チェルシーが勝てている理由は間違いなく各選手のサッカーのうまさと、サッリが選手の強み弱みを握って、自分の戦術と組み合わせた時に何が起こるかを的確にイメージできたことです。サッリの戦術を一言で表現すると、「シンプルにゴールにボールを近づける」です。ボールを持つ目的も、ゴールに近づくため。奪われた後激しいプレッシングをする目的も、ゴールにボールを近づけるためだと思います。

そのためには縦パスを躊躇なく通せる選手が中央に必要なので、CBはダビド・ルイスとリュディガー、アンカーにはジョルジーニョを獲得して起用しています。しかし、ダビド・ルイスは場所を空けてしまうことがあるのと、ジョルジーニョがさほど守備範囲が広くない点から、CBの間とアンカー周りのスペースが危険であるため、そこを埋める職人のカンテの強みでカバーしています。

また、縦パスを受けてゴールへ素早く向かう選手も必要です。当初は抜け出しの上手いモラタを起用していました。ところが、アザールとペドロ(ウィリアン)が中央でシュートが打てる位置で前向きでボールを受けることが出来ずにチームとしてゴールへ向かう回数が少ないため、壁役のジルーを起用してシャドー2人のシュートチャンスを増やしました。その結果、アザールは得点量産体制に入り、ペドロウィリアンも得点を奪うことが出来るようになりました。

そして、アザールを止めるために相手チームはジョルジーニョにボールを触らせない守り方を当たり前のようにしてくるようになりました。そこに関しては、ジョルジーニョに人が集まって空いたスペースをコバチッチが利用してボールを受けて、運びと縦パスのタスクを担ってアザールジルーにボールを供給してきました。


こんな風にして、サッリ自身の戦術と現状の選手の強み・弱みをうまく組み合わせて勝ち点を積み上げているのが7節までのチェルシーが勝てている要因だと思います。

③期待したいサブメンバーの底上げ


現状のメンバーで出来ることが明確になっている今だからこそ、出場機会の少ない選手はもっと自分の強みをアピールして、スタメンを奪取してほしいです。

誰がどう活躍してほしいというようなことは言いません。ただ、今後必要になってくる選手の特徴は、

1.サイドで縦の推進力を持ってボールを運べる選手。
2.相手の逆をとって、DFの間でボールを受けるのが上手い選手
3.斜めの動きでDFラインの裏に抜ける動きを繰り返せる選手
4.斜めの速い中距離パスを何本も通せるSB

このような選手が、今後戦っていく上で必要になると思います。スタートダッシュに成功したチェルシーが、今後研究してくる相手に対してどう戦っていくのか期待したいです。

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