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追憶~冷たい太陽、伸びる月~

  • 探し求める者

  • 第41話 無自覚の畏怖

 潮のしっとりとした香りから一変、冷気と瑞々しい木の葉の歓喜がPansyと承和を包んだ。

 親子熊が見えると、承和は足の指を最大限に開いた。

「嘘でしょ」

 画具を抱えたままでは、宙返りもままならない。

 親子熊が次第に大きく見えるばかりで、Pansyは中途半端に両ひざを折った。

 無数の小枝が粉々になり、落ち葉が地面から舞い上がった。

 二頭の唾液からは空腹の臭いを感じ取っていたが、Pansyと目が合うと二頭が震えだした。

 子熊は空をも見上げて尻もちをついた。親熊は子熊のうなじを噛み、小枝を折りながら離れていった。

 Pansyが呆然としている間に、承和は上空から姿を消していた。

「何あの鳥……せめてトイレのあるところまで連れてってくれてもよかったじゃん」

 Pansyは木の密集ポイントを見つけると、その中に飛び込んだ。

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