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追憶~冷たい太陽、伸びる月~

  • 杜を巡る旅②

  • 第22話 2020年12月―灼熱の裏側①

 南米杜のトビヒ族はどの杜の同胞よりも明るく、瑚子を当然のように受け入れた。

「女王サマ、もっと笑って! せっかく可愛い顔しているんだから」

 杜に咲く花を加工したヘア・アクセサリーを使って、瑚子の髪を整え始めた。それも無断で。

 綿で編んだ衣服にも着替えさせられ、女性たちの玩具化した。

 男性のトビヒ族と本来の姿は円を模して踊り始めた。女性たちも瑚子の腕を引き促した。

「女王サマはステップ向きの脚だが、リズムはまだまだだな。お役目は忙しいのか? 踊る余裕もないほど」

 利矢の臣下が杜の外部で控えているため、トビヒ族の歓迎を止める者はいない。

「いやぁ、空を見上げたらハナサキ族が三体も飛んでいたモンで驚いたが……女王サマが従えていたとなれば話は別よ! トビヒ族の未来は明るいってこった!」

 男性の中でも筋肉が盛り上がった一体が瑚子の背中を叩いた。

「親父、女王サマが骨折するだろ。こんなに華奢なんだぞ」

 より長身で筋肉の締まった男性が父親の肩を軽く叩いた。

「悪かったな、女王サマ。親父の性格は俺が保証する。ハナサキ族一体分でもガサツさが改善されたらの話だけどよ」

「ロン、結局俺を全否定しているじゃねぇか」

 ロンと呼ばれた男性は口腔を露わにして笑った。

「女王サマ、これが倅せがれのロナルド。俺も皆もロンと呼んでいる。この杜のことなりハナサキ族退治なり、ロンに何でも言ってくれ」

「分かった。早速だがロナルド、詳しく聞きたいことがある。腰かけて話せる場所はあるか」

 瑚子の指名に、ロナルドは喜んだ。陽気さと軽快さが増し、瑚子をエスコートした。

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