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わたしの推しはメディアに媚びない

かねてから応援している青森山田高校が決勝進出を決めた。今大会の注目、キャプテンの松木玖生選手。一昨年・昨年は決勝の場で涙を呑んだ、彼の優勝する姿を今年こそは見たくて追いかけている。


彼は一年生の頃から名門・青森山田で活躍してきた。高校生とは思えないメンタルやしっかりとした考え、言語化する力には脱帽する。


準決勝後のヒーローインタビューでは、6-0という大勝利後にも関わらず、優勝だけを見据え淡々と話した。
(なんだかインタビュアーと噛み合っていなかったが笑、)何かほかに特別な想いがあったのでは?と問われ「特にありません」とバッサリ。

恐らく7日に亡くなった小嶺監督や、準決勝辞退をした関東第一高校への“感動的な”想いを引き出したかったのだろうが、メディアの期待には応えない姿勢の松木くん。



時は遡り、2019年の97回大会。わたしは流経大柏のキャプテン関川郁万くんのリベンジに向け応援していた。


流経大柏も準決勝で5-0という大勝利を収め、関川くんもまた優勝だけを見据えていた。ヒーローインタビューにて、この場所に特別な想いがあったのでは?などと問われ「埼スタでもフクアリでも関係ない、とりあえずゴールを決められてよかった」とアッサリ答えた。

恐らく、一年前に悔しい想いをした場所・埼玉スタジアムでのリベンジ…というドラマチックな話を引き出したかったのだろう。彼もまた、メディアが期待しているような話はしない。どうしても松木くんと重なった。



わたしはメディアに媚びない漢が好きみたいだ。

ちなみに言うと、松木くんは準決勝でゴールを決めた後に喪章を掲げていた。青森山田高校は、小嶺監督が記録を作った国見高校のあとに続こうとしている。黒田剛監督を含め青森山田の選手として、小嶺監督へのリスペクトから喪章を掲げたのだというのは明らかだ。



高校サッカー選手権大会の、「高校生とメディアの関係」にはいつも考えさせられる。
わたしは、高校生がメディアを通して人気を得る必要はないと思う。現状の学校スポーツ中継は、高校生が応援してもらっても高校生が得をする構造にはなっていないからだ。

ただスポーツに一生懸命打ち込む高校生が、メディアが望む答えを予想して受け応える必要なんてないし、世間に媚を売る必要はない。


これがプロスポーツになると、チケットやグッズ収入が主になり、選手にはファンを呼び込む人気が必要で、自身のブランディングや見せ方などに気を配る。チームや外部コンサルなどの手を借りながら取り組んでいくのだろう。でもそれは例え内定が決まっていても、プロになってからでいいだろう。



高校生の受け答えについて「生意気だ」などと、なぜか国民から応援されるような振る舞いを期待する批評はお門違いだ。

また、メディアの「お涙頂戴」を批判することもお門違いだ。メディアにはメディアの仕事がある。
(逆にバッサリ斬る松木くんや関川くんに痺れ、メディアに釘付けになる我々高校サッカーファンがいるのは矛盾しているようで面白い笑)



常々肝に銘じなければならないのは、わたしたち高校サッカーファンは3年間一生懸命スポーツに取り組んできた高校生の物語を見せてもらっている。

彼らはファンや視聴者のためにサッカーをしているわけではない。改めて、高校サッカーに取り組む高校生たちへの敬意を忘れてはならないと思う。




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