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【米国株】調整相場の頻度、そしてタブー

調整相場とは株価の下落局面ことを指します。
そして調整相場には1桁%の小さなものから20%を超える大きなものがあります。

下の図はSP500の下落幅ごとの頻度を表したものです。

https://www.carsongroup.com/insights/blog/volatility-is-the-toll-we-pay/

1950年〜2022年までのデータによれば、3%の下落は1年に7.3回、5%の下落は1年に3.4回発生します。更に、10%の下落は1年に1.1回、20%の下落は3年に1回発生するとされています。以下にまとめると、

3%の下落
1年において約7.3回発生。これは比較的頻繁に発生する小さな価格変動です。

5%の下落
1年において約3.4回発生。これも年に数回は見られる通常の価格変動です。

10%の下落
1年において約1.1回発生。これは年に1回程度、市場が大きな不安や懸念に見舞われることを示しています。

15%の下落
1.5年に1回発生。これは市場が過熱し、価格が調整されることを示しています。

20%の下落 (ベアマーケット)
3年に1回発生。これは長期的な価格下落トレンド、すなわちベアマーケットを指します。

10%超える下落では何かしらの「もしこうなってしまったら非常にマズイ、市場にショックが走るのでは?」と投資家が懸念する何かがある時、引き起こされるものだという印象です。

最近起きた10%の調整は、
2020年9月 -10.71%(大統領選挙)
2023年3月 -9.25%(シリコンバレー銀行破綻)
2023年9月 -12.07%(利上げ懸念・イスラエル紛争)

でした。どれも、◯◯になったらどうしよう、と投資家が懸念するような材料ですが、景気に深刻なダメージ与えるような材料ではありません。深く考えれば、いずれ直ぐに株価は戻ってくるなと思える材料でした。

20%以上の大きな下落は景気後退を深刻に懸念する材料が関係している印象です。

2020年1-3月 -35.4%(コロナショック)
2022年1-10月 -27.5%(ハイパーインフレ・連続大幅利上げ)

以上のような大きな調整はまともに食らうと厳しいです。一方で、年に何回かやってくる小さな調整でも、投資家の命を奪うには十分だと考えます。最後に調整相場でやってはいけないことについて書きます。

規模はどうであれ、調整相場でやってはいけないことは、少し株価がグイッと上がったからといって「そろそろ調整は終わりでは?」と買ってしまうこと、そして買った次の日に株価がガクンと下がって狼狽売りすること、これを繰り返して複利で損がかさんで資産を減らしていくことです。

小さな調整でも個別株によって10%以上の大きな調整となることは少なくありません。特に個人投資家が好む小型グロース株やIPO株といったボラティリティの大きな株は平気で1日で3-5%程度は動きます。

そのような株ばっかり上がった時に買って、少し下がった時に狼狽売りしてを繰り返しては急速に資産を減らしてしまうのです。

ですから、この株価の調整はベアマーケットではなく一時的なものだという判断があるならば、下手に売り買いせずに耐えてやり過ごすと決めるか、そろそろ調整が来そうだなと思ったころに少し利食いして、ある程度下がったところで買い直して放置するかです。

後者のやり方では調整が来そうだと判断できること、どのような懸念を投資家は持っているか判断できること、その懸念はどの程度の期間で消化されるのか、またその懸念を上書きするような好材料はいつやって来るのかが判断できること、が求められます。

そして何よりも買いたいという誘惑に抗い、規律を持って買い場と判断できる状況が来るまで待つことができる忍耐がなければいけません。

中途半端に売り買いを繰り返すことが一番危ないのです。

調整相場は次の上昇相場で大きな儲けを得るためのチャンスを待つ期間です。ほとんどの投資家は買いの誘惑に駆られて資産を浪費していきます。そういう人たちと同じ「もう我慢できない、そろそろ買いたい、株価が上昇している、これは反転のサインに違いない(無根拠)、買いだ!」という楽な思考回路では儲けられません。

これは一時的な調整だと判断して耐えること(一時的ではないという判断なら逃げなければなりませんが)、買いの誘惑に耐えて、買い場と判断できる状況が来たら出動すること。どちらも中々できない難しいことです。そういうことができる投資家が儲け続けることができる投資家だと思います。



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