【ドル円】自民党新総裁に石破氏、金融市場はどうなる?
9月27日に自民党総裁選が実施され、石破氏が決選投票にて高市氏を破り自民党新総裁に選出されました。為替と日経平均は一回目の投票にて高市氏が獲得ポイントにおいて一位となったことで、高市氏勝利を織り込み株高・円安に振れました。しかし、決選投票にて石破氏勝利が伝えられると、一気に揺り戻しが進み、円高・日経平均安となっています。
石破氏は日銀の追加利上げに前向きであり、金融所得課税の強化にも賛成の立場をとっています。日本株のマーケット関係者はこれを嫌気していると思われます。
しかし、市場関係者はこのニュースを過大評価していると感じます。日本は議会制民主主義の国であり、首相は議会に配慮しなければ物事は進みません。決戦投票の票の出方は、有効票は409票で石破氏が国会議員票189票、都道府県票26票のあわせて215票、高市氏が国会議員票173票、都道府県票21票のあわせて194票でした。総数でも、国会議員票でも僅差です。ゆえに石破氏の基盤は盤石ではありません。国会議員の中には金融所得課税強化には難色を示す議員が多く、当初これを掲げていた岸田首相も実現できませんでした。
積み立てNISAなど貯蓄から投資への流れが進み、現在、金融所得課税への世論の賛成は少ないです。金融所得課税、強化反対45% 解雇規制「緩和を」4割強 日経世論調査 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
この状況で金融所得課税の議論が進むとは考えにくいと思われます。1年後、2年後には話題になっていないと思います。
日銀の追加利上げに関しては、首相が直接関与できる分野ではありません。決定権は日銀にあります。そして、日銀は首相の考え方ではなく、日本経済、世界経済、物価見通し、賃金の見通しをみて金融政策を判断すると思います。いくら首相が利上げに前向きでも、経済が悪ければ利上げはできませんし、マーケットが荒れていても利上げはできません。
また、金利の動かす幅は日銀よりもFRBのほうが遥かに大きいため、依然として為替変動の主要因は米国であるということを忘れてはいけないと思います。
目先、先走る市場が過剰に石破リスクを織り込みにいくかもしれません。しかし、中長期では米国の材料によって為替は決まってくると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?