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#15 上嶋醤油

こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第15弾は長野県松本市にある『上嶋(かみしま)醤油』さんを訪問し、4代目山口さんと奥様にお話を伺いました。

上嶋醤油は創業120年の歴史のある蔵元さんで、木桶を使用した天然醸造醤油を製造しています。

地元松本産の小麦と大北農協の大豆、原塩を使用しており、製造した醤油は瓶で販売されています。

上嶋醤油さんの醤油

上嶋醤油の醤油作り

上嶋醤油では、糀作りに3日かけています。麹菌の一つであるオリゼ※のプロテアーゼ活性を高める30℃~40℃の温度を維持しているそうです。プロテアーゼ活性が高まることで、酵素のはたらきによりタンパク質のアミノ酸への分解が進みます。また、30℃~40℃はアミラーゼ活性にも適した温度であり、デンプンを糖に分解するはたらきも促進されます。

オリゼ・・・アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)。ニホンコウジカビの学名の略称。ニホンコウジカビは麹・糀をつくるために使われる日本特有の麹菌。国菌に指定されている。

糀作りの一番返しは米の水分量が多く、重労働なため、山口さんの祖母も手伝うそうです。糀が完成したら、もろみを作ります。その際の糀を桶に移す作業も大変だそうです。ご夫婦がバケツリレーで約40往復して約600kgの糀をはこびいれるとのこと。1:1の大豆と米に食塩水を加え、攪拌し、もろみがつくられます。

糀室と運搬用バケツ

桶に移した後は、もろみに酸素を送るためにかい棒でかき混ぜます。もろみには秋仕込みと春仕込みがありますが、夏を越すことで酵母が生育します。夏を過ぎると、アミノ酸と糖が反応して褐色物質や様々な香気成分を生成するメイラード反応により色が黒くなります。

熟成されたもろみ

完成したもろみはポンプで運び、袋で絞りますが、この時、もろみの上部にたまった油が酸化することで醤油が劣化してしまいます。劣化を防ぐために油を分離します。

左奥が圧搾の機械、右手前が油分を分離する桶

絞った後、2日置いた後に浮き出る上澄みを82℃で熱殺菌して酵素を失活させ発酵を止めた後、78℃以上にしてアルコールを飛ばします。最近は、もろみを搾った後、加熱処理をしない生揚げ醤油が流行っていますが、上嶋醬油では火入れをして味を調えます。最後にメイラード反応による色の変化を止めるために急冷し、完成です。

充填やラベル貼りもご自身の手作業で行っています。瓶は重く、蓋も開けにくく、扱いづらい面もありますが、ずっと瓶にこだわり続けてきた理由は、ゴミを
減らし環境に配慮したいからとのことでした。

充填作業場

試食

奥様のご好意で、3種類の醤油を比較して試食させていただきました。

左は最も多くもろみを使用したもので、右に行くほど使用される量は減っています。一番右は色を黒くするためにカラメルを使用したものです。
左の醤油が最も香織が華やかで深みのある味わいで美味しいと感じました。一方、
右の醤油は香りが弱く塩味が尖って強く感じました。
製法違いの醤油を比較でき、貴重な体験をさせて頂きました。

比較した3種の醤油

穏やかなご主人がと元気な奥様は本当に親切で素敵な蔵元さんでした。
松本を訪れた際は、ぜひ上嶋醤油さんのお二人に会いに、そして美味しい木桶のお醤油を買いに、足を運んでみてください♪

それではまた次の記事でお会いしましょう!

文責:むーみん

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