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#22 【レポート】寺田本家蔵見学

こんにちは。

be-en代表のゆうかです。

今回は、3月11日(土)に参加した「寺田本家」の蔵見学会のレポートをお伝えします!

寺田本家入り口


千葉県神崎町神崎本宿にある寺田本家は、創業から今年で350年を迎える酒屋です。蔵の裏山には神崎神社があり、見学会開始まで時間があったので、お参りをしました。

神崎神社
神崎神社

1.  寺田本家の説明

入口の販売所で受付を済ませ、見学会開始まで蔵の中にある待合室でお茶をいただきながら、見学会開始をまちました。

待合室となっていた蔵

見学会開始の時間となり、蔵人さんから寺田本家の歴史や酒造りに関してお話を伺いました。

寺田本家では、先代23代目寺田啓佐さんが病に倒れたことをきっかけに、「百薬の長たる酒」という原点回帰の酒造りを始められたそうです。
以来、微生物と共に歩み、土地の恵みを活かした酒造りに取り組まれています。
仕込み水には神崎神社の御神水(湧水)を使用し、お米は地元の契約農家や自社田で育った全量無農薬米を使用されているそうです。
自社田では、春の田植え会、初夏の草取り会、秋の稲刈り会と、大人から子どもまでたくさんの方が関わって作られているそうです。

23代目の寺田本家での取り組みは「発酵道」という書籍で詳しく綴られています。
ご興味のある方はぜひご一読ください!

2.  蔵見学

蔵人さんからお話しを聞いた後は、実際に蔵を回って、酒造りの工程をご説明いただきました。

①洗米・浸漬・蒸す


浸漬では、使用する米の種類や生産者によって、吸水具合が変わるため、吸水時間を調整されているそうです。米の水分量によって蒸し上がりの状態から、麹菌のはぜ込み具合や醪中での溶け方に影響するため、とても大切な作業とのこと。

木製の蒸し釜て米を蒸しあげ、小さな木だるに取り出して運び、蒸米を冷まします。

蒸し釜

②麹造り


40度まで冷ました蒸米をすぐさま麹室へ運びいれ、黄麹菌を植えつけます。

麹室入り口
麹菌


以前は、麹屋さん(もやしやさん)から菌を購入していたそうですが、現在は、蔵内にすむ蔵付き麹菌を自家培養して使用されているとのこと。
微生物にとって快適な環境にするために、麹室には、天井・壁・床に炭の粉が敷き詰められてるそうです。
約3日かけて温度調整をしながら麹が作られます。
味見させていただき、米の甘味をしっかり感じました。

出来上がった麹

③生酛造り

半切り桶に仕込み水、蒸米、麹を入れ、前日の夕方から翌朝まで交代で手酛(均一に混ぜる)作業が行われます。さらに、蒸米・麹を摺りつぶす山卸(酛摺り)が行われます。山卸では、蔵人たちは作業時間をはかり、息を合わせるために、そして、唄を通じて菌たちを楽しませるために、酛摺り唄が唄われるそうです。
寺田本家は兵庫県の灘の地域の蔵の分家であり、酛摺り唄は灘の唄をリメイクしたものとのことでした。

酛摺り唄は15番まであり、今回の見学会では2番を唄っていただきましので、是非、下記よりご視聴ください👂


④酒母造り

山卸(酛摺り)作業のあとは、小さなタンクに移し、1月ほどかけて酒母が造られます。酒母室は室温が低く、肌寒く感じ、お酒の甘い香りとアルコールのツンとした香りが漂い、どこか神聖な場所に感じました。

④もろみ造り

大きいタンクに酒母を移し、麹・蒸米・水を加えて、原酒となるもろみを30日以上かけて発酵させます。初添・中添・留添と3回に分けて行う、三段仕込みでもろみが造られ、泡1gに二億の酵母が存在し、その泡はタンク上部まで上がって来るそうです。
もろみの中で、硝酸還元菌が亜硝酸を作り、乳酸菌や乳酸桿菌が乳酸を作り、酵母がアルコールを作り、それぞれの菌が命のバトンを繋いでいくとのこと。日本酒は、さまざまな菌の生きた証であると、改めて実感しました。

立ち並ぶ発酵タンク
発酵タンクの中

⑤上槽

仕込みを終えたもろみは、圧搾して新酒(生原酒)と酒粕に分けられます。しぼりたての生酒はコハク色をしていて、炭酸ガスが残り、麹の香りも強く残っています。その後、生で出すもの以外は、火入れ殺菌が行われます。

3.  日本酒試飲と発酵ごはん

蔵見学を終えて、蔵の隣の杜にある、「カフェうふふ」さんへ案内していただきました。11:30から約2時間かけて丁寧に蔵をご案内いただき、気がつけばお腹がぺこぺこでした。

カフェうふふへ移動の様子


ここで、蔵見学が終了。参加者で「いただきます」をして、日本酒3種の試飲と発酵ごはんをいただき自由解散となりました。※運転手の方は甘酒2種が試飲できます。体に優しく美味しい発酵ランチに大満足でした。

日本酒と甘酒の試飲
発酵ごはん
発酵ごはん献立

4. 感想

寺田本家の見学では、見学者に何の制約もなく、自然でありのままの姿を見せていただきました。

全ての工程で、丁寧にご説明いただき、見て、聞いて、触れて、嗅いで、味わって、五感をフルに使って寺田本家の酒造りを伝えてくださいました。

見学者にも蔵人さんにも納豆を禁止することなく、そのまま麹室や酒母室に入れてくださり、「どんな菌が入ってもその時の味わいを楽しめば良い」と、菌と共生する姿勢がとても印象的でした。

見学後に購入した発芽玄米酒「むすひ」(無濾過生)は、強炭酸で開封に10分ほど要しました。菌の生命力を感じ、蔵の香りが詰まった複雑でなんともいえない美味しさでした。開封後も発酵が進むため、味わいの変化も楽しむことができます。

むすひ

寺田本家の酒造りや酒の魅力は本レポートで伝えきれるはずもなく、是非皆様にも体験していただきたいです!

それではまた、次の記事でお会いしましょう♪

寺田本家のHPはこちら▼


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