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#26 酢屋亀

こんにちは。
be-en 代表のゆうかです。
蔵元巡り第26弾は長野県善光寺の門前町に店を構える酢屋亀さんを訪問しました。
好奇心旺盛な店主の青木茂人さんに色々なお話を伺いました。

ご縁を大切にする店づくり

酢屋亀は明治35年(1902年)に開業し、2021年に創業120周年を迎えました。企業理念は「みそ造り 人づくり 幸せづくり」です。社員、地域、取引先の方を大切にしたいとおっしゃっていました。
中でも、新入社員に対しては「共に学ぶ」姿勢を大切にしているとのこと。実は、元々人を育てる大切さを分かっていなかったと語る青木さん。かつての酢屋亀さんでは、新入社員が入っては辞め、入っては辞め、を繰り返していたそうです。しかし、人を育てることの大切さに気がついてからは、新入社員を手厚くサポートし、学習意欲を高めるような施策を展開しているとのこと。
今後は、息子さんが後を継ぐ予定とのこと。善光寺の御開帳に合わせて、「時代の変化に対応したサービスの向上」をテーマに、本店のリブランディングを計画しているそうです。

酢屋亀のこだわり

商品づくりのモットーは “良い原料で丁寧に作る” こと。
原料は北海道産の国産大豆、長野県のお米、天日塩を使われています。
製法は伝統的な木桶仕込みも行っています。酢屋亀で使用している木桶は6本ありますが、中には創業当時の明治末頃から使い続けており、寿命が近づいているものもあるそうです。

立ち並ぶ木桶

100年ものの桶は、大阪の会社に修理を依頼して修理し、使い続けているとのこと。

100年の木桶

木桶を締めるタガは、本当は竹タガを使いたい、という思いがあるものの、竹タガで造ってくれる職人さんが見つからないことから、ステンレスのバンドを使用しているそうです。

10年の木桶はアメリカ製の水タンク用を使用されています。一寸半(約4.5cm)の厚さで、通常の桶よりかなり厚く、水分量の変化による木の膨張と収縮にも対応できる仕組みになっています。


アメリカ製の水タンクの構造


酢屋亀では5つの “みそ” をコンセプトにしており、今回ご紹介できていない他のこだわりもあるので、ご興味のある方は、ぜひ HP もご覧ください。

発酵食を未来へ

酢屋亀は商品開発を盛んに行っていますが、これまで累積300種類もの商品を開発してきました。
商品展開も豊富で、味噌だけではなく、漬物、調味料、お菓子など幅広いラインナップ。
商品展開のきっかけは通販と東京営業での経験とのこと。先代が通販を始め、口コミで300~400件ほどに販売していたそうです。たまたま、茂人さんが野沢菜も漬けて販売したところ、大盛況となったため、翌年に蕎麦、同年の暮れに信州りんごと製品の幅を広げたそう。
お中元やお歳暮だけでなく、春と秋も購入いただきたいと、春はたくわん、冬は粕漬け通販事業を展開されているそうです。
商品の開発熱は止まらず、来店されるお客様をもてなすために開業した飲食店の開業祝いとして、味噌ソフトを開発。今でも大人気商品で、これまでに3回ほどソフトクリームに混ぜ込む味噌ソースを改良しているそうです。

みそソフトクリーム

味噌の商品開発に対する原動力となっているのは、「発酵食を未来へ残したい」という強い想いです。味噌汁が飲まれなくなり、味噌の消費量が減っていることを危惧し、味噌を日常生活の中でもっと楽しんでいただきたいとの想いから、味噌の商品開発に踏み切りました。
中にはお客様にご購入いただけなかった商品もありますが、新商品の開発に躊躇しない姿勢はこれからも守り続けるそうです。

青木さんの好奇心旺盛で人想いのお人柄が本当に素敵だなと感じました。
お客様に楽しんでいただけるような事業や商品を常に開発し続けましたが、次は息子さんへと引き継いでいかれるそう。

時代とともに変化しつつも、これまでに培ったものを守り抜いていただきたいなぁと思っています。

それでは、また次の記事でお会いしましょう!

文責:むーみん

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