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#03 横浜醤油


こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第二弾は、神奈川県内で唯一醤油を販売している『横浜醤油』さんを訪問しました。


お店の外観

醤油に対する横浜醬油のこだわりと醤油業界の変遷についてお話を伺いました。

横浜醤油の歴史と醤油のこだわり

横浜醤油は昭和12年創業、お兄さんが二代目、現在は弟さんの筒井恭男さんが三代目を継いでいます。

横浜醤油もかつては木桶で醤油を製造していました。今は岐阜にある諸味工場に木桶を移して製造しているそうです。岐阜でやりたいと言ってくださった醤油屋の方がいたそうで、組合で人を呼び込み、岐阜県立協同組合を設立。横浜醤油の作り方をそのまま継承して製造しているそう。

横浜醤油では原料に脱脂大豆を使っていて、蒸した大豆に炒った麦、原塩、麹菌を混ぜて一麹を作ります。(原塩を使用することでミネラル豊富で過度のない塩味が付与されるそうです。)

材料のサンプル

一麹を室で寝かせ麹菌を増殖させます。菌の温度が40度を超えると枯草菌が発達して納豆のようにネバネバし始めてしまうので要注意。
一麹は肥料のような刺激的な香りでしたが、醤油麹は香草のような、革のような香りがしました。
この醤油麹に食塩水を加えて混ぜ合わせたものを「醤油もろみ」と言い、このもろみを10-12ヵ月かけて発酵させます。

この発酵の過程で白っぽい色から、私たちがよく目にする、黒色に変わります。

(ちなみに、大手の製造方法ではカラメルを加えた後、熱を加えて急速発酵させ、3か月で真っ黒にしているところもあるそうです。)

発酵させた後、出来上がったもろみを搾った生揚げ(きあげ)醤油※1 をタンクに詰め、岐阜から横浜醬油に搬送されてきます。

最後の仕上げとして横浜醬油で火入れ殺菌と充填を行っています。

火入殺菌

筒井さんの醤油に対するこだわりや想いは強く、岐阜から搬送されてきた醤油の色と味を見て返したこともあるとか。

話を聞くと、九州醤油を運んだ後、洗浄が不十分なタンクに横浜醤油の醤油を入れて運んでいるようで、味が混ざってしまっているとか。

妥協を許さない姿勢に職人としての矜持が垣間見えます。

※1 生揚げ醤油・・・もろみを搾ったままの熱処理を施す前の醤油。火入れもろ過もしていないため、微生物が生きている状態。一般流通せず、醬油メーカーや加工品メーカーに対して販売される。

※2 オリ・・・未分解のタンパク質などの成分。

蔵元経営の大変さ

現在の醤油企業は中堅企業が20社、組合加入している企業が200社、非組合の企業が300社あります。

かつては駅前に店舗を構える立派な醤油屋が多かったそうですが、今は土地を売ってマンションが建ち、地主になっているとのこと。都市化が進み、蔵の周りにできた住宅街の住民から匂いや音への意見が上がり、一部の土地を手放したそうです。

都心部は税金や土地代が高いため、醤油屋を続けるのは難しく、神奈川県の蔵元は36社から3社のみになっています。
横浜醤油さんの土地も、高齢者のケアセンター設立の依頼があり、一部をお渡ししたと伺いました。

時代の移り変わりと共に、産業も淘汰されていきますが、私は日本が誇る発酵技術が失われていくことは寂しくもったいない、と思っています。同時に、未だ残る技術を守り、後世に継承していく活動を今後も続けていく、という思いを強める機会になりました。

文責:むーみん

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