見出し画像

The Zombies「Odessey and Oracle」(1968)

60年代ソフトロックの最高峰に位置する名盤

ソフトロック系の名盤ガイドブックに必ず載っているのが本作。ジャケがサイケしていて、ずっと敬遠していたのですが、最近ようやく購入しました。これが想像以上にポップス指数が高い・・・。実はここ数日、毎日本作を聴きまくってます^^。それくらい素晴らしい・・・。

本作では⑫「Time of the Season」が最近もCMで使われ、あまりにも有名な曲となってしまいましたが、あの独特のブルージーで怪しげなポップスはむしろ本作では例外な楽曲。
もちろん「Time of the Season」はジャズ風エッセンスを散りばめた超一級品のポップスですが、他の楽曲はビートルズやビーチボーイズ、アソシエイション系ポップスといったものですね。

ダウンロード

ゾンビーズは1961年に結成されたブリティッシュ・ビート系バンド。1964年のデビュー曲「She's Not There」が大ヒットしたものの、その後ヒットは続かず、レコード会社もCBSへ移籍。                  1967年6月よりメンバーのロッド・エージェントとクリス・ホワイトが中心となり、本作のレコーディングを開始。レコーディングはあのアビーロードスタジオを中心に11月まで行われ、1968年4月に本作が発表されます。

実はこのレコーディングの過程で、経済的なこともあり、リードヴォーカルのコリン・ブランストーンが脱退。ちなみにコリンは1971年に名作「One Year」を発表しております。これもまた名盤ですね。
ということで本作の発表時点ではゾンビーズは存在しておりませんでした。ですからプロモーションにも力が入らず、当時は本作、全く注目されなかったようです。

ではなぜ「Time of the Season」がその後ヒットしたか? 本作に注目したのが、あのアル・クーパーだったのです。当時アルはCBSのスタッフ・プロデューサーであり、本作の素晴らしさに感動し、彼がプッシュ。そして1968年11月に「Time of the Season」を再発し、全米3位の大ヒットを記録します。
これを受けて偽ゾンビーズも登場したらしいのですが、結局本家ゾンビーズの再結成は実現しませんでした。

さてさて本作ですが「Time of the Season」のイメージで聴き始めると、冒頭①「Care of Cell 44」から驚かれることでしょう。間奏のアカペラ部分や、随所に散りばめたコーラスは明らかにビーチボーイズ風ですし、ベースはポール・マッカートニーっぽいセンスあるもので、ポップス指数100%の名曲ですね。
随所に使われているメロトロンは、実は予算の関係でスタジオミュージシャンを呼べなかったために使用したものらしいのですが、これがまた効果的です。もうこの1曲だけで至福の時間を過ごせます。

他にもピアノと美しいコーラス主体の②「A Rose for Emily」はあまりにも美しい楽曲だし、「ペットサウンズ」に収録されても違和感がない組曲風⑦「Changes」もいいですね。

ちなみに私のお気に入りの楽曲は⑧「I Want Her, She Wants Me」と⑪「Friends of Mine」。この2曲とも①と同様、素晴らしいポップス的メロディと軽やかなコーラスワークが堪能できます。
特に「Friends of Mine」は名作ですよ。これもとりあえず曲が聴けるものをアップしておきます。間奏のギターソロのグルーヴ感、ベースのノリ、甘いコーラス、それも素晴らしい。

この素晴らしいポップスの立役者でもあるロッド・アージェントは後にアージェントというバンドを結成。このバンドにはあのラス・バラード(知る人ぞ知る、超有名メロディメーカー)も在籍してました。このアージェントは恥ずかしながら未聴ですが、きっと素晴らしいものなんでしょうね。

本作を含めてたった2枚のアルバムしか発表していないゾンビーズ。特に本作の素晴らしいポップスは、当時は時代がついていけなかったものと思われます。最近特に評価が高い本作、未聴の方は是非聴いてみてください。最後にめちゃめちゃセンスのある⑫「Time of the Season」をどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?