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松原みき「POCKET PARK」(1980)

昨年11月、突然松原みきの「真夜中のドア」が世界のApple Music J-Popランキングにおいて12カ国で1位を獲得するという珍事があったことは記憶に新しいでしょう。インドネシア人YouTuberレイニッチさんがカバーしたことで元ネタ(原曲)がヒットした典型例ですが、もちろん原曲が素晴らしかったことが珍事に繋がったことは申すまでもありません。

「真夜中のドア」がヒットしていた70年代後半~80年代前半は、シティポップスが輝いていた時代。そこにはAORがJ-POPに大きな影響を与えておりました。もちろん松原みきの「真夜中のドア」もしっかり元ネタが存在しております。

松原みき…、リアルタイムには「ニートな午後3時」しか知りませんでした。この楽曲は作詞:三浦徳子、作曲:小田裕一郎の、デビュー当時の松田聖子の一連のヒット作を生んだコンビの作品だったんですね。で、今回は「真夜中のドア」を含む、彼女のデビューアルバムのご紹介です。

このアルバムは、作曲家の林哲司さんが好きなように曲を作ったアルバムで、それを当時の一流ミュージシャン+美乃家セントラル・ステイション+SHOGUNといった素晴らしいミュージシャンが素敵な演奏を聴かせ、松原みきが伸びのあるヴォーカルで歌いあげている名盤です。AORファンならマストアイテムなアルバムといえるでしょう。淡い色の目立たぬジャケットが印象的。このNote上だとジャケがよく見えない…。

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まずは超有名曲の①「真夜中のドア〜Stay With Me」。デビュー曲ですね。当時のAORからの影響が大きい、ジャパニーズAOR。彼女の歌っている映像をアップしました。美人ですね~。しかも歌、上手い! 
それにしてもこのイントロのリフ、AORファンならすぐにピンと来るでしょう。キャロル・ベイヤー・セイガーの「It's The Falling In Love」ですね。イントロは同じといってもいいくらい。元ネタもアップしておきます(マイケル・マクドナルドのコーラスが強烈)。

以下は皆さん大好きな松田聖子と「真夜中のドア」を共演した映像。それぞれのキャラクターが出ていて面白い。松田聖子の歌唱力も素晴らしい。パンチ力はもちろん松原みきがウワテですが、人を惹きつけるものを聖子ちゃんは持ってますね。あと司会の太川陽介が喋っているのに、松原みきはノリノリなのは笑ってしまう。最後に映っている金髪美女はスーザン・アントン!!

こちらは朝に聴きたいナンバーの②「It's So Creamy」。フィリーソウルからの影響が垣間見られるシャッフルビートが心地よいナンバーで、一部ではボッサっぽいパートも。こんな楽曲が当時、日本でも演奏されていたんですね。大橋純子のご主人、佐藤健が作った名曲。アレンジが秀逸と思ったら、やはり佐藤健さん自身が手掛けたもの。演奏も彼女のバックバンド、美乃家セントラル・ステイション。心地よいドラムはもんた&ブラザーズにも所属していたマーティ―・ブレイシー。

セカンドシングルにもなった⑦「愛はエネルギー」。こちらもデビュー曲同様に三浦徳子&林哲司のナンバー。間奏の伸びのあるギターは今剛。他、後藤次利(B)、林立夫(Ds)、斉藤ノブ(Pec)、渋井博(Key)の名演。

本作中、一番美しいバラードが⑧「そうして私が」。これも人気の高いナンバーだと思われます。この曲のメロディやアレンジなんかも洋楽ポップスからの影響が垣間見られます。

こちらはファンクやR&Bの香りが漂う楽曲の⑨「Mind Game」。イントロからサビの前のパートなんかはボズ・スギャッグスなんかがやっていそうな雰囲気。林哲司さんの紡ぎだす楽曲は、洋楽からの影響を受けつつ、うまくジャパニーズ・ポップスに仕立ててますね。

松原みきさんも林哲司さんも時代の寵児でした。いいアルバムですね。  松原みきは80年代を中心に9枚のアルバムを発表。90年代以降は歌手活動よりも、作曲活動に専念されたご様子。2004年に44歳という若さでお亡くなりになられてます。

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