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Ray Kennedy「Ray Kennedy」(1980)

レイ・ケネディ…、マニアな方は八神純子さんの名曲「パープルタウン」の元ネタ歌っていた方とのご認識でしょう。また、ハードロックファンなら、あのMSGのレイ・ケネディの悪夢を連想するかもしれません。でも彼、実は正統派AOR系シンガーです。もっと評価されて然るべき方…なんですよね。

エイティーズをロックしていた私には、レイ・ケネディという単語は悲しく響いてました。そうです。あのスーパーロック84’のマイケル・シェンカー・グループに参加したレイ・ケネディ…。
酷かった・・・。噂では歌詞をステージに貼って見ていたとか…。それに歌も酷かった(らしい)。確かゲイリー・バーデンが首になり、その後釜になぜか急遽レイ・ケネディが入ったものの、あまりに酷く、ゲイリーが呼び戻されたと記憶してます。

そのレイが実は非常に良質なAORアルバムを発表していたんです。しかもデヴィッド・フォスターのプロデュースで、TOTOファミリーが集結してます。私も本作については以前から知ってましたが、最初は「あのレイ」とは気付きませんでした。

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まずは問題曲⑥「You Oughta Know By Now」。イントロを一聴して、直ぐに「どこかで聴いた曲だな?」と思うでしょう。八神純子の名曲「パープル・タウン」です。これは八神純子さんが元ネタ的に使ったと思われますし、よくあること。

ただし彼女の曲は ♪  I Love You More And More  ♪  から  ♪  パープルタウン、パープルタウン  ♪と続くサビの部分が独自の素晴らしいものですね。      当初は「パープルタウン」に副題は付いてませんでした。見出しの彼女のシングルジャケには副題は付いてません。後にレイ側から裁判を起こされ、結局「パープルタウン」には副題に「You Oughta Know By Now」を付け、原作者もクレジットすることとなりました。                  八神さんと作者のひとり、デヴィッド・フォスターとは繋がりがあり、デヴィッドが八神さんにリフを弾いて、それをモチーフとした…との説もありますが、実際はよく分かりませんね。この件は賛否両論ありますが、私はこのサビのオリジナリティは評価したいと思います。

アルバムに戻ります。まず1曲目の「It Never Crossed My Mind」にやられました!!ルーク(スティーヴ・ルカサー)が骨太なギターのリフを弾きまくり、またここでのレイの唄法はブルーアイドソウル的でかっこいいですね。TOTO以上にハードでかっこいい!!!

名曲③「Just For The Moment」、屈指の名バラード。これもルークのギターが泣いてますね~。これは後に日本のタバコのCMに使われました。

⑤「My Everlasting Love」は、あのビル・チャンプリンの1981年発表の「Runaway」に収録されていた「Tonight Tonight」の原曲。レイとデヴィッド・フォスターの共作。いや~、これも名曲です。

あと⑦「Sail On Sailor」にも触れておかないといけません。そうです。あのビーチボーイズの問題作「オランダ」に収録されていた、あの「Sail On Sailor」です。これもレイの作品だったんですね。ブライアン・ウィルソンとの共作です。これは1973年の作品ですが、レイの意外な人脈に驚かされます。デヴィッド・フォスター・プロデュースでも土臭い仕上がりになってます。

⑧「Starlight」。トミー・ファンダーバーク、ビル・チャンプリン、トム・ケリーの大声量コーラスが気持ちいい。シャッフル系のノリのいい楽曲。これもいいですね~。アップしたのは当時のスタジオライブ。レイ、かなりのイケメンです。

本作は全曲がレイと旧友ジャック・コンラッドとの共作(一部フォスターも参加)。レイは間違いなく有能なソングライターだと思います。
またこの当時の立ち位置はビル・チャンプリンに似ていると思います。ビルもブルーアイドソウル系シンガーと言われ、TOTO系ファミリーに囲まれて、ソロアルバムを制作してます。
しかしシカゴに誘われたのはビル・・・。レイではなかった。個人的にはレイの楽曲のほうが好きですね。だからこそ、この後のレイの悲劇は悲しくてしょうがない。
なぜMSGなんかに加入したのか???これのヴォーカルはやはりブルーアイドソウル系AORが合っていますね。


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