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原田真二「Feel Happy」(1978)

当時は全くスルーしていても、今聴くと「スゴイ!」と思っちゃうアルバムってありますよね。私的に最近驚いたのが天才、原田真二のデビューアルバムです。

原田真二が最初に所属した事務所、アミューズが、原田真二のために設立されたものであったことは有名な話。キャンディーズのマネージャーとして有名だった大里洋吉氏が、ミュージカルに対する熱い思いから渡辺プロダクションを退社し、視察渡米する直前に紹介を受けた人物が原田真二だったわけで、彼が大里氏と一緒に渡米。渡米中に情が湧いてしまった大里氏が原田真二のためにアミューズを立ち上げ、彼を売り出すことに…。

ところがそんな中、キャンディーズが解散を発表!!渡辺プロダクションから大里氏に、キャンディーズの解散コンサートの企画運営を依頼されてしまいます。と同時に原田真二は大ブレイク!大里氏がキャンディーズに全力投球していた頃、誰かが原田真二に「アミューズにいるとキャンディーズみたいにアイドル扱いされちゃうよ」と囁き、結局、原田真二はアミューズを退社してしまいます。
当然、原田真二の一本足打法だったアミューズは危機に陥るのですが、そこは何かの縁…、すぐにサザンオールスターズを発掘。そこからアミューズの発展が始まります。今のアミューズの創業期もこんな感じだったんですよね~、と前置きが長すぎてすみません。で、原田真二の驚異のデビューアルバムをご紹介します。

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ジャケの写真、愛らしい…。これじゃあ、アイドル扱いの売り出し方、されちゃいますね。
その広島出身の原田真二は、高校2年のときにフォーライフ・レコードの新人オーディションに応募。デモテープが同じ広島出身の吉田拓郎の目に留まり、1977年10月にシングルデビュー。このファーストアルバムは1978年2月発表。全曲作詞は松本隆、作曲は原田真二

ちなみに私はスピッツがカバーした4枚目のシングル「タイム・トラベル」が大好きで、リアルタイムで耳にしていた「キャンディ」とか「てぃーんず ぶるーす」よりお気に入りナンバーとなってます。本作自体に「タイム・トラベル」は収録されていませんが、2007年に発表された本作のリマスター盤には3枚目のシングル「シャドー・ボクサー」と「タイム・トラベル」が収録されてます。
ってことで先に名曲「タイム・トラベル」をご紹介しておきます。これだけのポップなメロディと洒落た歌詞の楽曲もそうそうありません。もちろんスピッツのカバーも素晴らしいのですが、この原曲はやっぱり圧倒的に素敵です。全く古さを感じさせないエバーグリーンなポップスですね。

このデビューアルバムですが、①「ビギニング」から⑪「黙示録(The Revelation)」まで、アルバムとしてもじっくり聴かせてくれます。個人的にアイドル史上、最高のアルバムは松田聖子「風立ちぬ」だと思ってますが、所謂ニューミュージック系では本作が史上最高の名盤ではないか…とも思ってます。

このアルバムでは一番スピーディーな③「Sports」。これはシングルカットされていないから、知らない方が多いと思います。原田真二自身の音域にヴォーカルが付いていけていないのはご愛敬。実にカッコいいロックナンバーです。このライブ、なんとツインドラムです。メインはRobert Peter brillさん。サブが古田たかしさん(のちに佐野元春のバンドでも叩きまくる方)、ベースは関雅夫さんかな。ギターは吉田拓郎さんのバンドでも有名だった青山徹さん。かなりのグルーヴ感です。

あまりにも印象深い④「キャンディ」…、当時は単なる流行り音楽って思ってましたが、今聴くと妙に新鮮。アレンジから切ないメロディまで、これは斬新。ちなみにチェンバロはご本人が弾いております。アレンジもご自身。あまりにも早熟な天才ですね。

実は本作中、一番のお気に入りが⑦「風をつかまえて」なんです。めちゃめちゃポップで、メロディやアレンジがどこかブライアン・ウィルソンっぽい。すごく大好きな1曲です。イントロのオーケストラからエンディングの口笛まで、どこを取ってもポップで素敵です。             せっかくなので2012年のライブバージョンを。観客の方々も楽しそう!

こちらもあまりにも有名な⑧「てぃーんず・ぶるーす」。なので衝撃のロックバージョンをアップしておきます。すっかりグラムロックしてます。原田真二がマーク・ボランに見えてしょうがない(笑)。当時から生演奏に拘った原田真二の真骨頂…。バンドメンバーの演奏力も流石です。これがTV放送されたこと自体、驚きです。めちゃカッコいい…。

本作のエンディングは泣きのバラードの⑪「黙示録」。これもいいんですよ~。当時、自身が今世紀最大の名曲と語ってましたが、それは言い過ぎでもありません。素晴らしいメロディメーカーです。これもご自身と瀬尾一三さんのアレンジ。
ここでは思い切ってライブバージョンをアップしておきます。ミーハーな女性ファン達も、ここではじっくりこの曲を堪能しております。実際のスタジオバージョンは、この映像の最初に流れているオケがエンディングで流れてくるんです。これが余韻を残すようで泣けてくるんですよ。名曲!

ホントはこうした名盤はじっくり全曲ご紹介したいところだし、まだまだご紹介したい曲もあるのですが、そういう訳にもいかず…。サブスクではアルバムもじっくり聴けますので、未聴の方は是非チェックしてみて下さい。
最後にカシオペアのリズム隊とタッグを組んで演奏した「タイム・トラベル」も相当カッコいいので、そっちもアップしておきます。後段の白熱した演奏、素晴らしい。

原田真二さんは後に松田聖子との関係を噂されたりしてますが、今もしっかり現役。私は本作があまりにも強烈なので、彼のアルバムは本作しか聴いたことないのですが、きっと他の作品も素晴らしいんでしょうね。

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