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【短文感想】小野不由美『月の影 影の海』上下

おはようございます、ゆのまると申します。

こんなつぶやきをしてから早3週間。

多くの人に「十二国記ワールドへようこそ!」と背中を押され、あれよあれよと言う間に『月の影 影の海』の上下巻を読破しました。

そして昨日本屋さんで、次の『風の海 迷宮の岸』を購入してきたところ。

いつもより短めではありますが、感想を残しておきたいと思います。


「十二国記シリーズ」。その存在を知ったのはいつのことだったでしょうか。

私が産まれたのとほぼ同じ時期に刊行が始まり、それは冊子の「オススメの一冊」であったり、アニメ化のニュースであったりと、常に頭の片隅には意識していた存在でした。しかし、なんとなく覚えづらい副題もあってのことでしょうか……ついぞ触れることなく、ここまで来てしまいました。

思い返せば、いわゆるファンタジーを読むのも、10代の頃にハマったハリポタ以来。実際に読み始める前には、すっかり固くなった頭で広大な世界観が把握できるだろうかと、そんな心配もありました。

しかし、この後一体どうなるのかとページをめくる手が止まらず、上下巻を4日ほどで読破。読み終わった直後は、心地よい高揚感に包まれました。

素直に心に浮かぶのは、「この世界で紡がれる物語がまだまだ読めること」、その嬉しさに他なりません。


舞台は日本とは風土も習慣も異なる「十二国」。

突然その世界に連れてこられ右も左もわからない陽子を主人公に、その壮大な物語は幕を開けます。

地名や固有名詞など、漢風ではあるもののなかなか難しいものも多く、ページを行きつ戻りつ……。戸惑いながらも、一つずつ知識を蓄えていく行為は久しぶりのことで、そうしてこの世界の形を掴んでいく過程になんだか嬉しくなってしまいました。

てっきり、一人の主人公の一代記かと思っていたのですがそうではないようで。次巻以降、国と人を変えて物語が展開していくらしく、非常にワクワクしています。覚えた地名を忘れないうちに読み進めないと。笑


そして、つらい場面の連続に折れそうになる心を支えてくれたのが、諸先輩方の「下巻まで頑張って!」という励ましと、下巻で登場した「楽俊」の存在でした。

半分人間、半分ネズミの楽俊。救いのない、荒廃した世界に降り立ったモフモフ。

ええ、わたくしモフモフした生き物にめっぽう弱いんです。「ほたほた」歩きまわり、「しょげたように髭を落とし」、それでいて非常に賢く気もいい楽俊。好きにならないわけがありません。

調べてみたら、「十二国記」のキャラクター人気投票では堂々の1位だったとか。やはりな……。

テラスで陽子を諭すシーンは、半獣であることを生かしたニクい演出もあり、印象に残っている場面の一つです。楽俊、また登場してほしいな。


一見とっつきにくそうだけれど、所々にくすっと笑ってしまう場面もあり、それでいて易しい言葉で大切なことを教えてくれる。

初めて「十二国記」に触れた印象を一言で表すならば、こんな表現になります。

それから、この本を読み始めてから些細なことがあまり気にならなくなったというか、国作りの物語の前ではおおらかな気持ちになったというか。それはまた、別の機会にお話しますね。

これらは年少読者向けのシリーズとして書かれたそうですが、きっと当時の私には難しくて理解できなかったでしょう。

もちろん、リアルタイムでどっぷりハマっていれば、今とはまったく違う人生を送っていた可能性もあるけれど……今、こうして「十二国」への大きな扉が開けたことをとても嬉しく思います。

始めるのに遅いことはない。だからこそ、気になったものにはどんどん手を伸ばすべき、ですね。

これでようやく、小野不由美先生のイメージも「せっせとモルカーを量産する綾辻先生の奥様」から変わるというもの。ゆっくりじっくり、この後のお話も楽しんでいきたいと思います。


「どっちを選んでいいか分からない時は、自分がやるべきほうを選んでおくんだ」
「やるべきことを選んでおけば、やるべきことを放棄しなかったぶんだけ、後悔が軽くて済む」楽俊

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