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「ネットミームとはなにか」を考察する①~進化し続ける文化の遺伝子~

近年インターネット上で目にすることが多くなった「ネットミーム」。
この記事ではその「ネットミーム」について解説と私なりの考察を書き遺していこうと思う。

「ネットミームとはなにか」

「ネット」とはそのままインターネットのことである。
では「ミーム」とはなにか。

まずは語源から。「ミーム」は進化生物学者であるリチャード・ドーキンスが自身の著書にて名付けた概念のことである。
もっと詳しい解説はドーキンス本人の著書を購読して読んでほしい。
(リンクは張らないので、気になる方は各自検索をお願いします。)

ここでかいつまんで説明すならば、
「ミーム」は「利己的な遺伝子」のことであり、人から人へ模倣して伝達されていく「文化」、或いは「概念」を指す言葉として「遺伝子(GENE)」から倣って「模倣子(MEME)」と名付けられた。
何故かというと文化は遺伝子のように人々の生活の中で進化する概念であり、文化もまた人類の進化に必要不可欠な要素であるという考えからである。
この説明ではよくわからない?
大丈夫、私もわからないだろうなと思う。
間違っていたらコメント欄で指摘してほしい。

このように詳細の解説にはそれだけで学説本が一冊必要になる難しい内容なので、いっそ大元のドーキンスの著書を読んだほうが速いのだ。

では本題の「ネットミーム」とはなにか。
こちらは簡潔に言うとインターネットで流行しているネットスラング等のネット上の文化の俗称である。

例えば「草」。

笑っていることを意味する「(笑)」を省略して頭文字の「w」だけがネット掲示板や動画サイト等で書き込まれるようになる。
「w」をたくさん書き込んだら草が生えているように見える。
【例「クソワロタwwwww」】
笑っていることを「草をはやす」と表現するようになる。
その内省略して笑ったことを「草」とだけ言われるようになる。
【例「こんな面白い話があったんだよ」「それは草」】
一連の流れがあったからこそ、「(笑)」から発展して「草」というネットミームが生まれた、と解釈できる。

ネットで流行った言葉や習慣が発展して独自の文化を生んでいく。
この文化の遺伝こそがネットミームである。

造語とはまた違う、既存の言葉に
本来の「意味」とは異なる
新しい「意味」が付与される

というべきであろうか。

これに関して既存の言葉とは異なる意味が流行して本来の意味が誤解される、もしくは本来の意味で使われなくなる、といった問題が発生し、
俗に「ミーム汚染」と言われることもある。この「ミーム汚染」を危惧する人も一定層いる。

と、ここで気付いた方はいるだろうか。
「ミーム(MEME)」という語源そのものがネットミームによって汚染され、本来の「意味」とは異なる新たな「意味」を付与されてしまっているのである。

昨今では最早「ミーム(MEME)=ネットで流行しているアレやソレ」と認識している人も少なくない。そもそもミームの本来の意味を知っている人のほうが少ないまである。

ここで留意してほしいのが、私はなにもミームに対して警鐘を鳴らそうというのではない。
むしろ歓迎するべきなのだ。

既存の言葉から人を伝って新たな「意味」が生まれる。
ミームが文化的遺伝子ならば、ネットミームこそまさに
「文化の進化」
ではないだろうか。

進化を止めた種族は滅びる。文化も同じだ。文化を途絶えさせないためにもミームによって人々を伝って知れ渡り生き残っていく必要がある。

この記事を執筆中もTwitterで「ggrks」や「半年ROMれ」等の古のネットミームが若い年齢層に通じないということで困惑するインターネット老人が多く見られた。その件もこの記事の執筆を速めた要因である。

流行は廃れるもの。いつか忘れ去られる運命。それでもこの広大なインターネットに文化は遺り続けてほしい。それが私の望みだ。

しかし、ネットミームは意外な形で急激な進化を遂げることになる。

次回、「魑魅魍魎跋扈するVtuber編」に続く。

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