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地方出身の法学部・経済学部志望が、東京大学文科三類に来ない方がいい理由

東京大学文科三類。東京大学前期教養学部のうち、人文科学に重点をおいた学科であり、文科三類の学生は、主に後期課程における文学部・教育学部・後期教養学部などに進学する。このnoteの読者には、人文科学に興味を持ち文科三類を志す受験生はもちろん、科類選択に迷う受験生、さらに最低点合格を狙い文科三類に進学しようとしている受験生もいるだろう。確かに文科三類は、東大の中で最も入りやすいというイメージが強く、さらに進振りという制度があることから進路指導において文科三類の受験を勧められることが多い。しかし法学部・経済学部志望に関わらず、文科三類に進学することには多くのデメリットが存在する。今回は、進振りの仕組みを解説するとともに文科三類進学のデメリットを示し、このnoteが科類選択において受験生の役に立つことを願う。


東京大学文科三類について

まず、文三の履修の特徴を端的に説明する

  • 前期修了要件として、他学科よりも人文科学を多く履修する必要がある

  • 他学科よりも言語系(L系列)で前期修了要件単位数を満たすことができる

文科一類は法や政治が必修となり、文科二類は数学が必修となることに対して、文科三類は他の学科よりも幅広く自由な履修が認められる。こうした中、文科三類は人文科学の履修が多く必要である。文学部や教育学部への進学を志し、人文科学に深く興味を持つ学生には非常に魅力のある学科である。文科三類は入学要項にあるよう、人文科学に特化した学科にも関わらず、”進振り”という制度があるため文科一類や文科二類から下げて文科三類に進学する学生は多く存在する。こうした「不本意文三生」は、大学入学後大きな負担を背負うことになる。

「不本意文三生」と上京生

文科一類や文科二類を志望していたのにも関わらず、共通テストの点が悪かったことや浪人でもう”後”がないことで、文科三類に出願してしまう受験生が存在する。入学後、もちろん文科三類の学生として過酷な『進振り競争』に参加するわけだが、「進振り」という制度自体が上京勢にとって非常に負担となる。
法学部や経済学部への進学を目指す「不本意入学者」は、高い進振り点が進学に必要となり、プレッシャーに耐えながらキツい前期教養課程を過ごさなければならない。こうしたハードな前期課程の中、地方から上京してきた学生は家事やアルバイトに時間を費やす必要があり、マルチタスクに長けた学生でない限り学業と生活の両立は難しいものとなる。その結果、慣れない上京生活はメンタルを蝕み、進振り競争のプレッシャーも相まって、多くの上京「不本意文三生」は心身ともに限界を迎えていく。一方で、都内出身で優秀な学生は、どんどん成績を伸ばす。だから「優三割規定」(※優=80点以上は、履修者の4割を超えてはいけないというルール)のもと、この上京生に不平等な進振り競争は、平凡で無能な学生にとって「無理ゲー」なものになってしまうのだ。

東大生の教育格差

東大入学後、地方公立高校出身の学生は、都内出身東大生との学力格差に苦しむことになる。都内出身者は皆、地頭が良く、語学に長け、豊富な教養を兼ね備えている。ただ受験を通過しただけの平凡なイナカモンは、そんなエリートで優秀な学生達と「優」を巡って争うことになり、地頭や語学力、教養の無さを思い知らされることになる。特に「ALESA」など言語系の授業は、言語に堪能でないと処理に膨大な時間がかかり、睡眠時間を削ることになってしまうのだ。そうして、心身ともに崩壊し、進振り競争は非常に厳しいものとなる。

文科三類と進振り

文科三類には法学部や経済学部はもちろん、文学部心理学科や後期教養など高い進振り点を要求される学部を目指す人が多い。第二外国語や情報などクラス単位で行われる必修は、進振り競争が苛烈な文三クラス内で「優三割規定」が適用される。そのため、文科一二類クラスだったら「優」が来るような点数でも、文科三類では「良」(=80点未満)となることが多々ある。実際、私の二外フランス語の期末試験では平均点が77/100となって多くの人間が「優」を逃すことになった。

最後に

文科三類は、人文科学を主に扱う学科であり、社会科学を志す学生にとって不都合な点が多い。確かに文科三類から進振りで法学部や経済学部に進学することは可能だが、その道は険しく地方出身の学生にとってい大きな負担となる。受験期に文科三類に出願したくなる気持ちもわかるが、法学部・経済学部にいきたいなら初志貫徹で文一・文二に出願してほしい。


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