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【後編】「新時代」を制するのは?~センバツ2024の優勝予想と展望~

割引あり

みなさんこんにちは、遊撃です。
前後編の2回に分けてお届けする「センバツnote」の後編になります。

【前編】では主に新基準バットの導入でどういう変化が起こるかについて書きましたが、後編では大会の展望や勝ち上がり、優勝予想を記していきたいと思います。

早速見ていきましょう!


各ブロックの展開予想

Aブロック

八戸学院光星(青森)―関東一(東京)
田辺(和歌山、21世紀枠)―星稜(石川)

八戸学院光星、関東一、星稜と優勝を狙える力があるチームが3校も集まる激戦区になった。

八戸学院光星は洗平、岡本、森田とエース格の好左腕が3人おり、フィジカル面でも優位性がある。関東一は安定感のある畠中、力で抑え込める坂井の左右2枚看板を軸に、チームとしての完成度も高い。中軸には長打を期待できる上に、足を絡めた攻撃も得意で「新基準バット」に適した戦い方ができそうなチーム。つくづく初戦で当たるのがもったいない。

昨秋の神宮大会を制した星稜も、佐宗・道本の左右2枚看板は屈指の安定感を誇る。今年はショートの吉田を筆頭に守備も良く、守りから大きく崩れる(取りこぼす)イメージは湧きにくい。昨秋と比べると打撃成績は落ちるかもしれないが、仕掛けも合わせながら得点を重ねられるか。田辺は寺西がどれだけ粘れるかに懸かる。終盤のワンチャンスで勝負を決められるような展開に持ち込みたい。

光星も関東一も星稜も複数の投手をそろえていることに加え、Aブロックは日程的にも余裕があり、好投手がフレッシュな状態で出てくることになる。必要なのは長打なのか、小技なのか、それとも両方なのか。このブロックの勝ち上がりと戦い方が「新基準バット」導入による変化を象徴し、大会の行方を左右しそうな気がする。どこが勝ち上がってもおかしくない。

Bブロック

近江(滋賀)―熊本国府(熊本)
豊川(愛知)―阿南光(徳島)

近江は大会屈指の安定感を誇るエース・西山の出来が鍵を握る。熊本国府は投手を中心に安定した守備が持ち味。ともに打撃・フィジカル面には課題があり、ロースコアの試合になりそう。

豊川と阿南光は屈指の好カード。特に豊川の主砲モイセエフ、阿南光のエース吉岡のプロ注対決は見物。豊川は昨秋は不安定だった投手陣がひと冬を越えてどこまで成長しているかがポイント。打線はモイセエフを中心によく打ったが、全体的に非力感は否めなかった。対戦するのが吉岡ということもあり、秋ほどの破壊力は望めないのではないか。一方の阿南光は吉岡の投球、安定した守備は健在。その上でフィジカル面でも成長が見られ、想像以上に打線が力を発揮しそうな気がしている。

西山も吉岡もタフで連投は苦にしないタイプ。投手力のある両チームが優位に立つか。

Cブロック

敦賀気比(福井)―明豊(大分)
学法石川(福島)―健大高崎(群馬)

優勝候補の健大高崎をはじめ、実力校が入ったブロックとなった。

敦賀気比と明豊も楽しみな一戦。敦賀気比のエース左腕・竹下は変化球にキレがあり、左右ともに苦にしない。明豊は好打者が揃っており、竹下vs明豊打線の構図となりそう。敦賀気比は打線にも力があり、継投が身上の明豊はそのタイミングも鍵となりそう(毎回言っている気がするが…笑)。

健大高崎は佐藤、石垣の左右2枚看板を擁し、野手もポテンシャルの高い選手が集まる。新基準バットによる野球の変化を踏まえても、優勝候補の一番手に名前が挙がりそうだ。ただ、近年の課題としてとにかく勝ちきれず、「のらりくらり」タイプの投手に最後まで対応できない傾向もある。守備面や連携面の不安を個の能力で上回れるか。なるべく接戦に持ち込まず、早めに優位な展開を作れるかがポイントになりそう。学法石川は、仙台育英で甲子園準Vの経験がある佐々木順一朗氏が監督として甲子園に戻ってくる。どんな采配をするのか楽しみ。大栄弟の活躍にも注目したい。

健大高崎が中心になるとは思うが、決して盤石ではない。もし両校とも勝ち上がれば、敦賀気比の竹下と健大高崎の強力打線の顔合わせは見てみたいところ。

Dブロック

創志学園(岡山)―別海(北海道、21世紀枠)
山梨学院(山梨)―京都外大西(京都)

東海大相模を長年率いた門馬敬治監督が、創志学園に移ってから初の甲子園に挑む。相模時代に築き上げた「アグレッシブ・ベースボール」はまだ完成の域には達していないかもしれないが、徐々にその片鱗を見せつつある。エースの山口にも安定感があり、今大会の台風の目になる可能性も。21世紀枠で初出場の別海は、創志学園の足を使った攻撃やスピード感に惑わされることなく、地に足の付いた試合をしてほしい。

昨年の覇者・山梨学院は、昨秋近畿準Vの京都外大西との顔合わせ。昨年は要所での長打で得点を重ねたが、今年のチームは昨年ほどの破壊力はない。投手陣は豊富だが、絶対的な存在はおらず、粘り強い戦いが求められそうだ。京都外大西はそこまで多くの得点を望める打力ではなく、エース田中の出来がカギ。

実力差は大きくなく、ちょっとしたミスや四死球などが勝敗に大きく影響してきそうだ。

Eブロック

耐久(和歌山)―中央学院(千葉)
宇治山田商(三重)―東海大福岡(福岡)

ここも実力が拮抗する4校が集まった印象。どこが勝ち上がってもおかしくない。

昨秋の近畿大会で4強入りする大躍進を見せた耐久は、エース冷水がどこまで粘れるかが勝敗に直結する。田辺と同様だが、ロースコアで終盤勝負に持ち込めると勝機が出てくる。足を使った攻撃や小技も駆使したい。中央学院はチーム全体で見るとフィジカル面はやや弱いが、蔵並、颯佐ら身体能力の高い投打の軸がいる。足を絡めた攻撃も出来るため、新基準バットに合った野球が展開できそうだ。一方で例年に比べると守備に不安があるので、なるべく接戦で終盤を迎えるのは避けたいところ。

宇治山田商は中村、田中、加古の右腕3人で試合を作る。中村は185センチの長身。秋の段階では最速140㌔前後だったが、まだまだ伸びそう。センバツでどういう姿になっているか楽しみ。打線は中堅や逆方向への単打を重ねて得点を奪ったが、全体的に非力で新基準バットの影響を大きく受けそうだ。東海大福岡は、昨秋は打ち勝つ試合が目立ったが、どちらかといえばエース佐藤と堅実な守備で守り勝つ、接戦を制していくチームなのではないかとみている。その中でどこまで打線が「違い」を出せるか。

Fブロック

広陵(広島)―高知(高知)
京都国際(京都)―青森山田(青森)

昨秋の地区王者が3校固まった。

広陵はエース高尾がいよいよ最上級生に。昨年の段階で2年生とは思えない落ち着きとギアの切り替えを見せていたが、さらなる成長が見られるのは楽しみだ。守備は少し課題があるが「致命傷」にはならず、「高尾が制圧すれば問題ない」という展開になりそうな…気がする。打つ方に関してもしっかりと点を取ってきそう。高知は平、辻井の2枚看板の力は出場校の中でも上位に位置する。ただ、今年のチームは近年ほどの打力はないこともあり、2人の投手を中心にロースコアをものに出来るか、という試合展開になりそう。軟式野球を知り尽くした浜口佳久監督が、打力が高くないチーム+新基準バットに変わってどんな指揮を執るのかも注目ポイントになりそうだ。

京都国際はセンバツの出場は2回目(22年は新型コロナの影響で出場辞退)だが、常連校の風格が出てきた。今回も制球力が持ち味の好投手・中崎を擁し、近畿大会でも初戦の田辺戦、準々決勝の近江戦はともにロースコアの勝負を1点差で制している。センバツでもこうした戦い方が基本線になるだろう。青森山田も関と櫻田の右腕2枚をそろえ、勝ち上がるだけの力は秘めている。フィジカル的な優位性もあるが、初見ではとらえにくそうな中崎を相手にその優位性(長打)を出せるか。選手宣誓も務める捕手の橋場は強肩で、個人的な注目選手。

投打の総合力で上回る広陵が中心となりそうだが、他の3チームも好投手をそろえており、どこが勝ち上がってもおかしくなさそうだ。

Gブロック

神村学園(鹿児島)―作新学院(栃木)
大阪桐蔭(大阪)―北海(北海道)

実力校がそろった激戦区となった。

神村学園は昨夏4強の経験者が多く残る。甲子園を沸かせた打力は健在で、フィジカル面の優位性もあり、「新基準バット」をものともしない攻撃が見られるかもしれない。優勝を見据えると、日程と組み合わせ的に今村に次ぐ投手の存在がほしいところだが、このブロックで突き抜けていく可能性はある。昨秋の神宮大会準Vの作新学院はエース・小川哲平が復活。けがもあり、もう一つ潜在能力を発揮できていなかったが、制球重視にモデルチェンジして躍進。将来を見据えても良い方向に作用しそうだ。2番手以降も成長している。関東大会では打ちまくったが、神宮では全国レベルの好投手の前に苦戦した。その経験も踏まえ、足も絡めながら好投手をどう攻略していくかに注目したい。投打にバランスが取れている。

大阪桐蔭は今大会No.1の投手層を誇る。最速150㌔超のエース平嶋に南。そして中野と怪物森の新2年生コンビ。誰が投げても打ち崩すのは難しい。現段階で絶対的なエースはいないとされているが、森が今大会でそうした存在になる可能性がありそう。打で破壊していくというチームカラーでもなく、基本的には投手で圧倒していく戦い方が軸になると思うが、守備が足を引っ張らないようにしたい。北海は昨秋の神宮大会で一足先に新基準バットを試し、作新学院の小川と対峙した経験を生かせるか。初戦の大阪桐蔭は優勝候補だが、決して穴がないわけではない。エース松田がしっかりと内角を攻め、接戦に持ち込めば勝機も見えてくる。

圧倒的な投手力を持つ大阪桐蔭が軸になるだろうが、打力のある神村学園、投打にバランスの取れた作新学院も十分勝ち上がる力はある。

Hブロック

愛工大名電(愛知)―報徳学園(兵庫)
日本航空石川(石川)―常総学院(茨城)

愛工大名電は昨秋の東海準V。エース大泉は調子が悪くても試合を作る能力があり、石見と石島を中心に失点をカバーできるだけの打力もある。伊東、古谷、礒田とポテンシャルのある控え投手もおり、潜在能力で言えば出場校の中でもトップ級。そのポテンシャルを発揮できれば(そこが一番の課題だが)、躍進の可能性を秘めている。昨春準Vの報徳学園は、間木と今朝丸の2枚看板が健在だ。日程的に厳しく、勝ち上がることを見据えれば、間木が軸になる中で今朝丸がどれだけイニングを稼げるかもポイントになりそう。三塁の西村を中心に守りは堅く、大崩れするイメージは湧かない。一方で、打線が「新基準バット」にどれだけ対応できるかは未知数。いずれにせよ、ロースコアの接戦をものにしていくという戦いが軸になりそう。

日本航空石川は震災の影響もあり、思うような練習は積めていないのではとみられる。となると、投打の個の力で勝ち上がっていくのが現実的か。投手は蜂谷、猶明の2人がどこまで粘れるかがポイントになる。例によってフィジカルの優位性も(比較的)あるので、一発長打で得点を重ねたいところ。常総学院も個の能力は高い。エース小林はひと冬越えて150㌔に到達しているかどうか、楽しみだ。こちらも守りでなるべく足を引っ張らないようにしたいところ。

この4校はどこも「一長一短」の印象。「短」を出さないことより、「長」を生かせた学校が突き抜けていきそうな雰囲気。

ベスト8予想

以上を踏まえて、ベスト8を予想してみたいと思います。

星稜(関東一)
阿南光(近江)
健大高崎(敦賀気比)
創志学園(山梨学院)
中央学院(東海大福岡)
広陵(京都国際)
作新学院(大阪桐蔭)
愛工大名電(報徳学園)
(カッコ内は対抗)

選定の理由

激戦のAブロックは、関東一と星稜の2回戦になると予想。甲乙つけがたいが、佐宗が崩れるイメージが湧かず、星稜とした。保険のようになるが、光星も含めて3校どこが上がってきてもおかしくない。
Bブロックも近江と阿南光とで悩んだ。両校が対戦すれば1~2点勝負のロースコアの試合になりそうで、そうなると試合巧者の近江に分があるような気もしたが、吉岡が吉岡しそう。

Cブロックは健大高崎が個の力で押し切ると予想。敦賀気比の竹下がハマる可能性、また明豊の強力打線が火を噴く可能性もある。
Dブロックも悩んだが、どの学校にも決め手がない中で「アグレッシブベースボール」が生きそうな気がして創志学園を推した。京都外大西の田中が2戦とも投げ抜いて勝ち上がってくる可能性もありそう。

Eブロックも中央学院と東海大福岡で悩んだが、個の能力の高さと機動力の両刀で得点を狙える中央学院を挙げた。ただ、ロースコアの接戦に持ち込めば東海大福岡にも大いに勝機はある。個人的には宇治山田商を推したいが、ちょっと非力な部分があり推しきれなかった。
Fブロックは比較的すんなりと広陵で決めた。総合力で一枚上回っているとみている。青森山田もポテンシャルは高いが、どこまで生かせるか。

Gブロックは最後の最後まで悩んだ。大阪桐蔭が投手力で押し切る可能性も想定した。神村学園が作新学院の小川に続き、大阪桐蔭の投手陣をも打ち崩す可能性も想定した。ただ、おそらくその3チームはどの顔合わせとなっても3~4点ぐらいのロースコアの可能性が高いような気がしている。そうなったときに、「陣取りゲーム(前編を参照)」の観点や低反発での点の取り方の部分で作新学院に分が出てくるように思った。小川に対しては、大阪桐蔭よりも神村学園の方がしっかりと対応してきそう。
Hブロックも愛工大名電と報徳学園で最後まで迷ったが、名電のポテンシャルに懸けた形。初戦でボロボロに崩れる可能性も、優勝旗をかっさらっていく可能性も、どちらもあるチームだが…。名電が崩れれば報徳が8強まで勝ち上がる可能性が高いように思っている。

準々決勝以降の戦いについて

実際にどこが勝ち上がってくるかによって変わってくるが、上記の予想(対抗含む)も踏まえると、A~Dブロックでは複数の投手をそろえる星稜と関東一、健大高崎が中心になりそうだ。E~Hブロックでは、広陵と作新学院、大阪桐蔭、愛工大名電あたりか。ここに、基本的に投手一人で戦う阿南光と神村学園あたりがどこまで食い込めるか。神村学園は日程的に厳しいこともあり、優勝…というところまでは厳しいように思った。

優勝予想

これらを踏まえ、遊撃の優勝予想は……「広陵」です。

優勝予想のラインに上がってきたのは、関東一、星稜、阿南光、健大高崎、広陵、作新学院、大阪桐蔭、愛工大名電の8校。直感もありますが、「一発長打で打開できる」点、「2番手投手も力がある」点、そして絶対的なエース高尾がいること。前編で書いた「優勝するための条件」を両方とも兼ね備えており、足や小技を絡めた打開も可能ということで、広陵としました。とはいえ、どこが優勝してもおかしくないくらい力のあるチームがそろっていると思います。

個人的注目

・作新学院―大阪桐蔭、18夏以来の再戦なるか。小川亜怜と廣田瑠稀哉の「2大ヒットメーカー」は聖地で力を発揮できるか。
・豊川の鈴木貫太の遊撃守備
・基本に忠実な宇治山田商、どこまで粘れる?
・創志学園の「アグレッシブ・ベースボール」は今何%?

他にもいろいろありますが、また大会を見ながら注目していければと思っています。

最後に

前編、後編とも最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。観戦の参考になりましたら幸いです。大会中も1試合ごとの点数や試合展開予想はできる限り実施できれば…と思っているので、そちらもぜひお楽しみください!

それでは、センバツ楽しみましょう!

(以下は何もないですが、良ければリポストで応援していただけましたら幸いです🙏)

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