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白い水無月
扉を開けると、そこには一面の雪。真っ白な銀世界が広がっていた。そこにある冷たい空気が、こっそりとハーゲンダッツを食べようと冷凍庫を開けた時よりも激しく、こちら側に入り込む。その間も私は、ぽっかりと口を開け、ただひたすらに圧倒されていた。世界は一晩でこんなにも変わってしまうのか、と。
徐々に落ち着きを取り戻し、私は大きく息を吸った。冷たい空気が肺の隅々まで行き渡り、この現実を突き付けてきた。慌ててあたりを見渡した。ここはどこだ。わからない。私はどうしてここにいるんだ。わからない。見慣れたものが一つだけ目にとまった。手帳だ。それを手に取り、パラパラと見返して、息を呑んだ。そうだ、今日は6月1日のはずだ。私の中に6月以降の記憶はない。手帳も5月31日を最後に付けている日記の書き込みはなかった。でも、この扉の外の圧倒的な景色が、それを認めなかった。私にはもう、何が何だかさっぱりわからなかった。
しばらく呆然と立ち尽くすうちに、一つ不思議なことに気がついた。今、私は半袖姿でここに立っている。扉を全開にしてもうしばらく経つ。十分くらいは経っているはずだ。でも寒くない。最初の冷たさはあったけど、それは凍えるようなそれではなかった。それでも外には依然と白い世界が広がっている。
白い世界。白い。
白。それが問題だった。
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