SRS(子宮卵巣摘出手術)無しで戸籍の性別変更をした記録
2024年1月24日
裁判所から封筒が届きました。それを開けてみると、戸籍の性別の取り扱いを女から男に変えるという通達でした。
私自身は、SRS(子宮卵巣摘出手術)を行っておらず、2023年10月25日付けで最高裁判所大法廷決定において、「生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」の要件は憲法13条に違反し無効であるとの判断が示されてから性別変更をしようと考え動き出しました。
この判決がでてから直ぐに変更出来る訳では無いと思い、性同一性障害特例法が変わってから様子みて行動しようと考えていました。しかし、判決後にSRSなしで戸籍の性別変更が出来た例が他でも見られた事や当事者のツイートで裁判所によるができるのではないかという旨のツイートを見たことから行動に移しました。
まず、2人以上の医師によって性同一性障害だと診断される必要があります。治療や改名のために取得した診断書は二通持っていましたがそれとは別に戸籍変更用の診断書が必要なので、ファーストで行ったクリニックに連絡をしました。そこの病院のHPにも、SRSなしの戸籍変更用の診断書の作成は可能と書いていたのでメールで連絡をし2023年12月28日に診断書を貰いに行きました。値段は24110円でした。セカンドのサインは精神科の医師でなくても大丈夫との情報を貰い、現在ホルモン注射を打っている泌尿器科の先生に2024年1月5日書いてもらいました。セカンドは無料でした。診察がなくサインを書いただけなのでお金がかからなかったのだと思います。これで診断書は揃いました。
次に申立書です。裁判所のHPからダウンロードしコンビニでコピーをし書きました。裁判所の例に則って書いたので文章構成には時間をかけませんでした。以下、私が書いたものを載せます。SRSなしの部分は参考になると思います。
「申立人の性別の取り扱いを女から男に変更するとの審判を求めます」
「1、申立人は、幼少期から自分の性別に違和感を感じ始め、中学生の時に制服がスカートであることや男女で分けられた時に女子扱いをされることに不快感を覚えました。また、自分が男性であるとの認識もその頃から強くなってきました。
2、両親や先生方にカミングアウトをし、平成30年1月に○○クリニックにて性同一性障害の診断を受けました。令和2年1月からホルモン療法を開始、同年5月に戸籍上の名前を変更、令和3年2月に乳腺摘出手術を受けています。令和5年10月25日付け最高裁判所大法廷決定において、「生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」の要件は憲法13条に違反し無効であるとの判断が示されているため性別適合手術は受けていません。
3、現在は大学生で、大学でもアルバイト先でも完全に男性として認識され生活しています。
4、申立人は、このように外見も中身も全く男性なのに戸籍の性別が女となっているため、保険証やマイナンバーの性別記載による社会的制限や異性との結婚ができない状況にあるなどの社会生活上不便な思いをすることがあります。したがって、性別の取り扱いを女から男に変更する審判を求めます。
5、なお、申立人には子がいませんし、結婚もしていません。」
次に、戸籍謄本です。
出生から現在までのものが必要となり、私の場合本籍を移動していたので現在の戸籍謄本一通(450円)、移動前の本籍で除籍謄本一通(750円)、移動前の本籍での改製原戸籍一通(750円)の三通が必要でした。
現在本籍地に住んでいないので、戸籍謄本はコンビニのコピー機、除籍謄本と改製原戸籍は郵送で取り寄せました。郵送で取寄せる場合定額小為替が必要で750円分買うのに200円の手数料が必要でした。
診断書、申立書、戸籍謄本の他に切手と収入印紙800円分が必要です。切手は管轄の裁判所により違うので管轄の裁判所のHPや電話で確認すると良いです。
私はこの他に参考資料として、男性として大学生活を送っていることが分かる資料を送付しました。
資料が揃い2024年1月9日に仙台家庭裁判所に出向き窓口にて提出してきました。そこで一通り提出資料に目を通してもらい不備がないことを確認して頂きました。電話連絡または郵送で連絡があると思うのでお待ちください。と言われ裁判所を後にしました。
違憲判決が出たとはいえSRSは行っていないので面談があると思っていました。改名の時は約2週間程で電話連絡が来て面談を行いその2日後に郵送で認めるとの連絡が来たので同じように2週間経った後に電話連絡が来るものだと思っていました。なので郵便でしかも変更許可の通達が来た時はとても驚きました。
他の方も続々とSRSなしでの戸籍変更が出来ているのでホルモン注射と胸オペが済んでる方そして社会生活を男性として過ごしている方はほぼ確実に戸籍変更出来ると思います。
胸オペはしなきゃいけないものでは無いので胸オペなしでも通る可能性はあると思います。実際に横浜の方で大学生の方が胸オペSRSなしで戸籍変更が可能となっていました。
ホルモン注射に関してですが、外観要件があるためホルモン注射なしでの戸籍変更は今後は不可能だとは思います。(あくまで予測ですがホルモン注射無しに外観要件を認めるのは難しいと思います)生殖機能要件の違憲判決が出る前ではホルモン注射を打たずして戸籍の性別変更が出来ている例もあるので明確に記して欲しいと思います。ホルモン注射歴ありで可能になるとは思いますが1本打っただけでは診断書の作成を断られる可能性が高いと思います。かと言って明確に注射を打った期間が示されている訳でもないのでクリニックの先生に聞くのが1番だと思います。私の勝手な予想ですがホルモン注射歴は1年は必要では無いかなと思います。
長くなりましたが、戸籍の性別変更に至った経緯やどう行動したか、私の意見などを書き記しました。
未手術での性別変更を推奨するものではなくあくまで私の実体験を記したものとなります。
今後戸籍の性別変更を考えている方の参考情報になれば幸いです。
私自身はSRS(子宮卵巣摘出手術)を行うつもりでいるので性別変更をしたからと言ってGIDに関する悩みが無くなった訳では無いです笑
契約時や病院など戸籍上の性別が必要な時に女と書かなくても良くなることでストレスからの解放や実生活の性別と一致することでとても生きやすくなります。先に戸籍の性別変更を行えて良かったと思いました。