傷ついた心を癒し希望へと導く、お守りのような一冊。小川糸 著『小鳥とリムジン』
『食堂かたつむり』や『ライオンのおやつ』など、食や死を通して生きることについて向きあい、描いてきた小川糸さん。そんな著者の新刊『小鳥とリムジン』(ポプラ社)は、三作目の「生」について描いた物語であり、「人を愛すること」がテーマとなっている。
とある依存症を抱える母親に、顔も名前も知らない父親。身の危険に怯えながらの生活、児童養護施設での日々など。子どもの頃の家庭環境や出来事を理由に、心を閉ざす主人公の小鳥。しかし、自分のことを大切に思ってくれる人々と出会い温もりに触れるうち