パノラマメロウ-僕らの痛みを誰かの生きる希望へ変えられると信じて

こんにちは。たまには日のあるうちに更新するのもよいでしょう。

パノラマメロウというバンドを紹介させていただこうと思います。

女性ボーカルを擁するバンドで、非常に独特な世界観と完成度の高さを持ったバンドですが、リリースした音源は少ないまま、現在活動休止中です。ボーカルのゆいこさんはソロ等で現在も音楽活動を続けておられますし、いずれバンドとしても活動再開するのかな…と淡い期待を抱いております。

まず目を引くのがアルバム名ですね。長いですが、もうこのバンドの特性を全てこの一文に詰め込んだようなタイトルです。
全体としては決してあからさまな明るさを持つことはなく、希望を歌う歌においても、その前に計り知れない苦悩の影を落とし、そこがなんとも素晴らしい。「希望」を表面的に歌うことはいくらでもできると思いますが、その裏にある苦悩や様々な感情を織り交ぜて表現できるアーティストは意外と稀有な存在だと感じます。絶望に落ちるわけでも仮初の希望に染まるわけでもなく、苦悩しながらも前を向いていく。真摯な生き様さえ感じさせるバンドです。

当アルバムは6曲で構成されています。短いです。
ですが、1曲1曲が非常に濃く、その短さを感じさせません。本当に名曲しかないです。というかパノラマメロウの現状で発表されている音源は名曲以外存在しないと言っても過言ではないかと思います。

「騙され続けた僕ら」、「デパスも効かない」の2曲に関しては、現状のバンドの代表曲と言ったところでしょうか。とんでもない完成度です。

「僕にはもちろん
 見ての通り救いようのない
 へし曲がった穴だらけの欠陥があるのさ」

と静かに語りかけるように始まる「騙され続けた僕ら」。

「君の味方でいるよ。と声を枯らしても
 きっと伝わらないんだ わかってはいるんだ
 だけど君の笑う顔 どうしても見たいから
 伝わらなくたっていい ただ唄うよ」

サビの歌詞の優しさが染みわたります。ボーカルのゆいこさんの声がまた、透明で優しいものながら、まるで欠けたガラスのように尖っていて、唯一無二です。乾いたギター音も気持ちがいい。どこまでも優しいのに、研ぎ澄まされた刃のように一言一言が突き刺さってきます。

音楽としては若干シューゲイザーのような幻想的な雰囲気、浮遊感も纏いつつ、ただ歪ませて重ねるだけではないギターの乾いたカッティング音などが「よくあるシューゲイザー」とは一味違います。歌詞、ボーカルとこのサウンドの雰囲気の相性がまた抜群で、世界観がバンドとして確立されているように思います。
完成度が高い、本当にそんな言葉が漏れてしまうアルバムです。

個人的に様々な人の救いに成り得るバンドだと感じています。音楽の力などと世間的によく言われますが、表面的なものではなく、深いところから湧き出る複雑なそれは、苦悩する人にとってこれ以上にない「救い」になることでしょう。私も、そうです。

是非ご一聴ください。確たる自信を持って、お勧めさせて頂きます。



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