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自由とひきかえにしたもの

元ヤンキーで、もちろん学校の勉強もろくにしなかった
普通の人生では出会わなそうな年下の男性
それが私の今一番の相談相手だ。

といっても
週末だけ事務をやっている建設現場のリーダー

一回言ってやろうと思ってるんだけど
あいさつがほんとに感じ悪い
「おはようございます!」
と言ったら
「おはよう!」
と元気に返してほしい。
不愛想にぼそぼそというから
機嫌が悪いのか、私を嫌いなのか
はっきりしてほしいといつも言いそうになる。

でも、パソコンを立ち上げて仕事を始めると横に来て
「どうすか?今週はさわやかに過ごせましたか?」
と紙コップでドリップコーヒーを入れてくれる
(それが悔しいけど美味しい)

仕事を指図されたり、間違いを指摘されると
心の中でプライドがカチンと音をたてることもある
冗談で
「もうおばさんなんだから」
と言われると自分がみじめでしかたがない。
騒いでばかりでうるさいヤンキーの男の子たちは
学級委員だった私の天敵だったからかもしれない。

でも、彼のいうことはいつも一理あるので
つい、本音をぶちまけてしまうのだ。

今週は、『この年になるとどんなに不仲な夫婦だったとしても
経済的なことを考えると、ひとりになるのは不利な説』
をカウンセリングしてもらった。

私の友人のなかには、けして夫婦円満じゃなかったけれど、これまで妥協して夫婦を続けてきて、子育ても家のローンも終わり、自由を謳歌している風にみえる人がちらほらといる。
それをみるたび、妥協できなかった自分と比較してため息をついてしまう。
私もひとりじゃなかったら
と、うらやましい気持ちになったりしてしまう。

他人は幸せにみえるもんなんすよ
と、彼は悟ったようにいい
yuraraさんは自由を得たじゃないすか
それとひきかえに、さびしさや経済的な心配を抱えた
ただそれだけのことっすよ
だから資格試験にチャレンジしてるんじゃないんすか?
それでまた、人生が変わりますって

といい、
「考えても答えが出ないことは考えない。
先のことを今から心配しない」
と言ってくれて、コーヒーのおともにチョコレートをくれた。

たまにでてくるこういう格言めいた言葉は
すべてインスタから学んでるらしい。
最近は仕事でメモをとる習慣ができ
「印鑑の「鑑」が書けるようになったんすよ」
と笑っていた。

自由と引き換えに・・・
味のなくなったガムのようにその言葉をもてあそびながら
ひとりの部屋に帰った。

小さな犬と好きなものに囲まれ
なにを食べようと、いつお風呂に入ろうと
誰にもとがめられない。
その代わりに抱えた心配も、自由と同じくらいになったけれど
昔、そうやって生きている女性に憧れていたのを思い出した。

私は今、ひとりの力で生活しているんだ。

むかし教室のうしろで騒いでいた
できれば目をあわせたくなかったヤンキーのリーダー
今、マジでリスペクト!
そしていつもありがとう。








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