ハンカチ王子
わたしの小学校高学年のときのあだ名はハンカチ王子だった。理由は単純で、本物のハンカチ王子こと元北海道日本ハムファイターズ投手の斎藤佑樹氏とわたしの名前の読みが同じだったからである。
正直嫌だった。なにしろ小学生だったから、揶揄ってくる方も小学生だからとにかくしつこいし揶揄い方も全然面白くない。おい、投げてみろよとか、ハンカチで顔拭いてみろよとか、何の捻りもないし面白くもないことを男子からしつこくしつこく言われ続ける。もうね、本当にうんざり。
あっ、そうかー、ボケれば良かったのかもしれない、といまになって思ったりもする。ハンカチを出すと見せかけて、出さないとか。もしくはハンカチじゃない何か違うものを出す、みたいな。
ハンカチじゃないもので笑いが取れそうなものってなんだろう。いや、それもあるが、要は何が出てこようがツッコミが面白くしなければならないのである。だからわたしがハンカチじゃない何かを出したとしても、それに対してツッコミが最適なツッコミをしなければならない。
「出さへんのかーい!」とか「っておい!ハンカチちゃうんかーい!」とか「そうそうそう、おでんに入れるやつや、チーズ入れて焼いても美味いねんってこれはんぺんやろ!」みたいなボケツッコミもいい。
そう、わたしはボケる。ここで笑いのバトンはわたしをからかった男子に移るのである。そしてそのバトンを受け取った男子はわたしの渾身のボケを見事な笑いに昇華させなければならない。ボケ殺しは外道である。
ここは関西人として、外すわけにはいかない大事なところであり、ツッコミ担当としての腕の見せ所である。プレッシャーも並大抵ではないだろうが、それはわたしをからかった人間が背負わされる当然の宿命なのである。
ところでいま斎藤佑樹氏は何をされているんだろうと思い調べてみたら、株式会社斎藤佑樹なるものを立ち上げられて活躍なさっていたんですね。何をする会社なのかと思ってホームページを見てみたんですが、ふわっとしすぎていてよく分かりませんでした。
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