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混乱は求めず、意見だけは求める?

今回は、私が関わった100人くらいのある組織についてご紹介したいと思います。

この組織は、皆が表面上穏やかに仕事をしていて、社外の評判も高く、サービスレベルも高い職場です。

会議に出ると、経営層からきれいなスライド資料で理路整然と状況報告がされ、聞いているスタッフから質問や異論が出ることなく淡々と終わっていきます。

しかし、関わっている3ヶ月ほどの間、櫛の歯が抜けるようにポツポツと人が辞めていきます。

そうした様子から、特別悪いところもないのかもしれませんが、皆が会社に愛着を持って、いきいきと働いているわけでもなさそうに見えます。

ちらほら聞こえてくるのは、この会社は本当に思っていることや批判を言わず、裏で愚痴を言っているとの声です。

この会社には何が起きているのでしょうか?

正しいかどうかはわかりませんが、私の見立てとしては、この組織はマネジメント層がきれいな戦略を描き、統制のとれた管理をしすぎているのかもしれません。

経営陣が頭がよく、論理的に正しいことを隙なく推進するとこのようなことが起こり得ます。

最近注意したいと思うことは、意見が(いったんは)ばらついたり、混乱したりすることをよくないことや失敗だと捉えて抑えようとすることです。

マネジメント層が理論武装し、隙のない戦略を描くと、統制はとれるのかもしれませんが、組織の活力は失われます。

管理しようとすると、一方で管理され、指示待ちの人間を生み出します。

全員が声を上げて提案し、全員が自分でリードしてやってみようとする組織は一見混乱して見えますが、とにかく豊富なアイデアが出てくるし、トライ&エラーの回転率が早く、一部のマネジメント層だけでは考えもしなかったり、辿り着けなかったりするような場所までいけるように思います。

特に日本人の会議では、お互いの顔色を見ながら遠慮がちに提案する人がいて、その提案に皆が今一つ納得感がなかったとしても、意見を出した人の顔を立てて、適当な落としどころで結論を落ち着かせるいうことが起きがちです。

こうした特性を考えると、会社の中で本音が言えず、裏で愚痴を言うということは、どんな会社にもあるものです。

そうした時に、「意見を率直に言おう」「指示待ちではなく自分で考えて動こう」という号令を出したとしても掛け声倒れになるのは目に見えています。

同時に、混乱を歓迎し、受け入れるマインドの転換が必要とされるからです。

この辺りの混乱を認めてはいないのに、意見だけを求めることはよくありがちだと思います。

お互いの意図や思いを暗黙のうちに理解し合い、阿吽の呼吸でフォローし合うことのできる組織は強いものです。

思っていることを率直に言い合える組織、そのために必要な制度とマインドの整備が大切だと感じています。

また来月もよろしくお願いいたします!

2015/4/30 VOL59                                                                                     sakaguchi yuto

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