友達にさよならを言う

久しぶりに友達に会った。

大学時代に恐らく1番会っていた友人だった。

実家からは2時間かかる大学では珍しく、お互いの実家が近かったからよく飲みに行ったし、長い時間をかけてよく家まで帰ったりもした。なによりもバンドを一緒にやっていたから練習とかお互いの好きな音楽の話をしたりしていたと思う。大学で初めて彼女ができたりした時も、同じ誕生日で20歳を祝い会ったことも懐かしい。あれからもう8年も経ったのか…。

疎遠になっていった原因は自分にあると思う。大学生の時のバンドも四年生の時に一方的に辞めて、そのあと一昨年くらいにまた誘われたバンドも結局数回練習に行ったきり辞めてしまった。今日会ったのはそれ以来だった。

大学生の時もそうだったが、だんだん音楽を聞かなくなっていって、もう昔みたいな音楽、バンドのモチベーションがなくなっていっていた。それにはお笑いとか映画とか他にもっと好きなものができていって相対的に音楽を聴く時間が減少していったこともある。ただそれ以上に一昨年会った時に、もう昔のような、大学生の青春みたいなキラキラしたものはもうなかった。友達というよりはもっとビジネスライクに渡された曲を弾く、ということに楽しみを見出せなかったのかも知れない。

今日会った時は昔みたいに家の前で立ち話をした。昔は決まって家まで行った後長話をしていたが、今日は多分10分くらいしか話さなかった。自分の近況報告とか、共通の知り合いがどうとか他愛のない世間話だった。少しだけ昔に戻ったみたいな気がしたけど、同棲とか、仕事とか話すことはすっかり変わっていた。音楽はまだ続けているみたいだった。帰る時頑張ってな、って言ったけど、なんか少しエモい気持ちというか、自分はとっくに諦めた夢をまだ追い続けてる事がなんだか不思議な気持ちになって、とりあえず出た言葉だった。多分同じように音楽をやっていた頃には絶対言わなかったと思う。それがもう自分が外の立場になったことを明確に線引きする言葉であり、きっともう戻らない。こうやって昔と訣別しながら歳を重ね、また新しい人に出会っていくのかも知れない。

思い返せば大学時代は自分にとっての青春時代そのものだった。そんな時代を共に過ごしてくれてありがとう、そしてさようなら。

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