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第2回BBC読書会 アン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』

2023年12月2日、2回めとなるBBC読書会を開催しました。
今回は過去最多の総勢6名での開催です!県内でも割りと遠くからいらっしゃった方、初参加の方もありがとうございました。
テーブルぎゅうぎゅうになっちゃったのでこれ以上参加者多い場合は工夫しないとですね…。

今回の課題本はアン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』(向井和美・訳)です。
読書会を扱っている本ということで初回の課題本決めのときから候補に上がっていて、今回取り上げることとなりました。

司会者さんは『プリズン・ブック・クラブ』を知るきっかけとなった本だという『読書会入門』、また訳者である向井和美さんが書かれた『読書会という幸福』も持ってきて紹介してくださいました。

『プリズン・ブック・クラブ』の内容としてはその名の通りカナダにある刑務所でボランティアの女性が読書会を開催したその内容をドキュメンタリーとして(多少脚色を加えつつも)書籍化したものです。
著者であるアンは主催者のキャロルに誘われて戸惑いつつ受刑者の読書会に参加しますが、やがて受刑者たちに心を開き自身も癒やされていく…というのが大筋です。

参加者のみなさんからも「普段はフィクションを主に読んでいるが登場人物の多くが受刑者ということで特殊な内容なので面白く読めた」「映画にしても面白そう」「読書会を活発化させるためのアイディアが面白い」などの声が聞かれました。

印象的なシーンや描写も多々あがりました。

「どれが好きっていうのではなくて、本を一冊読むたびに、自分のなかの窓が開く感じなんだな。」

『プリズン・ブック・クラブ』122p

「自分が本を好きになった時の感覚に似ていて的確に表現されている」というコメントがありました。

クリスマスの読書会が印象的だったと言うひとも複数いました。

(略)「旅の目的が満たされ、なぜここに来たのかがわかったとき、その目的は変わってしまう」とエリオットは続けていた。
こうしてクリスマスをともに過ごすメンバーたちを見まわしていると、わたし自身もまた、同じような旅の途中にあり、しかもなんのために来たのかわからずにいたことにふと気づいた。それは、単に本選びを手伝ったり、メンバーを励まして日記を書かせたり、書物について話し合い、それを本にしたりするためだけでなく、わたしたちの人生をつなぐ目に見えない糸に触れるためだったのだ。

『プリズン・ブック・クラブ』243p

「自分も人生の目的を考えるのが苦手だったがこの箇所を読んで肩の力が抜けて楽になる気がした」とのことです。ここの描写は後に続く言葉もよかったので未読の方はぜひ読んで欲しいですね。

また、「風景や自然についての描写が多く意図的に感じた。刑務所の無機質な感じとの対比をあらわすためと思われるが一方で自然も刑務所の中も一定のサイクルを繰り返しているところは似ている」という指摘がありなるほどと思わされました。

このように共感や良かったところも多くあがりましたが「最初キャロルのキャラクターがパワフルすぎてキツく感じた」という意見や、「本や読書会にアクセスできる人とできない人がいてその格差について考えさせられた」という人、「受刑者の喋り方がみな一様に一人称”俺”となっている粗野な話し方で訳し方に個性が出せていなかった」という鋭い意見も出ました。

本題から外れてこの中で登場した本で読みたいと思ったもの、読んだことある作品、映画でみたなどの話題にも広がりました。
『サラエボのチェリスト』、『ガンジー島の読書会』は読んだという人が複数いました。店主は『賢者の贈り物』くらいしか読んだことありませんでした…ベタすぎる!しかし映画になっている作品も多いようなのでそちら探して観てみようかなと思いました。
巻末にブックリストがまとまっていて、ここで未邦訳かどうかも確認できるのでブックガイドとしても優秀な一冊となっています。

第3回読書会についても決まりました!

日時:2024/1/27(土)18:00〜
題材本:『急に具合が悪くなる』(宮野 真生子、 磯野 真穂)
場所:ゆとぴやぶっくす(南浦和)

参加希望の方は下記フォームからご連絡ください。

最後に恒例となっている記念写真を撮って終了。

全体的に赤い!意図せずクリスマスっぽい読書会となりました



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