真比悠人

創作新参者。。真比悠人(まひゆうと)と申します。 宜しくお願いします(._.)

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マガジン

  • ディア・ソムニア

    note創作大賞2024、ホラー小説部門応募作品。 2042年。AI技術の発達により、新たに誕生した脳移植「夢現手術」 この夢現手術を施された者は、その寿命が尽きるまで、愛する人と夢の中で生きることができる。 「航ちゃんがいいなら……私はずっと」 「あなたの夢の中で、生き続けたい」 病室で寄り添う若い夫婦、航平と希美花。 全ては、妻の願いを叶えるため。妻の希美花は「提供者」に、夫の航平は「受植者」として、夢現手術を受ける決意をする。 その後夢現手術により、航平は自己の夢中で希美花と共存し、順風満帆な生活を送るようになるのだが……。 高校の同級生である瑠璃との邂逅を機に、新たな恋心と現実との乖離に苦悩するようになり、徐々に一心同体の共存生活が崩れ始める。

最近の記事

ディア・ソムニア【第七話】

「うそ」 「降ってきちゃった……」  コンビニへ入ろうにも、運悪く近辺には見当たらない。  打ち付ける雨音。漂うアスファルトの匂い。予報には無い、まさかの天候だった。 「とにかく急ごう」  夏とは言え、夜の降雨はじわじわと体温を奪ってゆく。  この日。途中スコールにも似た雷雨にも見舞われ、航平と希美花は傘も持たないまま、駆け足で帰路を急いだ。 「ハア、ハア」 「航くん、ちょっと待ってて!」  ヒールを脱ぐとすぐさま瑠璃はバスルームを経由し、居室へと向かう。 「はいコレ。使って

    • ディア・ソムニア【第六話】

       前回訪ねた時と同様、整理整頓の行き届いた洋室。足を踏み入れると、以前にも増し、女性の部屋だと強く印象付けるムスクの香りが全身を包み込んだ。ベッドに洋服棚、ルームライトにローテーブルと、白とベージュを基調としたインテリアがバランスよく配置され、航平は身の置き場に迷う。  一方の瑠璃はポールハンガーに上着をかけ「適当にゆっくりしててね」と告げると、航平にお茶を出したのちすぐさまキッチンへ向かい支度を始めた。  ボタンを一つ外し、締まった首元を解放させ再度四方を見渡す。  航平は

      • ディア・ソムニア【第五話】

        「いろいろと面倒臭くてゴメンな。大丈夫だった? 特に部長の絡みとか」 「ううん。いいよ、全然気にしなくて。それに、航くんが居てくれたから楽しめたし。ありがと。嬉しかった」  先程とは打って変わり、暗色で落ち着きのある個室居酒屋。二人用の相席に案内され、隣ではなく今度は向かい合い席に着く。  深夜、二人きりの二次会がスタートした。 「でもホント、びっくりした。まさか瑠璃とこんな形で会うなんてさ。十三年ぶりだもんな。あの頃とは違って……お互いすっかり、社会人やっちゃってるな」 「

        • ディア・ソムニア【第四話】

          「……航くん」  思わぬ再会だった。まさか彼女が上京し、そして、同じ職場にやってくるだなんて。 「なんだ航平。もしかして、二人はお知り合い?」 「え、ええ……まあ」  航平は首筋を掻きながら答える。一方の彼女は少し恥ずかしそうにしながらも、これから務める新しい職場に顔見知りがいたことに、心なしかホッとしているようにも見えた。  彼女――一ノ瀬瑠璃は、航平より一つ年下。地元である岐阜に住んでいた頃、同じ高校に通っていた同郷だった。さらに、高校でサッカー部に所属していた航平は、彼

        ディア・ソムニア【第七話】

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        • ディア・ソムニア
          7本

        記事

          ディア・ソムニア【第三話】

           手術を経て、その後の航平の生活は鮮やかに生まれ変わった。日々夢の中で、希美花との甘いひとときを過ごす。  公園。遊園地。映画館。砂浜。夜のスカイツリー。夢中では自宅に限らず、二人で過ごす場所は様々だった。日によって、希美花の希望する場所の時もあれば航平の時もあり、ランダムではあるがそれがまた、楽しくて。まるで「どこでもドア」を手に入れたかのよう。夢の世界は大変便利で、玄関の扉を抜ければすぐに目的地へと到達できた。  その中で、基本的には自宅で過ごすのが好きな航平。けれどそん

          ディア・ソムニア【第三話】

          ディア・ソムニア【第二話】

           希美花の癌は既に全身へと転移しており、ステージⅣ。余命は多く見積もって、あと三ヶ月だった。希美花の父は彼女が十七歳の時に他界しており、母もつい三年前に亡くなっている。二人とも癌だった。  残された彼女にはもう、自分しかいない。なのにそんな彼女をも、狡猾なる病は亡き者として連れ去ろうとしていた。  お互い二十五の時に結婚し、それからわずか四年。続くように癌の余命宣告を受け、二人で何度も対話を重ねた結果。天秤にかけるかのような不確実な生存率。天命に委ねることしか縋り付けない命。

          ディア・ソムニア【第二話】

          ディア・ソムニア【第一話】

          【本編】  夢でもし、会えたら。  素敵なこと。  そんな、創作の中でしかありえないであろうファンタジーめいた空想を。  俺たちはこの現実で、実現させたんだ。  そこにはあるのは、俺とキミだけの楽園。  誰からの干渉も邪魔もされない、光輝に満ちた理想郷。  二人だけの、約束された世界。  だから「死」なんて、怖くはなかった。悲しくもなかった。  だって。  俺たちはこの手で。  本当の「永遠」を、手に入れたんだから。  ◆◆◆  オフホワイトのシーツに広が

          ディア・ソムニア【第一話】

          自己紹介(軽めに)

          こんにちは、はじめまして。 真比悠人(まひゆうと)と申します。 この度、noteにてアカウントを作成しました。 主に創作物(小説など)を投稿したいと思っております。 普段は書き物とは無関係の個人事業主。趣味は海外旅行、ライブ観戦。 書き物とは一切無関係で生きてきて、言うならば受信側としてコンテンツに触れてきたのですが(無意識に)、コロナ渦でたくさんの創作物(特にアニメ、小説など)に数多く触れるようになり、自分も創作し発信してみたい。そう思い、執筆を始めました。 新参者で

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