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塾講師格言シリーズ「システムを疑え」

 皆さんこんにちは!大学生で塾講師をしているホリードAです。
前回までは私の職場で活躍する「御三家」を紹介してきました。今回の記事では、すでに退職してしまったものの、今でも私の憧れの講師であるN澤先生の話をしていきたいと思います。仕事をしているときは知的でクールな印象である一方で、後輩講師や生徒に対してはとてもあたたかく接していました。そんなN澤先生の下で、私は人生で重要なことをたくさん学ばせてもらいました。今回は、彼から学んだ格言のうちの一つを紹介し、そこから得られた学びを共有していきたいと思います。

「システムを疑え」

 これは私たちがLINE上で、上司の教室運営のやり方の是非について議論していた際の一言です。私たちの上司(運営を中心に行っているボス的存在)は、仕事ができる一方で、他講師に対するあたりが強く、自分の都合のいいように行動できない従業員を厳しく非難します。そのボスの存在が原因で精神を病み、苦い思いを胸に退職していった講師は数多くいます。そんな彼女のやり方を、N澤先生は「システムを疑う姿勢」が欠けていると非難します。それでは「システムを疑う」とは一体どういうことなのか。次の章から説明していきます。

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「システムを疑う」とは?

  組織の中には、やる気のあるものもいれば、そうでない人もいます。やる気に満ち溢れ、どんどん主体的に仕事に取り組む者、指示に従順に従う者もいれば、指示がないと動かない「指示待ち」状態の人、最低限やるべきことをやれば文句ないでしょ?といった態度の人もいます。リーダーの立場に立つと、後者のような人たちにどのように接するかが重要になります。ついつい、やる気のある自分たちが正しくて、やる気のない人あの人たちが悪いと決めつけてしまいがちですが、そもそも「どうして彼らにはやる気がないのか?」と、「そもそも」を考えることが「システムを疑う」ということなのです。

「システムを疑う」ことで何が見えてくるか?

 「やる気のない」と思われてしまう人の背景には、やる気を失わざる負えなかった理由があります。例えば、ボスが「やる気がない」とみなしている講師に意見を聞くと、以下のような答えが出てきます。

「ボスの高圧的な態度で委縮ししてしまい、びくびくしながら仕事せねばならず気疲れしてしまう。」
「陰で悪口が言われているの聞いて、ボスに対する信頼感を失った。」
「人によって態度を極端にかえる人だから、一緒に頑張ろうって気になれない。」

 どの講師に聞いても「仕事そのものにやる気がない」人はいませんでした。むしろ、日々の授業は楽しいけど、苦手なボスがいるから仕事に前向きになれない人が多くいるのです。つまり、講師のモチベーションが低いのは、講師のやる気がないわけでは決してなく、むしろボス自身の態度に原因があったのです。「システムを疑う」姿勢がなければ、このようにお互いの本心が分からないまま、ただただ相手を憎み合うだけで終わってしまう。これって非生産的なことではないでしょうか。

ボスの真実

 しかし、私は今回の記事を単なるボス批判で終わらせてはならないと思っています。他者を受け入れられず、悪口を言ってしまう、そんなボスにだって、そうなってしまった「そもそも」の理由があるはずです。実は、私の親しい先輩の一人は、私の職場のボスと同じ高校の同級生です。そのため、高校生時代のボスの話をよく聞きます。どうやらボスは、他者に同調することや曲がったことが嫌いな性格だったようです。その性格が原因なのか、クラスの中では浮いた存在で、周りに馴染めなかったようです。一つのエピソードとして、テストでカンニングをしていた女子を摘発したことがあったようです。みんなが一生懸命になって頭に知識を詰め込んできているテストに臨んでいる中、ズルをしている人間を見たら誰だってむかつきます。摘発だってしたくなります。しかしどうやら、摘発された女子は、クラスのヒエラルキーのトップのような存在だったようです。その後の報復は恐ろしいものだったと思います。私のボスは正しいことをしたのに、他者に自分を受け入れてもらえなかったんです。辛かったことかと思います。そして彼女は大学から自分の人生をリセットするために大学受験の勉強に精を出します。しかしながら、結果は散々だったと言います。さらに彼女に追いうちをかけるかのようなニュースが舞い込みます。絶望的にも、当時カンニングで摘発した女子、その子は第一志望の慶應に合格したとのことでした。一体、彼女はどれほどの絶望を味わったことでしょうか。

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彼女の心の痛み

 しかし彼女は諦めませんでした。ここからはボス本人から聞いた話ですが、予備校に入りもう一度受験勉強を始めまず。幸いにもそこで、一期一会の出会いがありました。彼女の傷ついた心を癒し、志望校合格まで導いてくれる講師と出会うことが出来たのです。そして彼女は志望校に合格したのち、その予備校の先生の勧めで塾講師となったのです。そして彼女は次のように誓います。「私のような被害者は出したくない。」「どんなにつらい経験をしても勉強で人生は逆転できる。」「学力さえあれば、誰かに認めてもらえる」「私は絶対に生徒を失敗させない。」…と。そうして彼女は優れた講師に成長しました。授業のクオリティ、宿題管理、モチベーション管理などの生徒対応だけでなく、教室運営にも力を注いでいます。ただし、彼女はそうした責任感が強いがあまり、ルールを守らない講師を見つけたら徹底的に厳しい言葉を浴びせ、当人がいないところでも悪口を言ってしまう、自分の都合の悪い行動をする講師はすぐに見捨てる、そんな状態になってしまうのです。もしかしたら、自分が学生時代に他者に認められてこなかった分、彼女は他者を信じることができなくなってしまったのかもしれません。
 

 このように「システムを疑う」ことで、見えてこなかったものが見えてくるようになります。確かに、どんな背景があろうと、厳しい言葉を浴びせて相手を傷つけ、陰口をたたくことは肯定されません。しかし、ボスにもそうならざる負えなかった理由があると考えると、相手を一方的に攻めることはできないかなと思います。「一歩間違えれば、私もボスと同じような状態になっていたかもしれない」と、ふと考えるときがあります。

まとめ

 皆さんの周りにも、気に入らない人、好きになれない人がいるかもしれません。しかし、一方的に相手を責めるのではなく、そもそもどうしてそのような行動をするのか、どうしてそのような性格になってしまうのか?と「システムを疑う」ことで見えてくることがあると思います。

それでは今回は以上です!
またお会いしましょう!👋

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