松浦良右

安倍政権とグレーゾーン

「何でも好きに書いてください」という依頼で、以前、私はパチンコ業界誌『PiDEA』(ピデア)に連載していました。その中には、先日、「黒木昭雄さんの命日に寄せて」で紹介したような、パチンコとはまったく関係ない記事も含まれています。

 今回、連載の中から、もう1つ記事を紹介します(修正・加筆済み)。

平沢勝栄内閣府副大臣登場

 2006年9月26日、第165回臨時国会で安倍晋三衆議院議員(52歳)が第90代首相に指名された。戦後生まれで初めて、かつ戦後最年少という首相だ。

 安倍政権誕生の裏で重大なスキャンダルが闇へ葬られていたことは、拙著『安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の「確認書」』をお読みいただきたい。

 安倍首相は内閣府副大臣に平沢勝栄衆議院議員を起用した。平沢議員は元警察庁キャリアで、同庁保安課長時代(1987年11月~1991年1月)、パチンコにプリペイドカードを導入したことで知られる。

 安倍首相との出会いについて、平沢議員は著書『「国会」の舞台裏』で、こう書いている。

 私はいまから四十二年前の一九六四年、東大教養学部の学生だったころ安倍晋三さんとお兄さんの寛信さんの家庭教師を約二年間していた。当時、安倍さんは成蹊小学校四年生だった。私は家庭教師であると同時に遊び相手にもなった。

 平沢議員はカジノ推進論者としても知られる。著書『警察官僚が見た「日本の警察」』の「日本にもカジノを!」という節は興味深い。

 まず、「日本では、パチンコはギャンブルではなく、あくまでも娯楽であるという位置づけである。現実にはギャンブル化しているわけだが」と言う。自身がプリペイドカードを導入し、一気にギャンブル化させたという事実は顧みられていない。

 続いて、「カジノがあれば、観光客がきて、お金を使っていくし、税収も上がる」と説き、「だいたい、金持ちはカジノなら好んでやるが、パチンコなんてやらないものだ。本当に金持ちからお金を取ろうと思ったら、国内の一定の観光地に許可し、ホテルの宿泊客に限定するなど地元の者が入らないよう工夫して、カジノを作るのがいちばんいいのである」とする。

 庶民はパチンコ、金持ちはカジノでギャンブルに興ずるのが、安倍政権が目指す「美しい国」なのかもしれない。実際、平沢議員が内閣府副大臣となり、パチンコやカジノに対する政策が変わる可能性もある。

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