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クラスター発生と刑務所の責任

 2021年1月8日に刑務官の新型コロナウイルス感染が確認され、以後、クラスター(感染者集団)が発生していく千葉刑務所(タイトル画像/法務省ホームページより)。塀の中で何が起こったのか。受刑者による経過報告と問題提起。

※受刑者の日記風の原文を尊重しつつ、寺澤有が手を加えています。
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コロナで激変する刑務所の生活

 2021年1月9日より工場が閉鎖になり、各自舎房で過ごすことになりました。

 10日の夕食より非常食(おかゆ、カレー、クッキーなど)となり、12日の朝食まで続き、昼食からは通常食に戻りました。

 16日の朝食より、また非常食が再開されました。クッキーやかたいパンでカロリーだけを補う食事はつらいです。

 17日の昼食からは弁当となり、本日28日まで弁当となっています。

 コロナの告知に関しては、12日に職員2名が感染。14日に職員1名が追加。22日には職員3名と受刑者34名が感染。25日には職員1名と受刑者8名が追加されて、28日時点で職員7名と受刑者42名の計49名の感染が告知されています。

 食事の対応は書いたとおりですが、そのほかにも、さすが刑務所という対応が多くありますので書きます。

 まず入浴については、15日より中止になり、そのかわりに10時から15分程度、水道の水で拭身(しきしん)が許されました。

 さすがに真冬に水ではと考えたのか、その後、月、水、金の週3日、バケツ1杯のお湯が配られるようになりました。しかし、週4日は水で拭身です。

 22日の告知(職員3名と受刑者34名が感染)より、受刑者と受刑者が接することのないように、職員による配食や洗濯物の配布などが行われています。

 27日より洗濯が中止となり、今後、どう対応するのかわかりませんが、下着は6枚、半袖は4枚などと制限があるために、汚れたものを入浴もできず着させられるのではと不安はあります。

 14日から新聞の回覧が中止。差し入れの書籍は、6日に差し入れされた週刊誌が20日、13日に差し入れされた週刊誌が26日に届き、週刊誌の意味がほとんどありません。

 図書の貸し出しも中止されているので、みんな何をしているのか、ヒマをもてあましているのではないかと思われます。

受刑者の人権は無視され、税金はムダづかいされる

 コロナウイルスは職員が塀の外より持ってきます。気をつけるべきは職員であり、職員は全員、コロナ感染者であるという前提でものごとを考えなくては、感染は止まらないように感じます。今後も塀の外で日常生活を送る職員には常にコロナ感染のリスクがあります。

 しかし、現在は受刑者全員がコロナ感染者だという対応です。食事、入浴、余暇活動などが制限され、1名あたり2~3畳のスペースに閉じ込められています。マスクは着用させられますが、狭い室内では必ず感染します。

 千葉刑務所は年寄りが多く(60歳以上が大半)、コロナが重症化しても、満足のいく医療などありません。死人が出てからでは遅いと思いますが、受刑者の人権など、こんなものなのでしょう。

 29日には下着などを1枚のみ自室で石けんで洗うよう指示がありましたが、拭身で使用したタオルは3日経ってもぬれています。物干しのない室内で、いったいどこに干せば乾くのでしょうか。

 また、全員に電気カミソリが配られましたが、キワ剃り機能がついていません。ヒゲは長さ3センチ以上になっており、実際に10分以上試しましたが、ほとんど剃れませんでした。

 PCR検査が行われるのは受刑者の発熱がキッカケです。しかし、病気で隔離されると、テレビも雑誌も見られないので、受刑者は発熱しても我慢します。

 非接触体温計(ひたいへ向けてボタンを押し、体温を測定する機器)は、室温が低く、体が冷えていると、34度台が表示されてしまいます。しかも、受刑者の間で、発熱していそうなときは、ひたいに水をつけたり、冷たい手をあてたりすれば、隔離を逃れられるという話もまわっています。

 すべては国民の税金です。民間企業なみに頭を使って、リスクとコストを検討するべきです。民間企業で、千葉刑務所が行っているコロナ対策を提案したら、バカにされてしまうでしょう。もう少し意味があり、ムダがないコロナ対策をお願いしたいです。

1カ月が経ち、受刑者の我慢も限界

 2月になり、独居房から雑居房へ移りました。独居房では、水で拭身したり、洗髪したりするのは毎日許可されていましたが、雑居房では、バケツ1杯のお湯が配られる、月、水、金の週3日のみ洗髪が許可されています。本来、雑居房でも洗髪は毎日許可されるはずですが、刑務官の言うことは絶対です。

 もう1カ月、入浴していません。受刑者を順番に入浴させることもできたと思います。千葉刑務所には、個室の浴場もいくつかあるのですから。

 洗濯は、パンツや靴下、半袖下着以外は自分でも洗ってはいけないので、発熱性のタイツやシャツ、上着やズボンなど、ずっと着たままです。寒いので脱ぐわけにもいかず、汚れや臭いが気になります。

 衣類に関しては、外部より新しいものを差し入れしてもらうことは可能ですが、保管できる衣類には限りがあるため、古いものを処分しなくてはなりません。

 そろそろ限界です。先が見えないからこそ、この状態が続くと仮定して、コロナ対策を考えていただきたく思います。

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