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優秀な人たちが集まったはずの組織が、なぜデータや論理を無視したようにさえ思える意思決定を繰り返すのか?

コロナ禍、そして各自治体の“まさか“とも思える政策にますます高まった疑問へ、ヒントを探すべく手に取った本。
「組織の不条理 日本軍の失敗に学ぶ」(菊澤研宗)、考えさせられるところがたくさんありました。

旧日本軍の失敗を、「非合理性」から解き明かそうとしたのが、名著「失敗の本質」ならば。
この本が主張するのは、一人ひとりがむしろ「合理的」に判断したからこそ、無謀にも思える作戦が繰り返されたと。

インパール作戦もガダルガナル島玉砕も、当時のエリートが起案した。
過去の成功体験に頼るのも、不利な戦況で一発逆転を狙うのも、たとえば司令官の名誉栄達や組織内での調整のしやすさから、「限定合理的」であったと。

そんななか希望を持てたのは、ジャワでの穏健軍政や硫黄島での抵抗など、日本軍にも合理性を担保した成功事例が、周縁からは出てきていたこと。

・過去の失敗から学び、机上ではなく現実にワークする作戦を立てる
・限られた資源配分のもと、効率性を徹底的に追求する
・そして中央からの命令を時にはやり過ごし、責任をもって意思決定したリーダーがいたと

※現在の倫理基準を照らし合わせての是非は、外に置かせてください。個人的には、「硫黄島からの手紙」を思い出し、涙出そうになった。。

非合理な意思決定を減らす解の1つとして提示されてるのが、「中央集権型組織から現地分権型組織への移行」ですが、大戦後期にそれほど大きな反発や抵抗がなかった(むしろ黙認されてた)、との記述がイメージと違ってびっくりでした。

当時、日本軍は、ヒト・モノ・カネなどの資源不足に陥っていたために、たとえ大本営が中央集権的に事細かに作戦を指示しても、大本営はその作戦実行に必要な資源を現地に供給できない状況に合った。
それゆえ、現地では、大本営の指導に対する不信感が強く、自律的に現場の希少資源を利用しようという意識が芽生えていた

いろいろどこかの状況と、重なりますね😅

SNSである方が投稿されてて深く頷いたのは、「灯火管制」や「禁酒法」とも形容された施策を推し進める政治家は、決して愚かなのではなく、自己の再選確率の最大化という目的に向け合理的に行動しているだけ。
だから、私たち一人ひとりがちゃんと自分の頭で考え、しっかりと意思表示をせねばならないと。

この本、たしか勝間和代さんの推薦文を読んで、10年以上前に一度読んだことが。
今回コンテクストが変わって読み返すと、全く違った気づきがありました😀

そう言えば、著者が解説している「プリンシパル・エージェンシー」のフレームワークや、「取引コスト」「所有権」(外部不経済など)の理論は、普段の仕事(例:取引先との関係性や組織の調整、はたまた事業y売却)でも応用して、状況を整理する機会が何度もあった。

読んでおいてよかったと感じました。おすすめです!

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