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アルバム「Alone on Blue」の背景

今年1月にリリースしたニューアルバム「Alone on blue」ですが曲の背景を知りたいという声も多々あり、全曲解説は読む方も大変なのでそんな事を少し書いてみようと思います。

このアルバムは2023年7月末から12月の頭ごろまでピースボートのショートクルーズと115回クルーズに専属ミュージシャンとして乗船させて頂き、船内で録音したものです。

曲もクルーズ中につくった曲も何曲かあります。多少のノイズはあるかもしれませんが、自分はそこよりもその時の空気やフィーリング、音楽は音質ではなく愛だと言う事も踏まえ伝えたいと思いました。

アルバムは乗船中に必ず仕上げる意気込みでいましたが、9月ごろまでは日々の演奏もあり、なかなか気に入った曲もできずいろいろ考えていました。

そこで同じ船に乗船中のヴァイオリニスト小西理子さんと船内でデュオで演奏する機会ができ、ヴァイオリンとのデュオ曲を作ったら面白いんじゃないかと思いそこからアルバムづくりが進んだ感じがあります。

曲づくりの際自分の頭の中ではギター以外の音がなっている事が多いです、例えばサックス、トランペット、ピアノ、ヴァイオリンなどいろいろです。
曲のタイトルを決めて、そのタイトルにメロディーをつけるとういうこともあります。

曲づくりというのは直観的で出てくる事が多いですが、それが降りてくるまでは自分でもがいていないといけません。そこは多少しんどいところですが、それがふっと抜ける瞬間があり、そこから曲ができる感じです。

1.Empty Ocean

話しは少しそれましたが、曲の解説をしていきたいと思います。
アルバム1曲目のヴァイオリンとのデュオ曲「Empty Ocean」は船内で1番最初に形になった曲で、彼女から曲のイメージを参考に、そこから広げていきました。
日々眺める広い海や、船での生活、寂しさや愛など様々なものがインスピレーションとなり生まれた曲です。
久しぶりに無意識の中から曲がうまれた感じがしたのがうれしかったです。

タイトルは訳すと「空っぽの海」というタイトルですが、空は無限でという意味で、この世の中の全てが海のようにつながっているという意味合いを持たせたかったのです。人の心や起こる全ての事は関係ないように見えてもつながっていると思います。

ヴァイオリンとのデュオ曲をつくったのははじめてだったのですが、はじめて合わせた時想像以上のエネルギーがあって感動しました(自分で言うのもあれですが、まず自分が感動できないとリスナーに感動を与える事はできないと思っています)

それはもちろん一緒にやる人の相性とかもありますが、彼女が曲を理解してくれて、その魅力を引き出してくれている事にとても感謝してます。

ギターもただの伴奏ではなく、ハーモニーをつけたりメロディを交換したり意外とあまりない感じになっていると思います。

船では涙を流しながら聴いてくれてるお客さんもいたり、陸にいるファンの方々でもこの曲を気に入ってくれてる方が多いのは本当にうれしいです。 

3.Dolphins lead the ship

この曲はメキシコに着くまえの9月中旬頃につくったと思います。
早朝に船のデッキに出てたまたまイルカが見えて思ったよりも感動してつくった曲です笑

4.Alone on blue

アルバムタイトルにもなってる曲ですが、下船1週間くらい前にできた曲です。
あと一曲キーとなる曲が必要だと思っていて、この時期も自分を追い込んでやっていました。

ヴァイオリンとの録音は船内のあいているバーやラウンジなどを探してやっていたのですが、人が入って来たり掃除がはじまったりとかで思うように進まず、最終的には下船の日まで録音出来ずワンチャンスを狙って録音したものです、なので思い入れも強い曲です。

この曲も理子さんの音色がぴったりハマっていると思っていますし、個人的にはお互いのフィーリングも合った録音で満足しています。

6.Blues from the cabin

文字通り自分のキャビンで録ったブルースの即興演奏です。一年半くらい前からリズムの感じ方を180度ひっくり返してやっています。なぜならアメリカの音楽はバックビートだからです。今まで何か違うなと思っていた物がそれでした。
今もまだまだ試行錯誤ですが、少なくとも昔から自分の事を知っているリスナーの方は何か違いを感じてもらえると思います。

7.Uncertainly

「不確かに」とか「フラフラ」といった意味ですが、乗船前につくった曲で弾いてみたら今録音する時だと感じたので録りました。
この世の中に確かな物など一つもないし、それを他人求めたりするのも違うと思います。
確実なものなどないのにそれを求めているのはどうかと思います。
人間誰もが不確かさの中で生きています。それでも進んでいかなくてはならない。
だから夢を見続ける事はとても大事な事なんです。
そういったニュアンスの曲です。

8.O’carollan’s draught

こちらはカバー曲で1600年から1700年代の曲でギターデュオでやった事があった曲です。
ヴァイオリンが合うと思い演奏してもらいました。ギターがハーモニーを弾いたり短い曲ながらも試行錯誤した曲です。
ソロよりもデュオが映える曲だと思います。

9.St Luis blues

ブルースがはじめて楽譜になったW.C handyという人の曲で本当にいろんなバージョンがあります。
これもヴァイオリンが合うと思いましたし、やはり自分はブルースが好きなのでクラシック上がりの理子さんとどういう感じになるか実験的にやった感じもあります。
船内で演奏を重ねるたび彼女の演奏もブルースっぽく変化していって、個人的にはそれも面白かったです。

11.Out in New York

「ニューヨークの外で」みたいなニュアンスのタイトルです。
オンラインで3年以上ギターレッスンをしている方がいて、その人がニューヨーク在住だったので会う約束をしていたのですが、ニューヨークはクルー(乗組員)全員降りれない事になり、ニューヨークにいながら1日船で過ごした思い出があります。
その日に絶対曲をつくってやろうと思い一日でつくった曲です。
それでもニューヨークの夜景は綺麗でした。

13.From here to somewhere

アルバムの最後はカントリー調のデュオ曲で、この曲を船内でつくって少しやっていなかったのですが、デュオで演奏した時にとてもいい感じになったのでこれもアルバムにいれました。
自分の曲は昔の曲のコード進行などを元にしているものが多く、それに自分のテイストをのせてる感じです。
なのでよくあるカントリーっぽさがあると思います。

最後に

やはり長くなってしまいましたが、最後まで読んでくれてありがとうございます!
今思えば4ヶ月ほどのクルーズ中これだけ曲ができたのは自力以外の力が働いたと思いますし、そういう環境はミュージシャンにとってとても有難いです。
クルーズ中いろいろありましたが、素晴らしいヴァイオリニストと出会えて、曲も生まれ、アルバムもリリースできて本当にうれしいです。
アルバム聴いてくれた方は少しでも背景を知る事ができたら幸いです、そうでない方は1度聴いて頂けたらうれしいです。

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