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C.3Dプリンターのススメ(金属3Dプリントの現在地)

皆さんこんにちは。ゆうたろすです🐎
今回は、私が愛読している3D Printing Media Network様より記事を引用して、金属3Dプリントの長所と短所を正しく理解してもらえるようにまとめてみました。

本日はこちら。

GE engineers switched four existing parts from castings to metal 3D printing(2021年5月6日公開)
「GEの技術者は既存部品の製造方法を鋳造から3Dプリントへ変更しました」
非常にシンプルなタイトルですが、内容は強烈なゲームチェンジで劇的です。早速見てみましょう。
(先に結論を書いています。詳細の説明は目次より下に記載します。)

【結論】
これまでのケースとは異なり、部品の統合無しに1対1で3Dプリントするメリットが確認できた。
メリット詳細はコスト(35%↓)市場投入までの時間(18ヶ月→10ヶ月)


これまでのGEにおける3Dプリント活用ストーリー

これまで航空機部品に対してGEが3Dプリントを活用する有名なストーリーが2つありました。

1つ目はターボプロップエンジン(2017年開発)

・855パーツをAM用に再設計して12パーツ
・100ポンド以上の重量を削減し、燃料燃焼効率をMAX20%改善
・3D印刷することで単品としては高価だが、燃焼効率の向上と、部品点数の削減により総合的にみてコストメリット
GE Successfully tested Its advanced turboprop engine with 3D printed parts

2つ目はLEAPエンジンの燃料ノズル(2015年開発)

・20個のパーツを1つのパーツに。溶接が必要無くなった
・重量が25%減少することにより、燃料の燃焼効率が向上、コストメリットあり。
GE Aviation already 3D printed 30,000 fuel nozzles for its LEAP engine

いずれのパターンも、部品点数を削減することにより「製造費」「人件費」「使用する燃料コスト」の総合でメリットを見出しています。

このような3Dプリントの適用がこれまでのセオリーでしたが、問題はAMを熟知した技術者が大量に必要という点です。日本はまだまだ技術が成熟していないため、一部の限られた企業でしか3Dプリントが活用できない原因となっていました。

コスト面でのゲームチェンジ

今回の恐るべき点は、シンプルに代替の製造方法として3Dプリントが機能している点です。
ある部品1点についてのみ考えた際に、鋳造よりも3Dプリントした方が安い、という試算が4社中4社から出されているとのこと。

つまり、「外注先の3Dプリント屋さんに頼めば、他の外注先(鋳造屋さん)よりも安く部品が手に入りました」というシンプルなストーリーに。
部品の統合もなく、1:1で「製造費」に直接コストメリットが生まれた点がこれまでと大きく異なっています。

GEに限らず、大企業ではコスト削減の企業努力を常に考えています。2020年GEでは、1年前には見られなかった技術の向上を3Dプリンティングに見出し、鋳造部品のコストダウン検討を開始しました。

航空分野向け鋳造屋さんというのは非常に限られた企業のみが取り組むニッチな産業です。そのため、新陳代謝が起こらず顕著なコストダウンも進まない点や、COVID-19で顕在化したサプライチェーンの制限などが懸念されました。

AMという持続的な製造方法

一方、現在進行形で企業の勃興が絶えない3Dプリント業界では、技術面でも企業面でも新陳代謝が盛んに行われています。
SUSTAINABLITYの観点からも3Dプリント活用が重要視されています。

これまでの製造方法はSubtractive(減法製造)であるのに対して、3DプリントはAdditive(加法製造)です。
(これまでは金属ブロックを加工して廃棄物を沢山出しながら部品を作ったのに対して、3Dプリントは廃棄物をほとんど出さない)

この根本的な製造方法の違いから、得意とする形状や製造出来る部品の幅が全く変わります。
・複雑になればなるほど有利
・簡単なパーツの形状確認が簡単
・金型や治具工具への先行投資が不要

実力と将来性

コストメリットが証明され、パーツの実力も十分なものができあがりました。結論として3Dプリントの実力が申し分なく証明されたGEの新たなプロジェクトでした。

【結論】
・部品の統合をせず、「製造費」のみでコストメリットが出すことができた
・金型などのイニシャルコストを発生させることなく、プロジェクト初期から試作品の製作が可能
・開始から数週間以内に完成したできた3Dプリント試作品が従来品と同じ性能
・今後の鋳造部品設計においても、3Dプリントでの試作評価により互換性のある性能評価ができるのでは?

いかがでしたでしょうか!今回は高級品と思われがちな金属3Dプリントについてでした。
決して安くはない設備導入費用が必要ですが、近年のコスト低下には目を見張るものがあります。(ただし、取り組む部品の選定が重要です。)
是非取り入れてみては如何でしょうか。


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「3Dプリンターが創る未来」については様々な議論が交わされています。
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ゆうたろす
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