短編小説「人生の夏休み」第1話
地下鉄の階段を1段飛ばしで駆け上がり、急いで改札を出ようとした時、僕のICOCAが機械に拒絶された。嫌な音とともに僕のイライラは膨れ上がり、後ろの人からの視線とそれによる羞恥心が、僕のイライラを倍増させた。
8月1日。定期の期限切れ。残高も39円しかない。
昨晩の徹夜による頭痛・倦怠感を頭に背負ったまま、お金をチャージしに改札の長蛇の列から、一人抜け出した。
いつからだろう。
大学のレポートは友達にお金を払って写し、テストは先輩のまとめた過去問を前日に徹夜し暗記する。全国で