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半年間の高校生×地域活動プロジェクト Vol.1 活動開始 + 活動の目的

 みなさん、こんにちは。2020年春、益田市内の公民館18館さんと益田市教育委員会さん、そして市内の私立明誠高校さんと連携した、壮大なプロジェクトが始まりました。それは「半年間の高校生×地域活動プロジェクト」です! 高校生が、半年かけて地域に出向いてどっぷり地域に浸かりながら、地域のために出来ることをやっていきます。詳細は以下の通りです。

【半年間の高校生×地域活動プロジェクト とは?】
・2019年より開始した事業
・益田の私立明誠高校の授業の一環(課題探究型授業「キャリアサポート」)
・生徒約80人が4-5人のチームに分かれて各地域18地区を担当する
・半年かけて9回程度訪問(5月頃-11月頃)
・地域のことを学びながら、生徒が自分たちでも出来る地域貢献活動を行う
・各回の訪問時間は、公民館との協議の上で決まる(半日から終日)
・私立明誠高校、益田市教育委員会、市内公民館、 ユタラボによる協働事業

初回訪問

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 2020年6月、コロナ禍で実施が危ぶまれながらも、生徒の地域への初回訪問が行われました。公民館へのアポ取りも、高校生が自ら電話で行いました。初回訪問は、地域の窓口となる公民館さんとの顔合わせと自己紹介。緊張感が漂うなかで、互いに探り探りの中でのスタート。自己紹介の中で、学校に入学した理由や公民館に就職した理由などを話し、お互いのことを知ったことで、少しずつ緊張感が和らいでいきました。次回は、実際に高校生たちが地域を散策します。これから半年間のドラマが楽しみです。

 本稿では、このプロジェクトの狙いや今後の展開について紹介したいと思います。

【特徴1】 豊かな活動フィールド - 港町、山村、農村集落、都市部

 そもそも、なぜ益田の地域を活動のフィールドにしたのでしょうか。益田市の歴史と特色を紐解いて、その理由を見てみましょう。
 益田市は、昭和初期から旧村単位で20以上の集落が合併を繰り返してできたため、多様性に満ちたまちという特色を持っています。具体的には、空港・商業・娯楽施設が立ち並ぶ都市部、オーシャンブルーが広がる日本海に面した港町、清流日本一を誇る高津川の恵みにあずかる農村集落、中国山地の広大な自然に囲まれた山村といったように、いろんな顔を持ち合わせた集落が共存しています。多様な背景を抱えた多様な地区があるということは、それだけ多様な活動フィールドがあるということです。

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 さて、説明が長くなりましたが、そこに注目して生まれたのが今回のプロジェクトです。益田市という大きな単位で活動するのではなく、あえて旧村単位の各地区ごとに出向くスタイルを取ったのです。そうすることで、生徒が少人数で各地区に入り込み、地域住民との距離も近く、一層リアルな地域事情に触れることが出来ます。

【特徴2】 大事なのは、生徒と地域のwin-winな関係

 このプロジェクトは、学校の授業としてだけではなく、地域側の公民館(教育委員会管轄)や弊団体ユタラボが協働してつくっているプロジェクトです。

[ 生徒にとって ] 
 生徒は、リアルな社会での活動を通して生きた学びを得て、成長することができます。実際に地域に出ることで、地域住民と出会い、地域の悩みや過疎地域の実情に触れていきます。地域だからこそ聞けるリアルな声、なんとか力になりたいと揺さぶられる心、お金に変えられない人の温かさに触れること、時には地域の方に迷惑をかけて怒られること。すべてが生きた学びになっていきます。そこから火が灯った生徒が、自分たちも地域の担い手の1人として、地域住民と協力しながら活動を生み出していきます。

[ 地域にとって ]
 大学のない益田市は、多くの子どもたちが高校卒業後に市外へ飛び立っていきます。だからこそ、子どもたちに益田暮らしの魅力を伝えていくことは、将来益田を選んでもらうための大事なミッションとなります。
 また、過疎地域の多い益田は、少子高齢化も深刻となっています。若い担い手が地域に少ないからこそ、まちを活性化させていく上でも高校生の視点はとても重要です。高校生を子ども扱いせず地域の担い手の1人として迎え入れることは、地域に今までなかった新しい価値を生み出していくことに繋がります。

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【特徴3】半年間の「活動」のゴールを設定しない

 このプロジェクトでは、半年間で9回程度授業で生徒が地域に訪問することは決まっていますが、活動の具体は決まっていません。また、毎回の訪問日時や滞在時間もある程度柔軟に決められるようになっています。つまり、具体は生徒と地域住民による対話によって決まるのです。
 生徒にとって、すべてがカリキュラムとして埋め込まれているわけではないからこそ、自分たちで考えていかなければなりません。地域に貢献しながら成長していくという漠然とした目標の中で、はじめましての地域住民と物語をつくっていかなければならない。それこそが、予測不可能な未来を自分の手で切り拓く力にも繋がっていきます。
 また、地域側にとっても、生徒を受け入れることは容易なことではありません。生徒は自分の意思とは関係なく学校の授業として地域に出るからこそ、全員が最初から同じモチベーションではありません。その中で、どう生徒にその地域の魅力や課題を伝えて、地域のファンになってもらうか。今までその地域にゆかりのなかった生徒が半年かけて関わるからこそ、新しい関係人口、さらには将来の定住人口として、これからもその地域と関わりを持ってもらえるチャンスにもなります。

ユタラボの狙い

[ ユタラボの役割 ]
 今回のプロジェクトでは、ユタラボは公民館と学校の間に入り、中間支援の役割を果たします。公民館さんと一緒に、高校生にどう地域の魅力を伝えていくのか考えたり、学校さんと一緒に、生徒の地域活動をどう伴走していくのか考えたりと、各諸団体への必要なサポートを行なっていきます。

[ ユタラボの狙い ]
 唐突ですが、弊団体の正式名は「豊かな暮らしラボラトリー」と言います。ラボラトリーとは研究所という意味で、これからの時代の豊かな暮らしとは何か、みんなで探究して実現していきたいという願いが込められています。このプロジェクトは、地域にどっぷり浸かるからこそ、豊かな暮らしを考えるにはうってつけの機会です。高校生が地域の担い手の一員として、自らその地域で自分の想いを形にしていく。この経験を通して、「田舎には何もない」ではなく、「楽しみは自分たちでつくればいい」ときっと思えるはず。私たちユタラボはこのプロジェクトを通して、子どもたちに幸せとは何か、豊かな暮らしとは何か、改めて考えるきっかけを届けたいと思っております。

 文: ユタラボ 檜垣賢一

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