技術者の付加価値
最近、技術部門のメンバーと会話をしていて、技術者には大きく2つの能力を持っておくのが良いのではと感じたので記す。
技術者の定義
技術や技術者というと、人それぞれ違うイメージを持っているかもしれない。ここでは、「何か課題があった時にそれを解決できる手段や方法」と技術と定義し、「実際にそれを使って解決できる能力を持つ人」を技術者とする。
丁寧に書くと、「明確になっている課題に対して、ある解決方法が有効であることを示すことができる」人が技術者になる。
課題と解決方法の関係
しかしながら、実際の事業活動にあたっては、それだけでは足りない。課題が明確になっていないか、手段がどのような課題に効果があるかわかっていないケースが多いためだ。場合によっては両方がわかっていない。
この時、上記のギャップを埋める能力が必要になる。主には課題からアプローチするか、手段からアプローチするかで以下に分けられる。
不明確な課題に対して、課題を深掘りしていき、ある解決方法が有効であることを示すことができる。
ある手段があるとき、それがどのような課題に対して有効かを示すことができる。
課題の深掘り
課題の深掘りを行うのは論理的思考の話になる。これは、別に技術者だから得意というわけでもない。どちらかというと企画側に求められる能力かもしれない。
例えばプログラマは与えられた要件に対しコーディングをする能力が求められる。曖昧な要件を提示されたら、「わかりません」となるのは一理ある。要件を提示する側が、コーディングのイメージが湧くように要件定義を行えば良いということにもなる。他方、そのような相手に対して具体的な質問を行い、相手の深層にある課題を明確にできると、付加価値になる。
なお、技術営業や技術コンサルタントといった職種の場合は、課題の深掘りの能力は必要になる。往々にして顧客は自分の課題が明確になっていないことが多いため。
有効性を示す
これは、抽象化、概念化の能力の話になる。ある手段は、どのような条件でどのような作用が起こるか。それは良いことか、悪いことか、他の手段と比較して優位か。これらの分析の結果として、「何が価値になるか」を示す。
これは、やはり技術者に備わっていた方がいい能力だ。なぜなら、自分の有する知識やスキルがどういった状況で効果を発揮するかを理解していなければ、自身の市場価値を最大化できないからだ。
もちろん、いわゆる企画を進める人もあった方が良い。世界中に埋もれた解決手段の原石に対し、その内容を吟味するだけで「何に使えるか」が分かるようになる。そうなれば引き出しが増える。引き出しが増えるということは、課題を深掘りしていった時に解決への方法が最短で見つかる。
境界線にどこまで踏み込むか
ニトリは、小売業ながら技術者を多く抱えている。また、IT人材枠(技術者)でも1年半の現場研修を行うという。
これには、違和感を持つ技術者がいるという。往々にして、技術者はその技術の中身を深掘りすることが大好きだからだろう。例えば、コーディングの手法、データベースの扱い方、システム設計のベストプラクティスなどなど、実現するための方法を磨くことが価値になるように思える。
他方、前述のように、往々にして事業においては、課題を見つける人材、その課題を最速で解決する方法を編み出す人材が求められる。どうせなら課題の深掘りができる能力、要素技術から有効性を見出せる能力の両方を有しておくのが良いのではないか。
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