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現実とコンピュータネットワークを繋ぐモバイルインフラをつくる

私はモバイルインフラに携わる仕事をしている。
モバイルインフラは技術的な世代交代を経て進歩している中で、我々技術者はどう仕事に携わるべきか、その所信を述べる。

携帯電話が登場して今日まで、いつの時代も、ネットワークにつなぐために存在するデバイスが我々の身近にある。
スマートフォンになり、Wi-Fiなどインターネットへのアクセス方法は増えたが、それでも4Gや5Gなどのモバイルインフラは不可欠であり、多くの人々はモバイルインターネットの契約を続けている。

今、モバイルインフラはどのような役割を担っているのだろうか。そして、この先どのような役割を担うのだろうか。

自動車電話や携帯電話が出始めた頃、デバイスの役割は人と人とを音声で繋ぐことだった。i-modeの普及で、モバイルインターネットへのアクセスの役割が出てきた。そして、スマートフォンの普及でインターネットアクセスの役割は更に強まった。我々はSNS, blog, 動画サイトなど、多様なコンテンツを消費したり発信したりできるようになった。

そして、ここ数年で現実世界とコンピュータネットワークの境は無くなってきた。

開拓者の一つはAmazonだろう。AmazonはECサイトを拡大させていく中で、倉庫や物流網を整備した。そして、サイトを通じて商品の購入から自宅への配送までを一連の体験として提供できるようになった。人々にとって、インターネットの活動と現実の活動が結合されたことを意味する。

コロナ禍により、インターネットと現実の融合は進む。
Uber Eatsを始めとするオンラインデリバリー、タクシーの配車、マクドナルドやスターバックスなどのオンラインオーダー。ネットワークを通じて注文・決済を済ませれば、それが現実世界にフィードバックされる。
すかいらーくグループなどで採用されるタッチパッド注文も、部分的には融合と言える。インターネットは通していないだろうが、店舗内のネットワークなしに注文は成立しない。

この動きが今後も広がっていくとした時、モバイルインフラは現実世界とコンピュータネットワークを繋ぐための存在となる。

見方を変えると、現実世界とコンピュータネットワークの両輪があって初めて、モバイルインフラの存在価値が出る。圧倒的なエリアがあるだけでも不十分であるし、どれだけ役に立つかわからないピークレートだけでも意味をなさない。データ使用量に応じた課金は足枷になるかもしれない。

常に現実とコンピュータネットワークが相互に連動し続ける世界では、我々の行動は直ちにコンピュータネットワークに反映され、コンピュータネットワークの処理結果は直ちに現実世界に戻されるべきである。音や光の到達に我々が遅れを感じないように、コンピュータネットワーク処理が現実世界の現象として違和感なく反映されることが理想だ。

技術者の理解が分断され続けているようでは、そんな理想に到達しない。サーバサイドの処理、ネットワーク・インフラの処理、デバイスの処理、それぞれが一つの体験を支える要素であることを我々理解しなければならない。
特にインフラ進歩は遅い。インフラのエンジニアは先を見なければならない。サーバやデバイスの処理がどのように進歩していき、ネットワークをどのように捉えているかを正確に理解し、その理解の中で技術の目利きをしていく。現実とコンピュータネットワークを繋ぐモバイルインフラを実現するため、この二つを所信としたい。


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