両利きの経営:探求に評価制度は寄与するか
スタートアップを育てる P.194
独自の文化を許容する P.194
自らのビジョンを説明する P.186
ビジョンに対してエンゲージメントのない上級幹部は交代する P.186
上記は、両利きの経営で述べられている、深化と探求に成功する企業の特徴である。これらがあれば必ずしも成功するというわけではないが、そのエッセンスになり得るようだ。
探求の成功要素にないもの
本書には、成功の要素として従業員の評価制度については触れられていない。上位層についてはリーダーシップや支援であったり、上級幹部の交代まで示唆しているにも関わらずである。従業員の挑戦やそのプロセスを評価するといった仕組みは、探求に繋がらないのだろうか。
評価制度は短期的な成果を促すもの
おおむね個々の評価は、半期ごとや一年ごとに行われる。そうなると、半年や一年間でどれだけの成果を挙げたか、そのプロセスは素晴らしかったかで評価をせざるを得ない。また、その成果は具体的または定量的でなければならない。相対的に評価が行われる場合、数値化できないと比べることはできないからだ。数値化が困難だとしても、少なくとも言語化は必要になる。
また、どれだけ挑戦したかについても評価は簡単ではない。挑戦したけど成果に繋がらなかったものに対して、そのプロセスが今後の組織にどう活きて来るのかが定量的に評価できないためだ。
そうなると、個人の評価は短期間にどれだけ成果を出したか、またそれはあるプロセスに従っており十分再現性があるか、で決まってくる。これらを満たしている人が評価されやすい。
綺麗事では失敗を恐れずチャレンジした人を讃える、と言っても、その失敗やチャレンジが何年後にどう役立つのか誰も担保できない。
それでも探求をしたいか
自分自身が働くにあたり、探求にその時間を捧げたいと思うならば、ある程度の空振りや想定を下回る評価を伴うことは覚悟したほうが良いのかもしれない。
誰もが重要と理解し結果が出ることが分かっている仕事をやりたい人もいれば、重要性も理解されず結果がどうなるかわからないけれど信念を持って取り組む仕事をやりたい人もいるだろう。
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