ソーシャル・イノベーションとは何?
テレビや、新聞にかぎらず、日常で「イノベーション」という言葉は、おなじみかと思います。
とはいえ、イノベーションとは何でしょう?
「イノベーション」の前に「ソーシャル」が加わって「ソーシャル・イノベーション」となると、「日頃よくしゃべっているが、実はよくわからない」とのお声をお聞きします。
歴史をひもとくと、イノベーションを世界で初めて1934年に提唱したのはシュンペーターという経済学者です。
彼はイノベーションを「新しい結びつき(「新結合」: new combinations)」と説明しました。
「何かと、何かを、新しく結びつければ、イノベーション」といえます。
わかりやすい表現にしますと、イノベーションとは「 X(かける)ナントカ」です。
例1)「お〜い お茶」=お茶 X 缶やペットボトル
1985年に「お〜い お茶」を伊藤園が発売開始したとき、「お茶とは、各家庭や職場でお湯を沸かして作るものだ。売れるわけがない」という第一印象が広がりました。
ですが、保存そして持ち運びが容易な、缶やペットボトルと、お茶を組み合わせることで、今や各地のお店や職場で、なくてはならないものになりました。
例2)「iPhone」=クラウド技術 X 携帯電話の端末
クラウド技術が2006年から普及し、各人が自分の端末に機能やデータをため込まなくても、インターネットに置いておき、必要に応じて接続して使うことが日常になりました。
携帯電話の生産技術も向上し、画面をトントンとタップすれば、操作できるようになりました。
よって、パソコンのように機能が豊富なのに、手のひらサイズで、持ち運びしやすい端末です、と2007年にスティーブ・ジョブズはiPhoneを発表しました。
そして、「ソーシャル(social)」は「社会的な」と直訳されますが、「社会貢献を目指す」、ひいては「社会課題の解決を目指す」という意味になります。
よって、ソーシャル・イノベーションを日本語にしますと、「社会課題の解決を目的とした新しい結びつき」です。
ソーシャル・イノベーションは、ハイテクでなくてもOKです。
例えば、水問題に悩む途上国で、子どもが飲み水を長時間歩いて運ぶ地域は多く、学校で学ぶ貴重な時間が消えてしまいます。
そこで、従来に比較すれば省力で、きれいな水を多く運べる「Qドラム」が導入され、「軽量ドラム X 人力」というソーシャル・イノベーションが生まれています。
なお、社会課題の見分け方として、「何が社会課題の根っこか? どういう社会の仕組み(システム)の不備(systemic problem)が原因か?」が目安になりますが、改めて解説します。
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