真夏のミステリーゾーン
今日もちょっと不思議なお話です。
皆さんはわけのわからない、説明がつかない何かにはまってしまったことがありますか?
数年前のことです。夏のある日、私はパスポートが切れそうなので申請に出かけたのです。
いくらもともとこの地の人間ではないと言っても、もう30数年住んでいます。そして市役所への道はどれだけ歩いたか数えきれないほど通った道なのです。
確かに、その時、市役所はリフォーム中で、いつもと同じところに出入り口はありませんでした。いつもとは違う遠回しになる西側の出口から出て行ったのを覚えています。
しかし、いったん出てしまえば、いつもと何ら変わることのない道が目の前にあり、いったん車道を渡ると、そこをひたすらわが家へ向かえばよかったのです。
弱い雨が降っていました。確かに傘を持っていたということはいつもとは勝手が違っていたでしょう。
市役所から出ると、車道を横切って、もう少しまっすぐ進んで落ち着ける小道を通ることにしたのです。
それがどうも見たことがないお店ばかりが並んでいました。
あれ?と思いながらももうしばらく進みました。
ふと、傘を傾けて左側にある景色を見ると、そこには下関の海峡から見える向かいの港、見慣れた門司港の景色が広がっていました。
何も考えずそのまま歩いていくと、ついには下関駅についてしまう道を私はひたすら10分も歩いていたのです。
南西に向かって?・・・。
自分では北に向かって歩いているつもりでした。すぐに引き返して市役所から出て横切った車道に戻りました。
そして、もう一回角っこを曲がったように思えます。
(ここのところが分からないのです。行きは曲がった覚えがない。そして、気が付いたら西に向かっていたという道に市役所から行き着くには道路を渡ってから我が家に向かっての右折ではなく左折しなければならなかったはずなのです。誰か説明できたらしてください。)
すると道のわきにいつものポストがちゃんと見えました。
あれから何度もその道へ戻りましたが、二度とその先の訳の分からない道を試そうとは思いませんでした。
知人に言うと、ついに痴ほうが始まったか、などと言われてしまいました。
私が幼かった時、祖父からきいた狐に騙されて同じところをぐるぐる回っていた、というお話を思い出したのですが、これもそのたぐいでしょうか?
祖父は山の中だか峠だか、そんなところを歩いていたようです。
いずれにせよ、昔の人たちにとってそんな怪異はもっと身近な存在だったのは確かでしょう。