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財務省の緊縮財政の根拠が崩された歴史的な日~参議院財政金融委員会:西田昌司参議院議員による質問 令和4年3月15日

前言

 Twitterなどで話をしていると、まだまだ一定数「信用創造なんて存在しない」「日銀当座預金の原資は民間銀行の預金」等を頑なに信じてる方がいらっしゃる。
 今回、西田議員が日銀担当者・財務省担当者に質問をぶつける形で、信用創造はあり、日銀当座預金の原資は民間銀行に預けられた預金ではない、という証言を引き出している。
 そのような言動に悩まされてる方々の為に、三橋氏が西田議員のやりとりの動画を自分のチャンネルであげてくれました。私も観たのですが、日銀と財務省の返答が長すぎて、何を言ってるのか初見ではわからなかったこともあり、活字に起こしてじっくり文字を見て勉強しよう、という目的の為、今回、文字起こしをしてみました。
 今回、文字起こしをするにあたり、「あー」とか「えー」等の調整語や、重複する発言語彙の箇所はまとめてスッキリ見やすくしました。
 一方、西田議員に「市場の信任って何?」と質問され、しどろもどろな財務省の担当者側の返答箇所につきましては、その「しどろもどろ」さ、即ち「本当はあなたもよくわかってないだろ」感を出すため、敢えて「えー」「あのー」も忠実に入れました(笑)
 また、日銀担当・財務省担当の、冒頭の「お答え申し上げます」は省略致しました。
 そして、今回の見どころは複数あるのですが、やはり個人的には、西田議員が「市場の信頼って何?」と聞かれて、財務省担当者はしどろもどろで返答するも、市場の信頼の具体的説明ができてない、という点。これにより、「市場の信任が失われるから積極財政出動できない」という財務省の礎が粉々に砕かれた、と私は思います。

動画URL:https://youtu.be/X15jeasQCVE


発言内容書き起こし

1.日本銀行が信用創造はある、と認めた瞬間

西田議員:
 今日は所得税法の改正の法律案があるんですけれども、まずその所得税以前にですね、財政がこのままでは破綻するということを現職の事務次官が昨年衆議院選挙の最中に月刊誌に発表されまして、物議を醸したんですけれども、あの論文読んでましてね、私残念ながらあの方は全く財政のことをわかっておられないな、と思いました。
 何故かと言うとですね、国債発行というのは一体、何を意味するのか、という根本的なところがですね、理解がされてないように思いますので、まず今日はそのところをですね、皆さん方と一緒に議論させて頂きたいと思っております。
 まずですね、一番大事なポイントは、信用創造ということなんです。これは、銀行がお金を貸し出すことで銀行預金が生まれてくる、いわば、無から有が生まれてくる、そういう仕組みで現代の社会の中で当たり前に行われているくらい事実であります。理論でなくて事実でありますが、まずこの信用創造についてですね、日銀さんから説明をして頂きたいと思います。

日本銀行 清水企画局長:
 現実の銀行実務に即して申し上げますと、民間銀行は家計や企業に資金需要があり、かつ、貸出金利が借り手の返済能力や審査費用に見合った水準であると判断すれば、貸し出しを実行致します。その際、借り手の預金口座には同額の預金が発生し、ここに信用創造が行われることになる、というふうに理解してございます。

西田議員:
 皆さん方には資料配らせて頂いてますが、まず最初に書いてある「銀行による貸付」とありますね。これが今、日銀の局長が説明して頂いたことです。

信用創造とは銀行が貸付により同額の預金を作ること
銀行による貸付
【銀 行】 貸付金 1000 / 預 金 1000
【民 間】 預 金 1000 / 借入金 1000
以上のように銀行は元手資金なしに貸し付けにより預金を発生させる

西田議員配布資料より

 銀行側は貸付金という資産が生まれるわけですね。そして反対側に負債としてですね預金というのが生まれている。同じことが今度は民間の借りた人の方はどうなるかというと、預金という資産が生まれる。そして借入金という負債が生まれる。これはこういう仕訳で発生する。
 ここにお金のやりとりは一切ないんです。ただ単に記帳している、それだけで生まれる。お金のやり取りじゃなくて、記帳して、要するにコンピュータのキー操作・キーストロークで生まれるとかですね、万年筆で書いて生まれるとか、そういう言い方しますけれども、要するに実物のおカネ・紙幣が動いたり金が動いたりするのではなくて、こういう情報がお互いにやりとりされることにより生まれる。こういうことでいいですね。

日本銀行 清水企画局長:
 先ほどご説明いたしました通り、貸し出しの際には、借り手の預金口座には同額の預金残高が発生し、ここに信用創造が行われる、というところについては、先生ご説明の通りでございます


2.日本銀行が国債発行分も信用創造が行われている、と認めた瞬間

西田議員:
 ここが大事なポイントで、皆さん方と一緒に確認させて頂きたい。要するに、銀行は、皆さん方がお金を預けたお金を貸してるというふうに一般的には思われているんですが、現実はそうじゃないということなんです。預けたお金で貸してるんじゃなくて、何もない所からお金を貸したら、その貸した人の銀行預金が増える。これが事実だ、ということを今、日銀が言ってくれたわけですね。
 実はこの同じことが、新規国債発行により財政出動すると、政府の負債は増えるが、同額の民間預金が増えるということになるんですが、これも事実だと思いますが、日銀の方から説明してください。

日本銀行 清水企画局長:
 こちらも銀行実務に即して申し上げますと、銀行は国債の金利や償還までの期間といった条件が、自らの投資目線に見合うものと判断すれば、国債を購入致します。
 その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使いますと、その資金は家計や企業の預金口座に流入し、預金がそれだけ増加致します。このように銀行の国債購入分だけ民間の預金が増えている、という意味で、貸し出しの場合と同様、信用創造が行われている、ということになります。


3.西田議員による政府支出・国債発行・民間銀行預金が増える過程説明

西田議員:
 今、明確に言ってくれましたね。信用創造と同じことが行われている、と。これをもう少し詳しく説明すると、国債発行による財政出動が事実上の信用創造である、と書いてますが、これは今、日銀が言ったように、まず国債を政府が発行します。そうすると、日銀当座預金、政府預金なんですけれども、日銀にある政府預金がその分増えます。そして、政府側は国債という負債を発生させることになります。銀行は、新規発行した場合引き受けますから、銀行側では国債を買う、と。そして代金として日銀当座預金、まあ準備預金というものなんですけれども、それを支払う、と。こういう仕訳になる訳ですね。
 政府側は何か財政支出をします、と。そのことによって政府預金が出る訳ですね。日銀当座預金・政府預金がその分出ていく、と。
 そして民間側は、例えば財政出動したその工事を民間事業者が公共事業で請けた、としましょう。その場合は、民間の方で自分の銀行預金が増えて、売り上げが立つ、こういうことです。民間銀行はどうなるかというと、民間銀行に預金が増えるから、増えた分だけ銀行側は日銀当座預金=準備預金が増える、と。こういう仕訳になる訳です。

国債発行による財政出動が事実上の信用創造である
①国債発行
【政 府】 日銀当預 1000 / 国  債 1000
【銀 行】 国  債 1000 / 日銀当預 1000

②財政出動
【政 府】 政府支出 1000 / 日銀当預 1000
【民 間】 預  金 1000 / 売  上 1000
【銀 行】 日銀当預 1000 / 預  金 1000

西田議員配布資料より

  ちょっとこれ複雑ですけれども各部門ごとにまとめたのが、次のページなんですよ。次のページを見て頂きますと、政府側はどうなるかというと、「日銀当座預金 対 国債」、それから「財政支出 対 日銀当座預金」という仕訳になり、民間側は先ほど言ったように預金が増え、売り上げが増えるという仕訳になり、銀行側はどうなるかというと、国債を購入し、日銀当座預金が出る、と。民間企業がお金を預けたことによって、日銀当座預金が増え、銀行預金が貸し方に負債として出る、と。こういう形になるんです。

【政 府】
日銀当預 1000 / 国  債 1000
財政支出 1000 / 日銀当預 1000

【民 間】
預  金 1000 / 売  上 1000

【銀 行】
国  債 1000 / 日銀当預 1000
日銀当預 1000 / 預  金 1000

西田議員配布資料より

 これをまとめると、相殺するものがありますね、日銀当座預金がそれぞれ。相殺をしていると、政府部門で行うのは、財政支出そして国債という取引が残るだけ。民間の方では、預金と売上という取引が残る。銀行の方では、国債を購入して、銀行預金が増えた、と。こういう仕訳になる訳ですね。

以上の取引を相殺すると以下の通りになる
【政 府】
財政支出 1000 / 国  債 1000
【民 間】
預  金 1000 / 売  上 1000
【銀 行】
国  債 1000 / 預  金 1000

西田議員配布資料より

 これを見て頂けるとわかりますように、これも全く銀行の貸付・借入と同じように政府の負債が増えた分、結局、民間側に預金が増えている、と。こういうことになる訳です。つまり、財政出動も元手の資金なしで預金が発生する。いわゆる、信用創造と全く同じことになっている


4.日本銀行が日銀当座預金は預金者から預かった預金ではない、と認めた瞬間

西田議員:
 そして問題はですね、国債を買う時に日銀当座預金というので民間銀行買ってますね。この日銀当座預金とは一体何なのか、ということなんですけれども、まず日銀に聞きますのは、新規国債発行を引き受ける銀行の財源、これは日銀当座預金、準備預金とも言いますが、いわゆる預金者から預けられた預金ではないですね?そのことをお聞かせください。

日本銀行 清水企画局長:
 銀行が国債を購入する際には、貸し出しの場合とは異なり、即座に預金が発生する訳ではない為、一旦、何らかの手段で購入資金を準備する必要がございます。即ち、日銀当座預金などの手元資金を潤沢に保有してる場合には、銀行はそれを使って国債を購入する、というふうに考えられます。
 一方、手元資金が不足する場合には、短期金融市場等から必要な資金を調達することになります。
 その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使えばその資金は家計や企業の預金口座に流入する為、日銀当座預金を復元させたり、市場から調達した資金を返済したりすることが可能になります
 その結果、全体のプロセスを通しますと、銀行の国債購入と財政支出による預金増加が見合うことになります。

西田議員:
 今、お話にありましたように、要するに、財政出動することによって民間側に預金が出る、と。そして国債を購入する資金はですね、日銀当座預金だ、と。預金者から預けられてるお金でやってるんじゃない、ということを言った訳ですね。
 そもそもですね、その日銀当座預金・準備預金ということが、国債引き受けの財源であるということなんですが、それでよろしいですね。

日本銀行 清水企画局長:
 銀行が日銀当座預金等の手元資金を潤沢に保有している場合、通常は日銀当座預金を使って国債を購入する、と考えられます。その意味では、日銀当座預金が国債購入の財源という言い方も可能かと思います。
 一方、銀行の手元資金が不足する場合には、通常、短期金融市場等で資金調達を行い、その資金を使って、国債を購入致します。このケースにおける国債の購入財源は、市場経由での借入金になるかというふうに理解できると思います。


5.日本銀行が現在、日銀当座預金は潤沢である、と認めた瞬間

西田議員:
 まあ、一般論で言ってるんですけどね。現実論で聞きますと、今、日銀当座預金は銀行側に過剰なほど供給されてるんですが、そうじゃないですか?短期金融市場から調達する必要がありますか?

日本銀行 清水企画局長:
 日本銀行は現在、2%の物価安定の目標の実現という金融運営上の目的からイールドカーブ・コントロール(※1)の枠組みのもとで、10年もの国債金利が0%程度で推移するよう、必要な金額の国債の買い入れを行っています。日本銀行がこうした国債買いオペレーションを通じまして、銀行から国債を買い入れた場合、その分だけ日銀当座預金を供給してることになります。かつ、先生ご説明ございました通り、現在は潤沢な当座預金が供給されてる、という状況でございます

※1:短期金利マイナス金利政策、10年もの国債の金利が概ねゼロ%で推移するように買い入れを行うことで、短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすること。

野村証券 証券用語解説集 より引用

西田議員:
 今言いましたように、潤沢な当座預金が供給されてる、と。そもそも日銀が国債を買って準備預金を供給していることを買いオペと言うんですけれどもね、その買いオペについて今説明して頂いたように、要するに、金利調整ですね、日銀が政策目的としてる超短期の0%付近になる為に、決済の為の口座である日銀当座預金・準備預金口座に潤沢な資金提供をして、日銀のそういう政策目的を実行している、と。こういうことですね。

日本銀行 清水企画局長:
 先ほどご説明した通り、日本銀行は現在、2%の物価安定の目標の実現の為、イールドカーブ・コントロールという枠組みのもとで、短期金利だけではなく長期金利も低位で安定的に推移するよう必要な金額の国債を行っております(※2)。
 そうしたもとで、2%の物価目標が持続的・安定的に達成された際には、現在の大規模な金融緩和を継続する必要がなくなり、長期金利には上昇圧力がかかりうる、ということになります。
 もっとも、現状は、物価安定の実現にはなお時間がかかると見込まれてございますので、引き続き現在の大規模な金融緩和を継続することは適当である、と判断してございます

※2:国債を行っております→「国債発行を行っております」と思われる

西田議員:
 資料の3頁目めくってください。3番目に日銀の買いオペというものをまた仕訳で説明しておりますが、日本銀行の方で言うと、国債を買い取る、と。ですから、資産としての国債が増える。そして日銀当座預金を供給するという、こういう仕訳になる訳ですね。

③日銀買いオペ
【日 銀】
国  債 1000 / 日銀当預 1000
【銀 行】
日銀当預 1000 / 国  債 1000

西田議員配布資料より

 そして銀行側は、国債を売った分日銀当座預金が増える、と。資産としての日銀当座預金が増える、と。これが買いオペで日銀が政策金利目標を実行する為に、必ずこういう買いオペ、特に今はですね、大胆な異次元な金融緩和でどんどん国債を買い取ってますから、銀行には常に十分な当座預金があるという、この事実を是非、皆さん方もご理解頂きたい。
 ということで、今までの話をまとめますとね、要するに信用創造、民間の銀行がお金を貸す、というのは、無から有を創る貸し付けをしたらその分のお金が、銀行の預金勘定が増える、と。これが事実なんです。
 同じく、国債を発行すれば政府の負債・国債は増えるけれども、その分だけ、財政出動した分だけ民間の企業・家計の預金残高が増える、と。ここまで今私が申し上げてきたことです。
 そして更に、その国債を(銀行が)買い取る資金というのは、日銀当座預金なんですけれどもね、その当座預金というのは、日銀自体が供給してる、と。こういうことなんです。


6.西田議員、日銀とのやりとりを踏まえた上で、財務省の拠り所にしている「市場の信頼」の礎を砕いた瞬間

 ですから、まさに無から有を創る仕組みが政府と日銀、財政出動、この取引の中で行われている、ということです。ここを理解した上でですね、先ほど冒頭言いましたように、財務省の事務次官がですね、このままでは政府が財政破綻する、と。この主張をしてる訳なんですけれども、私は財政破綻というのはですね、一体何を意味しているのか、よくわからないんですけれどもね、ま、一般的にはですね、財政破綻というと、いわゆる支払い不能、デフォルトですね、それから金利が暴投してしまって、とんでもないことになっちゃう、とかですね、物価が上がって大変なハイパーインフレになる、等々言われてるんですけれども、何をこの財務次官が言っているのか、具体的なことは書いてないんですけども、兎に角このままでは財政破綻が起こる、と言ってるんですけれども、財政破綻は起きるんですか?事務方からちょっと説明してください。

財務省主計局 阿久澤次長:
 日本の財政につきましては、少子高齢化等を背景として、社会保障関係費が大きく増加する中、諸外国と比べて債務残高GDP費が高い等、厳しい状況にある、ということでございます。そうした中で、社会保障制度を持続可能なものとする為、受益と負担のアンバランスという構造的な課題に取り組むなど、歳出・歳入両面の改革を進めてきたところでございます。
 その上で申し上げれば、年々厳しさを増す財政状況に鑑みますれば、仮に、市場等の信任を失うといった事態が発生すれば、金利の上昇などを通じまして、市場からの資金調達も困難となる可能性も否定できない、と考えております。このため、政府と致しましては、市場の信任を失うような事態が生じないよう引き続き財政健全化に取り組んでいく、ということは重要である、とこのように考えております。

西田議員:
 今の意味わかりましたか?まあ、財務省の方そう言うんですね。普通の人は全くわからないですね。つまり、市場の信任と言いましたけれどもね、市場の信任とは一体どういう意味なの?市場の信任の具体的な意味を教えてください

財務省主計局 阿久澤次長:
 えー、ある程度そのぉ、えー、まさにですね、国債等が、えー、ちゃんと、えー、えー、非常に消化、あのー、あのー、消化される、ということにつきましては、その、えー、そのー、えー、国債に対するですね、一定の信任というものがなければですね、消化がなされない、ということでございます。従いまして、えー、市場の信任とういものが、えー、失われますと、えー、市場からの資金調達が困難となる等の、えー、情況が発生する、とこのように考えております。

西田議員:
 そこが全くおかしくて言った訳ですね。要するに、新規国債が消化されますか?と。市場で買ってもらえなかったら、国債が暴落するとか、金利が上がるとか、こういう話なんですが、今その前に説明しましたね、日銀が。新規発行するのは、買うのは誰か、と言えば、銀行が買うんですよ。銀行が買うんですが、買うための資金は、どっから調達してるかというと、日銀が供給してるんですよ。これ、事実なんですよ。
 で、今、阿久澤さんがおっしゃったね、説明というのはね、こういうことなんですよ。要するに、市場にお金、ま預金残高がありますね。あるんだけれども、そのお金から国債は買い支えてもらってる、と思ってるんですよ民間預金の残高が、今あるからいいけれども、民間預金残高がこれからどんどん高齢化で減ってくるかもしれない、そうなっていった時に、それを買い支えられないじゃないか、と。だから、それが困る、と。こういうことでしょ、阿久澤さん、あなたが言いたいのは?

財務省主計局 阿久澤次長:
 先ほど来のお話の中で、国債発行による財政支出をすればですね、結果としては民間預金が増加をする、というお話でございました。但し、個々の銀行などが、国債を購入する場合、それは採算性だとか、また金利変動リスクを考慮をする必要がございまして、実際にどれだけの国債を銀行は購入するか、これにつきましては、金利の水準などの条件によるものと、このように承知をしております。従って、国債発行がある意味無条件に無制限に行えるということではないと、このように考えております。

西田議員:
 あのー、まずね、一問一答でいきましょう。だから、私が言ってるのは、国債発行したら新規預金が増える、と。これは事実と彼らも認めた。
 国債を買ってるのは、日銀当座預金の話であってですね、それは、日銀が金融政策を実行する為に予め銀行に供給してるお金、それで買ってるんですよ。
 銀行側が新規国債を発行すればですよ、必ず買うんですよ。何で買うか?と言えば、基本的にですよ、準備預金・当座預金というのは、これ金利ついてません。金利ないんですよ。決済用のお金ですから。準備預金と言うのはね。決済用のお金ですから、金利がないんですよ。ブタ積みしても意味がない。意味がないから、そういう有利子の国債が発行されたら必ずそれを買うんです。そちらの方が得ですからね。そういう仕組みなんですよ、これ


7.西田議員、国債買わない訳ないだろ、の前提として日銀当座預金は決済用のお金だから金利がつかない、という話を聞きだす瞬間

西田議員:
 ところが今は、基本的なことを申しましたけど、今は、日銀の金融政策、異次元の金融緩和やっちゃいましたからね。で、銀行の方も、国債を取り上げられてばかりだったらですね、これはたまりませんから、当座預金にも付利、利息が0.1%でしたかね、ついたりしてます。それからある一定以上の当座預金残高になると、今度はマイナス金利になったりね、色々な金融政策上のですね、この利息の付き方マイナスつけたりしてますけども、原則として、日銀に聞きますよ?原則として、日銀当座預金というのは、銀行間取引の決済用のお金ですから、金利はつかないし、新規国債発行すれば必ず買う。だから日銀の金融政策が有効になるんだから。もし民間銀行が国債買わんとかいう話になっちゃったら、日銀の金融政策は全くできなくなっちゃうんで、そこのところしっかり答えてくださいよ。

日本銀行 清水企画局長:
 日本銀行の当座預金は、先生ご指摘の通り、決済等に使われるもの、というふうな存在でございます。現状は大規模な金融緩和のもとで、当座預金残高非常に膨らんでございますけれども、それにつきましては、日本銀行のマイナス金利政策のもとで、マイナス0.1%、0%、それから+0.1%、この3層にわたって金利を付与している、ということでございます。

西田議員:
 私の言ったことが正しい、と言ってる訳ですね。その、まあ、同じこと言ってる訳で。つまり、財務次官が言っていた「財政破綻」とは一体何なのか、と。新規国債が消化されないんじゃないか、というようなこと言ってるんだけれども、そんなことは絶対にない、ということを言ってる訳なんですよ、日銀は。ありえないんですよ。


8.西田議員、信用創造が事実であることを用いて「市場の信任=新規国債の財源が預金」「クラウディング・アウト」という間違った認識をもった財務省を打ち砕く瞬間

西田議員:
 そして、そもそもですよ、デフォルト。国債が償還日来たらですね、その償還ができなくなる、このことデフォルトと言いますけれども、そもそもそれはですね、無い!というのが、財務省の公式見解で、財務省のホームページにもそう書いてます。国債のデフォルトは起きない、ということでいいんでしょ?

財務省主計局 阿久澤次長:
 先生ご指摘の話につきましては、2002年の意見書、ということで格下げを行った外国格付会社にですね、その判断の客観的説明を求めたものでございますが、それはこの中で、財政構造改革をはじめとする、各般の構造改革を真摯に遂行してること、また、日本経済の強固なファンダメンタルズを考えますと、更なる格下げは根拠を欠くこと、としておりまして、こうした財政健全化の取り組みや、当時のマクロ経済環境の中で自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない、としてるものでございます。
 すなわち、この意見書は財政運営に対する信認が損なわれるような事態が生じれば、金利の上昇などを通じて国債の償還など様々な影響が生じる可能性まで否定しているものではない、とこのように認識しております。このため、政府といたしましては、市場の信任を失うような事態が生じないよう、引き続き財政健全化の取り組みを進めていくことが重要である、とこのように考えております。

西田議員:
 頭が固い人っちゅうのはねぇ、こうなんですね。事実を事実として認めないと。
 要するに新規国債発行は日銀が供給している当座預金残高がある限り、必ず買うんですよ。そう言ってるわけ。
 で、市場の信任とか言うけどね、そもそもあなたがたが言ってる論拠になってるのはね、この国債を消化する、新規国債を消化する財源がですよ、預金残高でやる、と。そういう風に思ってる訳ですよ。
 これが実は根本的な間違いなんですよ。そうじゃなくて、それは信用創造そのものですから、国債を発行すれば民間預金が増えるだけの話で、民間預金から調達するんじゃない
 彼らが言ってる話はね、民間預金から調達するから国債を発行してですね、民間預金を吸い上げちゃうと、今度、金利が上がってくるんじゃないかと。つまり、自由に使えるお金がですよ、先に国の方で吸い上げられちゃったら、今度はその市場から、今度民間が借りようと思ったら、お金はここのプールからなくなっちゃってるから金利が上がる。これはクラウディング・アウトと言ってですね、財政出動を少なくしようとかね、財政拡大すると経済が悪くなるという理論に使われる理論なんです、これは。
 ところが、これは理論であって現実はそうじゃない現実はお金を政府が出せばですよ、国債を出せば、お金が市場の方で増えるんですから。全く間違ってるんですよ。これをずっとですね永遠と何十年とやってきてる訳ですよ。

9.西田議員、財務省の間違った認識に基づいた政策が日本の経済を20年以上止めてきた、と信用創造を用いて説明する瞬間

西田議員:
 そして、もう一つ大事なことはですね、今言いましたように、民間企業がお金を借りれば、預金が増える、と言いましたね。同じく政府が国債を発行して財政出動すれば、お金が増える、と言いました。
 じゃあ、お金が減る、というのはどういうことか。というと、これは逆の処理なんですね。つまり、民間がお金を返す、ということですよ。借入金をしない、民間がお金をどんどん返済していった時に預金量が減っていくんです。それが日本で起きてるんですよ。
 御存知のように、いわゆるバブルが崩壊しましたね。平成9年か10年くらいに不良債権処理というのをやりました。一年で二百兆円くらいの債務を返済させたんですよ。一挙に二百兆円のお金が消えたんです。市場から。そうしたらどうなりますか。経済悪くなるに決まってますね。で、そっからずーっと日本は、経済が成長しない病状となってます。で、経済が成長しないから、当然のことながらそこで、いわゆる税収も減りますからね。政府の方は赤字国債を出してですね、凌いでいかなければ仕方なかった。
 で、それがどんどんどんどん積もってですね、ワニの口が開いてる、大変だ大変だ、とこう言ってる訳ですが、問題は世の中全体で要するに負債が増えてるか、ということなんです。
 民間の負債残高というのは、このコロナ禍で、最近ちょっと増えました。しかしそれまでは、20年間ずーっと低い水準のままなんですよ。つまり、信用創造してない。もっと言えば、民間企業は家計も民間企業部門も含めて預金超過なんですよ。お金借りてない、ちゅーこと。お金借りてない、ということは資金が供給されてない、ということなんですよ。そういう状態が20年間続いてるんですよ。そして、政府の方もプライマリーバランスをですね、黒字化しようと、まだ言ってる。プライマリーバランスの黒字化というと、ハッキリ言って、信用創造しない、ということと同じことですよね。国債新規の発行額が減る訳ですからね。
 で、そうなっちゃうと、民間が預金超過してる時に、政府部門もお金を出さない、となったら経済どうなりますか?あっという間にどん底に落ちるんですよ。で、こういうことを、実は残念ながら、アベノミクスで折角経済良くなってきてもですね、なんだかというとプライマリーバランスの方がでてきて、これ財政を締めつけますから。
 民間がどんどんお金を借り出したらいいですよ、使いだしたらいいですよ、そうなってない環境でそういうことをやると、経済は一挙に落ちるんですよ。これが現実なんです。
 なんでこうなったかというと、財務省の、要するに矢野さんだけじゃなくてね、事務次官だけじゃなくて、財務省全体が、自分達は税収の範囲内で予算を組むのが正しいんだ、と思い込んでるからです。
 この思い込みというのは全く間違いでしてね、いわゆる昭和の時代、戦後、高度経済成長ありましたね。この時代というのは、民間がどんどんどんどんお金借りて投資してるんですよ。だから、政府部門がお金を出さなくてもですね、要するにプライマリーバランスがプラスマイナスゼロでやっていけば、つまり、税収の範囲でお金を供給していけば、民間側がどんどん供給していってるから、経済良かったわけ。
 ところが、平成になってバブルが崩壊し、不良債権処理をしてからですよ、民間は預金超過、借入をしてないわけですよ。で、その時に昭和の時代と同じ財政ルールでやっていると、つまり、プライマリーバランスを黒字化させなきゃならない、という話やると、経済落ち込むの当たり前なんですよ。そしてまさに、財務省が言ってる話いうのはね、国家の財政は赤字になったら困ります、民間は勝手にやってください、こういう話で、そうじゃなくて、国家と民間とトータルで見て、お金がちゃんとですね、投資されて使われているのかと、つまり成長路線になっているのかということを見なきゃいけない、とういことなんですよね。
 で、これが間違ったことになってきたのが、まさに信用創造というのがわかっていなかった、と。民間の預金残高の中から自分達の国債は使われている、と。だから、市場もですね、この国債をたくさん使うと、国債の消化ができなくなって、市場の価格に影響するとかいうね、まったく間違った論法を未だに言ってるんですよ。
 阿久澤さんもあなたも、財政検討本部でね、毎週来てくれて今日も来てくれてるんですけども、あなた方が推薦した公述人というか参考人の中で、一人だけまともなことを言ってる人がいた。それは日銀の理事だった早川さんなんですよ。この方は今言ってる信用創造、国債を出せば、民間預金が増えるんだ、と。そのことをハッキリ言いましたけど、他の方は皆わかってないんですよ。財務省と同じように、民間預金の中から国債を消化させてもらってるんだ、というね、間違った論法をしてる。これでは、とんでもないことになりますよ。
 それで、ちょっと時間なくなってきたんで、それぞれ政務三役、最後にまとめて大臣に聞きますが、政務官、副大臣から、今、私の話を聞いて、財政破綻それでもする、と思いますか?一言ずつ答えてください。最後に大臣に聞きます。
 大臣が先言っちゃうとね、他みんな右習え、になっちゃいますから。だから、政務官と副大臣、最後大臣。

高村財務大臣政務官:
 高村正大です。西田先生ありがとうございました。色々勉強になりました。一方でですね、どうしても古い考えと先生が仰いますけれども、ある程度財政規律をしっかりと保っていくことが、国にとっても大切だと、まだ私自身思っております。まだまだ勉強が足りない部分はですね、今後先生から是非ご指導いただければ、と思います。今日はありがとうございます。

大家財務副大臣:
 西田先生とも長い付き合いになって、様々な場面でこの話ご教授頂いてきたところでありますが、やはり日本の財政は厳しいと認識をしております。ですから、しっかりとした信認を損なわないということが大事だと考えております。

鈴木財務大臣:
 あの、今から、6年、もしかしたら7年くらい前かもしれませんが、西田先生から本を頂戴いたしまして、その本を読んだ時の私の率直な印象は、なんか凄く新鮮な衝撃を受けたようなことを、今覚えております。
 今回の矢野次官の寄稿でありますが、あの寄稿をなされた直後から色々な反感共やハレーションがありまして、記者会見などでも、この質問を受けたところでございますけれども、矢野次官からも事前に説明を受けて読ませて頂きました。読んでみてですね、表現なんかにおいて、たとえば政治に対する表現なんかは、こんな表現すんのかな?というような、そういうところはございましたけれども、しかし、寄稿の内容につきましては、今までの政府の方針にですね、基本の部分において反するようなものではないと、まあそのように受け止めているところでございます。
 また、矢野さんからもですね、矢野個人の意見を述べたものである、ということをその際に聞いたこと、そのことを申し添えたいと思います。

西田議員:
 まあ、あの、今日この話を聞いて頂いて、高村政務官、なかなか見どころがありますね。勉強しよう、と。そうなんです。これ、事実を勉強すれば見えてくるんですよ。で、大家さんも勉強して頂きたい、と。鈴木大臣も含め、要するに、私が今言ったこと、日銀呼んで聞いて下さいよ。財務省の言ってる説明と日銀の説明がなんで違うか、と。
 で、財務省は理屈言ってるんです。いわゆる、主流派経済学に今私が言った信用創造の理論はないんですよ。これが恐ろしい話なんですよ。主流派経済学の言ってる理論は、預金を集めたお金で貸してる、と。同じように集めたお金で国債は買ってもらってる、と。こういう理論なんです。これが主流派経済学の理論で、財務省が言ってるのはそれなんですよ。
 ところが、現実は違うんです。現実は、無から有を創っている。このことは日銀始め、金融に関わってる人間だったらですね、常識中の常識。ところがその常識が財務省の中では通じない。というか、通じてしまうと、自分達が今まで言ってきたことがとんでもない嘘話になっちゃうんですよ。
 で、彼らはこれで苦しんでいるんで、別に私も財務省嫌いじゃありませんよ。あの、カワイイ人ばっかりですから。しかし、誤りをちゃんと正してもらわないけないんで、是非、政務三役でですね、今私が言ったことをもう一度勉強する、ということで、ちょっと、その辺をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

鈴木財務大臣:
 7年前に頂戴した本をまた探し出して一度読んでみたいと思います。


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