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ヤバいやつがいた。

ヤバいやつがいた。

渋谷の底の方に奴は居た。
何がヤバかったのか、言語化は未だ上手くできないけれど
とにかくアイツがヤバいことだけは分かった。
気迫と言うのかオーラと言うのか、
そんな目に見えない部分が周りとは際立って異なっていたのだ。

ものすごいスピードで向こう側から「歩いていた」というより「移動していた」ヤバいやつは僕と数センチの近さまで来て、まるで空気中の塵のように僕のことなど気にも留めないで通り過ぎていった。僕は奴の起こしていった爆風を浴びながらあまりのヤバさにこの世の何よりも目を奪われた。でもあと数コンマ見ていたら目が合いそうな気がして、僕は身を守るように急いで目を逸らした。
何が何だか訳が分からなかった。
体格も大きくない奴の生物としての強弱は皆目見当がつかなかったけどとにかくヤバいという情報だけが身体中を駆け巡り、警報アラームを鳴らした。

たぶんあれはテレビで報道されるような大事件を引き起こすか、時代に畝りを打つようなカリスマ的存在のどちらかになるはずだ。
とにかくどちらに転んだとしても極めて極端な宿命を背負いそうな目をしていた。

ここまで長々と書いたが、僕は奴を決して褒めている訳でも崇めている訳でも無い。
ただただ、ただただ怖かったのだ。
渋谷というただでさえカオスな空間で爆速で向かってきた得体の知れない未確認生物は恐怖の対象でしかない。

読者の皆さんも渋谷を歩く時はヤバいやつがいるのでどうか気をつけて欲しい。

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