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小説同人誌が作りたいけど作れない人へその2/印刷にかかるお金が問題編

とりあえず小説を「本」という体裁にしたい場合、最低数千字くらいから可能かな?というのが私の経験から出た答えなんですが、印刷屋さんに頼むにはお金が必要です。

印刷屋さんに頼むとどれくらいかな、という感じで印刷プランを見ると最低でも10冊から価格は数十ページを超えると価格は1万円より大きい額というケースが多いかと思います。

基本的に同人専門の印刷屋さんのほとんどは「イベントで頒布したい」という人のニーズに合わせてプランを組んでいます。そのため「記念に一冊だけ作りたい」という人でも「同人誌印刷の基本としては10冊程度は注文が必要」という前提を理解しておいて下さい。

3.本を作ると決めた場合、まずはお願いしたい印刷屋さんに目星をつけると後がスムーズ

本が作りたい向けの人への体験談の2ページ目に印刷にかかるお金の事を持って来たのは理由があります。それは「お願いする印刷屋さんを決めておいた方が後々作業を進めやすい」からです。

印刷屋さん毎に導入している機材や取り扱いがある用紙が異なってきます。そのため、本にしたいテキストを印刷屋さんに渡す時のルールは印刷屋さん毎に違ってきます。(具体的に言うと原稿のサイズ(紙面に当たるスペース)と余白が何ミリとかいう内容)

よほど特殊な書式でなければ「この書式は○○印刷さんでないと無理」というケースはないはずですが、どうせなら印刷原稿データの設定を始める段階でお願いする所のルールをチェックしてそれに合わせた方が楽だと思います。

4.「装丁に凝りたい」か「予算に合わせたい」かで本の仕様も変わってくる

次に具体的な印刷屋さんの選び方ですが、これを決めるにはまず「どんな見た目の本にしたいか」という自分の希望がはっきりしている必要があります。「特殊な用紙を使ってキラキラした表紙がいい」「カバーは必ず付けたい」「シンプルな仕様でいいから予算抑えめで作りたい」こういう条件をどんどん上げて、自分が作りたい本の形の方向性がはっきりさせていきましょう。

希望がはっきりしたらいよいよ印刷屋さんを探してみましょう。一番いいのは知り合いで小説本を作った事がある人に聞いて見る方法です。小説本の場合、ページ数が大きくなると1冊当たりの単価が大きくなるのでページ数が多い長編小説を本にしたい人の場合、予算制限がある場合は選択肢が少なくなります。

印刷屋さんによっては漫画やイラスト集向きのプランがメインでインクの発色は素晴らしいけれどページ数が多くなると割高になりやすい所、小説向けのプランが色々と充実している所、最小印刷数は多めだけど代わりに値段を抑えてある所、という風に個性があるのでやはり身近な経験者に聞いて見るのがおすすめです。

小説の本と聞くとイメージするのは商業の文庫本かもしれません。厚紙の表紙にツヤのある紙で出来たカバーを巻いたタイプの物が一般的ですが、実は同人誌印刷をしてくれる所全てが必ずしもこの仕様に対応しているわけではありません。文庫本の本体は割安な所に依頼してカバーは単独で印刷してくれる所に頼んで自分で巻く、というスタイルもあったりします。

その辺りも含めて経験者におすすめの所が聞けるのがベターですが、知り合いに小説本を作った事がある人がいない、という場合はまとめサイトさんやTwitterなどをチェックしてみましょう。

上記のリンクはTwitterを「#文字書きがオススメする印刷所さん」で検索したページです。色々な字書きさんが自分の経験からおすすめの印刷所さんのプレゼンをしているので自分に合いそうな所があれば公式サイトで価格をチェックしてみて下さい。「ページは薄めでいいからかわいい装丁の本が作りたい」という人は漫画向けの期間限定プランをチェックしてみるのもおすすめです。

また、イベントで頒布しなくても利用できる割引プランが設定されている所も多いので価格表だけ見て予算オーバーだな…とあきらめる前に「納期が限定される代わりに15%オフ」というような割引フェアがないかチェックしてみましょう。

5.小説向けのプランがある印刷屋さんの例

印刷屋さんを利用する場合する場合、小説向けのプランを利用するのをおすすめします。私自身が本を作った経験がまだ少なく、利用した印刷屋さんの数も少ないので伝聞での情報も含まれますが私の周囲の字書きさんが多く利用している印刷屋さんは以下の通りです。

ポプルス

サイトの説明が細かいので初めて本を作る人向けの印刷屋さん。カバー付き文庫・新書セットあり。小説本デビューはここだった人が多いイメージ

プリントオン

用紙やプランの選択肢が多く「本を作る事を楽しみたい」という人には一番おすすめ。通常だと最低10冊から(確か)の注文受け付けがコロナ終息までを目処に「マイブックキャンペーン」として「一冊からの注文OK」になっているので一度チェックしてみる事をおすすめします。

しまや出版

しまやさんは伝聞での評価ですが「小説向けプランが手厚い」「Wordで入稿できる(Wordをpdfに変換する必要がない)」という二点で初めて小説本を作る人向けとして名前が挙がる所が多い印刷屋さんです。

6.本当に予算を抑えたい場合は受注印刷形態の印刷屋さんを利用する

本を作る場合、ページ数にもよりますが1万から数万円の出費を見ておいた方が確実です。ですがその元手を出すのが痛い、本当に一冊だけ欲しい、という場合は「注文に応じて一冊ずつ印刷→発送」という形式の印刷屋さんをおすすめします。

このタイプの印刷屋さんはイベント対応の印刷屋さんと違って割引プランやデータ入稿の翌日印刷、質問への即時レスポンスのようなスピード対応ができない、多数印刷した時よりは割高となる事もありますが一冊だけなのでかなり分厚い本でも数千円までの予算で済みます。

製本直送.com

A5、30pなら397円とかなりお安く作れます。とりあえず試しに一度「データ入稿して印刷製本してもらう」という体験にもおすすめ。私は使った事がないんですが以前フォロワーさんが使ってみて「良かった」と仰っていた印刷屋さんです。

ライブラ

同人誌のオンデマンド販売をしている印刷屋さんですが必ずしも委託販売しなくても良く、データを登録しても作品は非公開にしておき自分だけが注文可能な状態にできます。この印刷屋さんは「80p以上で文庫または新書」の条件を満たせればページが増える毎の加算料金を割安にしてくれるので「長編で本が分厚くなるため、印刷屋さんに頼もうと思うと何万円もかかる」という人におすすめです。(価格表の一覧はなく、作品登録画面で見積もりができるシステムなので印刷代が知りたい場合は無料ユーザー登録が必要です)

※お金が障壁で本が作れない場合、コピー本という選択肢もあるのですが実際にはインク代が相当にかかったり大型ステープラーの準備や製本のスキルが必要となるので今回は紹介しませんでした。あくまで印刷屋さんに頼んで見たい人むけの体験談です。


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