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詩「落ち葉」

こどもたちが木の下に集まっていた
 
何もないところだった
生きものの姿も見えない
何の音も聞こえない
ただ時々葉っぱが落ちた
 
こどもたちは
その葉っぱを手にとって眺めては
足元へ放った
 
静かだった
誰も動かなかった
ただそれでも少しずつ
こどもの数は増えていった
 
長い時間が経って気がつくと
身動きがとれないほどに
こどもたちが集まっていた
 
そうしてそのうちに
ひとりのこどもが木に登り始めた
すると他の子たちも次々に手を伸ばし
近くの木に登っていった
 
木登りが苦手な子もいたが
得意な子が引き上げたり
下から押したりして手伝った
 
やがて木のてっぺんに
ポツポツと頭が現れた
 
こどもたちは白み始めた空を見て
夜明けが近いことを知った
 
風が吹くと大きく木が揺れた
それが面白くて
こどもたちは笑った
 
皆が木に登り
朝日を待っていた
 
落ち葉は数を増して
森を埋めていった
木も大部分が落ち葉に埋まり
今は先端だけが見えていた
 
葉っぱに包まれると暖かく
こどもたちはうとうととし始めた
まだ木の上にいた子も降りてきて
その心地よさに身を任せた
 
誰もが安らかに眠った
 
その後で、朝日が昇った

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