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UK Post-punk Revival

ポストパンクは、1970年代後半にパンクロックの支配的なサウンドの反動として生まれた音楽ジャンル。アートロック、ファンク、ダブレゲエなどの様々な要素を取り入れた、実験的で前衛的なアプローチが特徴。近年イギリスでは、このジャンルに独自の工夫を凝らしたバンドが登場し、ポストパンクの復活が見られるようになった。近年、注目されているバンドを絡めて近年のUKポストパンクの特徴を紹介していく。
*Cover : IDLES

まず最大の特徴は、角ばったギター・リフを使用することである。これらは反復的で不協和なものであり、緊張感や不安感を生み出すために用いられることが多い。例えば、shameはギザギザのギターラインを使用して、音に緊張感を作り出している。また、IDLESのように角ばったギターリフで攻撃性と対立を表現しているバンドもいる。

そして、リズムの使い方も特徴的で、ファンクやディスコから影響を受けたような、ドライブ感や推進力のあるビートを使用する。Squidはシンコペーションのリズムを用いて音楽に緊張感を生み出している。また、Dry Cleaningはしつこいくらい反復的なビートを使うことで、中毒性のあるサウンドを作っている。

さらに、型破りな曲構成をすることが多いのもUKポストパンクの特徴だ。black midiは、複雑なリズムと型にはまらない曲の構成で、予測不可能な感覚を音楽で表現している。その他、Working Men's Clubは様々なテクスチャーとダイナミクスを駆使することで、曲の中に興奮と緊張感を生み出している。このように、変則的な拍子記号や型破りなアレンジをすることで独自の世界観を作っている。

歌詞については、社会的・政治的な論評をテーマにしていることが多い。このジャンルの多くのバンドは、不平等、資本主義、Brexitといった現在の問題に対する自分たちの見解を表現するためのプラットフォームとして音楽を利用している。Sleaford Modsは自分たちの音楽で社会のあり方に対する不満を表現している。
アイデンティティや帰属意識といったテーマを音楽で表現しているFontaines D.C.もこの手法をとっているバンドだ。

UKポストパンクのもう一つの特徴は、実験的な手法を用いることである。多くのポストパンクのバンドはリスクを恐れず、伝統的なポストパンクとされるものの境界を押し広げる。例えば、Black CountryやNew Roadのように、様々な楽器やテクスチャーを使ってユニークなサウンドを作り出したり、ジャズや電子音楽の要素をポストパンクサウンドに取り入れたSquidも実験的な手法をとっているバンドである。

プロダクションの面では、UKポストパンクは生々しく、DIY的な感覚を持っている印象だ。こ多くのバンドは、大手プロダクションを避け、よりラフで即興的なサウンドを好んでいるだろう。

全体的に、UKポストパンクは、その実験性、社会的・政治的なコメント、そしてDIY制作によって定義されるジャンルである。現在のUKポストパンクバンドは、ファンク、ジャズ、電子音楽の要素をサウンドに取り入れ、このジャンルの境界を押し広げ続けている。角ばったギターリフ、型破りな曲の構成、ドライブの効いたリズムなど、UKポストパンクは挑戦的でエキサイティングなジャンルである。

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