最近聴いてときめく曲について筆を走らせる

最近は空前のシティポップブーム。もう少し続きそうな予感です。
Spotifyのプレイリストでも、たくさん良いバンドが出てきていますね。


僕は両親曰く、乳児のころ「Loveland,Island」を聴かせると騒ぐことなくスヤスヤと眠ってしまったというほど、ここ数年のブームは体が喜ぶ感じなんですが、そんな文脈のミュージシャンで特に聴いている日本のミュージシャンを適当に書き散らしていきたいと思います。批評みたいなことは性に合いませんし、そんな知識も文章力もないので、良いバンドだなあと思っていただけたら。
特にネオソウル、ジャズ、シティポップ、チル、ダブ、エレクトロといったあたりのミクスチャーがお好きな方は刺さってくると思います。


mime「エメラルドグリーンの揺らめき」

先日、BluenotePlaceでのライブに行き初めてライブを体験しました。
BluenotePlaceという空間も最高でしたが、あの空間にmimeのサウンドは抜群にハマっていたように感じます。

mimeはざっくり、ネオソウルやシティポップの枠組みで語られると思うんですけど、その実かなり実験的で、アルバムごとに作り込まれる作風です。ceroのようにマニアック、コンセプチュアルに過ぎず、かといって聴きやすさ全振りのようなポップスでもない。バランスがすごくよい気がします。しかも、全員で作曲をするようですし、創作チームというバンド形態がものすごく僕の性に合っています。Moonchildみたいなかんじが1番伝わりやすいかも。

そんな作風なのは、バンドにベーシストがいないことも要因なのかな、と思います。
ブラックミュージックにおいてベースラインの重要さは言わずもがなです。ベースプレイヤーがメンバーがいないということは、必然的にセッションで曲を作る、ということが難しくなるんですよね。そこからバンドとしてのクリエイティブのスタイルを暗中模索しつつ、いろんなことを試す方向にいけた、っていうのがほんと凄すぎて。

収録アルバムは、通して80sの雰囲気が随所に漂うコンセプトですね。きらびやかなシンセサイザーとゲートリバーヴのスネアドラム。この曲は抑揚の少ないメロディラインとヴォーカルのダブリング、きらびやかなシンセの音色が合わさって、何とも言えず夏の終わり感を抱かされます。この「夏が終わる感」を感じる曲が個人的1番のエモいポイントなんです。

特にサビの後に流れる、芯のあるノコギリ波の音。絶え間なくどっしりと、ゆったりと押し寄せてくる波をイメージさせる大好きなフレーズです。
そのフレーズは最後のサビでボーカルと重なり、今度は追いかけてくるようにアウトロで繰り出されるギターのリフレインは入ります。とてもストレートな甘い音色で、生々しく瑞々しく心をうちます。ヴォーカルもどこか抑揚を収めな印象を受けるので、余計にこのストレートなギターが際立っていて印象的。

あと、別の記事でも書いたport of notesの「more than paradice」もそうですが、この曲にも「Show Me Your Paradice」というフレーズがあって、パラダイス好きが遺憾無く発揮されています。


流線型「恋のラストナンバー」

流線型、堀込泰行とのコラボ良かったですね。上質、上品なポップスに泰行氏の極上のヴォーカルがのっかる作品がよくないわけがない。このアルバムにも、もっとキラーチューンになる曲はたくさんありますが、この曲が1番アガるんです。

イントロから、Steely Danの「Glamour Profession」を彷彿とさせるようなレゲエ風のビート。耳触りは全く異なるのに一発で結びついちゃったのが不思議です。「Glamour Profession」調性を希薄に感じさせるシンセの音色や、テンション全部乗せ、みたいな和音進行を用いています。アルバム「Gaucho」の音質や、ずーっと一定の抑揚ないリズムを刻み続けるドラムも相まってか、どこか無機質なイメージを抱きますね。この曲聴くと、随所に「Steely Danっぽいなあ」と感じてしまう作りがあるんですよ。

淡々とした伴奏にハーモニカのソロを乗せているところとか、「夜が明ける前に連れ出してよ」の部分の進行とか、最後のサビ転調前の展開とか、アウトロで調子が変わるところとか。

これだけ雰囲気のいいポップスなのに、Steely Danの中でもかなり実験的で野心的な曲の雰囲気を感じてしまったところが、僕がいちばん惹かれる理由です。
最近、コンピレーションに収録されてミックス違いもあるので聴き比べてみるのもまた楽し、です。


ぷにぷに電機「ずるくない?」「雨模様」

ぷにぷに電機のたくさんあるコラボの中でも、ダントツでこれが好き。というかkan sanoが好きなだけかもしれない。
ぷに電は、こんなにいろんな人と作っていているのに、どの作品を聴いても、どんなスタイルでも個性が埋もれないし、しかも主張し過ぎずコラボ相手の雰囲気にスッと溶け込めるのがほんとにすごい。個性が埋もれない、っていうのも声がよいとかそれだけの話じゃないんです。何せ曲によって全然歌い方違っちゃうし。

作り手としても、作品を受け止めるシンガーとしても有能きわまりない、というのはご本人の豊富な音楽知識や確固たるバックグラウンドがないとできないことだし、ジャズシンガーとしてのキャリアと、ネットでの音楽活動による卓越したセルフプロデュース能力とコラボレーションが合わさるとこんなすげえ人が生まれるんだ、って思いました。

ずるくない?ですが、もうイントロからkan Sanoでグッと引き込まれます。サンプリングっぽい音色のホンセクのサウンドは、曲にばっちりと溶け込んでいて、いつもお手本に
してます。ホンセクがほしいなーって思って曲に入れると、一本調子になったり、ホーンセクションが曲を支配し過ぎて「そういう曲」になってしまうのです。
サビのリフレインするフレーズが毎回微妙にメロディのニュアンスが違っているのもすごく好き。

ぷに電のもう一つ好きな曲で「雨模様」があるのだけど、こちらは王道な平成、令和のJ-Popという雰囲気でこちらも大好き。

何が好きって、ポップス作りの教材となるべき、シンプルさとお手本にすべき事項の多さ。
イントロのピアノオクターブ奏法の超キャッチーな美メロ、マイナーから気怠くスタートし、Bメロでちょっとアウトしたコードを入れてフックに。サビは2拍のコードチェンジで、スピード感が増してドラマチックに進行していく。ジャジーなピアノソロを挟んで、サビのメロディをリハモナイズしたストリングスで落としながら盛り上げていき、キメを交えた派手に終わるラストサビ。
こういうポップスの美味しいところがたった2分半たらずにギュッと詰め込まれているのは贅沢極まりないです。


今の時代はいっぱいいい曲があり過ぎて時間がいくらあっても足りないね!

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