見出し画像

Webは人を物理的に傷つけることができるのか

この記事は個人の視点で書かれており、まったく客観的ではない信憑性に欠けるものである。科学的に根拠のないことを述べており、単なる仮説を並べているに過ぎない。

ただし、これをもとに、ここから派生する何かを知るキッカケになってもらえたら、この記事の目的は達成される。

(情報に誤りがあれば是非ご一報ください)

ポケモンショック

1997年、アニメ業界はもちろんテレビ業界・映像業界における重大な出来事が起こる。今でも子どもに高い人気を誇るポケットモンスターの地上波のアニメーションで、その放送を観た一定の視聴者が病院に運ばれる事態となった、俗にいうポケモンショックである。

詳細はリンクのWikipediaを見ていただくとして、次のような大勢の視聴者に身体的な影響を与えた。

「アニメ『ポケットモンスター』問題に関する記録」では、各局の同時ネットにより、345万人の視聴者(4 - 12歳)が見ていたと推定している。

この回の放送直後、放送を見ていた視聴者の一部が体調不良を訴え、病院に搬送された。病院に搬送された患者の多くは児童だった。テレビ東京が最終的に把握した患者は約750人になり、そのうち135人が入院した。患者の症状は主に発作様症状、眼・視覚系症状、不定愁訴、不快気分、頭痛や吐き気などである。原因は上記の激しい光の点滅を断続的に見たことにより、光過敏性発作が引き起こされたためとされる。

当時小学生の僕はリアルタイムでこの放送を観ていたが(未だに忘れない、ちょうど友達の家でミニ四駆をいじりたおした後にその友達と食い入るように観ていた)、僕自身には運良く何もなく、その翌日あたりからニュースで騒然としていたのを覚えている。影響が影響だったために、数ヶ月放送自粛をしていことに少なからず寂しさを感じていたはずだ。

改めてWikipediaで出来事を振り返ると、政府による研究機関の発足やNHKと民放連によるガイドライン(アニメーション等の映像手法に関するガイドライン)の策定など、日本にとってはかなり大きな出来事だったことがわかる。当のテレビ東京ではかなり厳しい制限をしているようで、数年後のガイドラインを逸脱した問題に関しては番組担当者と責任者・取締役に懲戒処分をするほどである(資料PDF: 【「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」逸脱について】2006年4月12日テレビ東京 広報・IR部)。

視覚からの刺激による発作

ポケモンショックでは光過敏性発作で、特に原色に近い赤と青の点滅によって視覚からの刺激が強くてんかんを引き起してしまったとされている。他にも強い光の効果や点滅になどによっても引き起こされるらしい。個人的に調べた中で雑に言うと、チカチカした映像などの目に対して大きな刺激によるてんかん発作と認識している(確かなことは信頼ある医療機関の情報や直接医師に聞いてほしい)。

そして調べていく中で、映像(動画・アニメーション)だけが原因にならないこともわかった。ごくごく稀だが、縞模様、水玉模様、格子縞などのパターンでつくられる静止画でも脳波異常を誘発し図形過敏てんかんを引き起こすこともあるそうだ(資料PDF: てんかん研究 症例報告【自己誘発 図形過敏てんかんの1例】)。言われてみれば、縞模様を凝視すると模様が動いているように錯覚する。錯覚だとしても脳には同じような刺激になっていて点滅と変わらないのかもしれない。

てんかんを引き起こすWebコンテンツは存在するのか

さて本題だ。

Webでは静止画はもちろん動画など多種多様なビジュアル表現ができる。映像としても、動画データの再生をはじめ、古くはGIFアニメ、CSS・JavaScriptによるDOMのアニメーション、Canvasの2D表現やWebGLの3D表現。かなり多様化していている。結論から言うと、すべての手法でてんかんを引き起こす映像を作ることができるだろう。

また、スクリーンの状態を時間的に変更されることを映像と定義するならば、スクロールによるページ内の移動も映像になり、その内容や表現によってはてんかんを引き起こすものに成り得る。

とある子育てブログで、テレビを観ていた2歳くらい子がてんかんを起こし後ろに卒倒し、あわや頭を打つところだったという内容があった。この内容を全部信じるわけではないが、もしも仮に、てんかんを引き起こす表現のWebコンテンツがあったとして、それをたまたま見てしまった人が、てんかんを引き起こし倒れることで大事故に繋がったなどと考えると、それは本当に恐ろしい。今までWebは人を傷つけること(精神的問題は別として)はないと思っていたが、可能性はゼロではないようだ。

Webでそれを守るには

1997年以降厳しく映像業界がガイドラインに従って映像を制作しているように、Webでもそういったものはないのかというと、ある。WCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)の達成基準2.3「発作の防止」として策定されている。

しかし、WCAGの認知はまだまだだし、制作側・提供側としてしっかりと守れている状況は少ないので、今後の広がりに期待するしかない。

一方で映像やWebのガイドラインを知らない一般ユーザーでも動画を投稿できるYouTubeでは、コンテンツレーティングによって制限をかけているらしい(もしかするとリンク先自体も情報が古く正しくない可能性がある)。どうやってそれを判断しているのかはわからないが、映像業界ではパカチェック(光の強さや点滅を判定すること)を機械的に行えるので、もしかしたらサーバ上でそれを行って問題ないかどうかチェックしているのかもしれない。他の動画投稿サービスではどうなのか、時間があれば調べてみたいと思う。

Web制作側の人間として

今やポケモンショックは忘れられた事件かもしれない。映像業界やゲーム業界では強いガイドラインがあるみたいなので、もはや常識かもしれないが、Web業界では「パカチェック」なんてセリフはまったく聞いたことがない。関係がないかというとたぶんそうではなく、そういう案件に出会ってこなかったか、そういう案件を知らずにやっていたか、どっちかだ。そして後者の場合、もしかしたら知らず知らずに問題のあるコンテンツをWebに乗せてしまっていたかもしれない。

345万人中の750人だ。0.02%。たったの。

それでも日本中が動いた。20年経って、今の情報の主流はWebになった。テレビよりも、Webに触れている時間の方が圧倒的に多くなった。しかしWebのそれはまだまだ緩い。当時のように事件が起こってから動くでいいのか?

もちろん完全に防ぐことなんてできない。てんかんは、他の五感に対する刺激を受けて起こる場合もあり、明確な原因も特定できていない。

でも、少しでも、ひとりでも、問題が起こらないように努力するべきだと僕は思っている。そしてそれは、まずは、そういうことを知ることが重要だ。

Webやメディアが人に与える影響については、今後もいろいろ調べてみようと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?