自社でもできる!「経費削減」の進め方をプロが語ってみる
このnoteについて
RELATIONS株式会社でコスト削減・組織開発コンサルをしております野口(@yusuke_noguchi5)と申します。
現在、先行きの見えない社会情勢の中で、企業経営への影響が日ごとに増しているかと存じます。そんな中で、改めて経営体質を見直そうと経費削減を考えられている企業様も多いのではないでしょうか。
そこで、経費削減を考えられているみなさまに何か出来ないかと、自社で出来る「経費削減のコツ」について書かせて頂く事にしました。少しでも参考になればと思います。
なぜ経費削減がうまくいかないのか
日々、お客様の経費削減のサポートをさせて頂いておりますが、自社ではなかなかうまくいかない…という話をよく聞きます。そういったケースでよくある理由は、下記の2点です。
1.経費削減の業務まで手が回らない
会社としては優先順位をあげて経費削減に取り組んでもらいたくても、現場では日々のオペレーションに工数が割かれており、現状の業務にプラスの工数となるような仕事は敬遠しがちです。
特に最近は人手不足も進んでおり、人員が確保できずに社員がプラスαの業務に対応している…といったことも増えてきているのではないでしょうか。
経費削減はそう言った理由から、一般的には第二領域(重要だが緊急ではない)に分類されがちです。
2.何の経費をどう削減して良いか分からない。
「経費」と一言で言っても、その内容は様々です。具体的にはまず直接経費と間接経費があります。
例えば原材料費や外注加工費といった「直接経費」は利益に直結するので、どこの会社とどんな取引を結び、どの程度の費用を使っているのかは目処が付きやすいです。しかし一方で、原価に直接関わりがない「間接経費」は、いわば守りの経費です。
何にいくら使っているか、そもそも把握していないケースも多くあります(実際に我々がコンサルタントとして入る時は、この経費科目にこんなに使っているのか、と驚かれることからスタートする事がほとんどです笑)。
しかし、経費削減のための人員を確保でき、対象の経費を決められたとしても、削減はそこからが難しいんです。
経費削減の手段として、「単価を下げる」か「量を減らす」か。さらに具体的にどんな打ち手をとっていくのかなどなど…。経費削減には下記の様に、考えるべき事がたくさんあります。
<単価改善>
(手法) (問題点)
・既存業者と交渉を行う → 誰と交渉する?どうやって交渉する?
・新規業者に切り替える → どこの業者が良いの?誰の許可が必要?
<運用改善>
(手法) (問題点)
・使用量・頻度を変更する → どの位減らせば良い?どう周知する?
・そもそも止める → 不具合起きた時に責任取りたくない。
例えば「コピー機の利用料」を削減したいとします。その際に、カラー印刷をなるべく白黒にする、といった自分達だけで判断が出来るものであればまだ良いです。しかし、例えばとある店舗がコピー機そのものの契約を見直そうと考えたとしても、契約を結んでいるのは本社の部署であることが多く、簡単に手を出す事も出来ません。本部に交渉してくれとお願いしても、「他の事で削減しろ」と相手にされないかもしれません。
こうした事が続くと、わざわざ手間をかけて経費削減するのも面倒だよな…と諦めてしまい、見直しの余地が大きいにも関わらず放置するといった事も起きてしまいます。
トップダウンでいくら「経費を下げろ」と言ってもうまくいかないのはこれが理由です。
経費削減を効率的に行う為のステップ
では、自社で効率的に経費削減をするためにはどうすればよいのでしょうか。実際弊社がコンサルとして入る際は、下記のステップで進めていきます。
〜コスト削減成功までのステップ〜
①経費削減チームを作る
②キックオフを行う
③経費を可視化し、取り組む品目を決める
④達成するまでのプランニングをする
⑤プランニングが実践が出来ているか進捗確認を行う
①経費削減チームを作る
まずは、全社横断の経費削減チームを作りましょう。効果としては、会社全員の経費に対する意識をあげる事が出来ます。
メンバー構成に関しては本部メンバーだけで構成しても良いですし、現場とのバランスを考えるのであれば部署混合で行っても良いと思います。
<注意点>
・人数が多くなるとスピードが落ちますのでプロジェクトメンバーは4〜5名程度が良いと思います。
・参加メンバーは通常業務に加えてプロジェクトを担当すると業務過多になる可能性があります。事前に対象メンバーの業務のバランスを見て担当を決めましょう。
②キックオフを行う
チームメンバーを決めたらメンバー同士の一体感の醸成の為にキックオフを行いましょう。
<キックオフ内容>
・メンバー紹介、顔合わせ
・プロジェクトの内容の確認(どの様に進めるか)
・ミッション(使命)や最終的なゴール(目標・納期)の確認
キックオフで最初にきちんと目的を伝える事・メンバーのモチベーションを上げる事がプロジェクト成功の近道となります。
<注意点>
「経費を○○円下げる」と言う削減目標の共有のみにしてしまうと、「ウチの会社は経営状況が厳しいんだろうか」とネガティヴに捉えてしまうメンバーもいます。経費を下げた後に何を実現したいか、会社をどうしていきたいかのビジョンもセットにして伝える事で、より前向きに主体的に取り組む事が出来ます。
③経費を可視化し、取り組む品目を決める
先ほど書いたように、そもそも現場のメンバーはどんな経費を使っているか把握をしていません。ですのでまずは、自社で使っている経費を可視化した上で、取り組み品目を決めましょう。
取り組む品目の優先順位の付け方としては、下記の図の様に削減効果の大小×着手難易度の高低の組み合わせで考えます。
削減効果の大小は削減する金額の幅が大きそうか少なそうかです。当然支払っている金額が大きければ大きいほど削減効果は大きくなる事が見込めます。削減難易度が高いか低いかの判断としては下記のポイントを抑えると分かりやすいです。
<難易度の判断ポイント>
・着手〜完了までにかかる時間が短いか長いか
・関係者、登場人物が少ないか多いか
・切り替える業者が世の中に少ないか多いか
・しがらみ先であるか否か(取引先が身内など)
経費削減をする上で陥りがちなミスとしては、「削減効果が大きそう」というだけで優先的に取り組んでしまうケースです。蓋を開けてみたらとても時間がかかってしまうものだったり、調整が難しいものだったりして頓挫する事があります。プロジェクト冒頭からつまずいてしまうとモチベーションも下がりますので、効果と難易度の組み合わせでみるようにしましょう。
また、着手する順番としては、A → B or C → D辺りがオススメです。(BとCは正直どちらを先にしても問題ないと思います)
④達成するまでのプランニングをする
取り組み品目が決まったらその経費を削減するまでの道筋をプランニングしましょう。プランニングは下記のステップです。
・目標の設定(いくら下げるのか、いつまでに下げるのか)
・削減手法の決定(単価を下げるのか、運用を変えるのか。)
・アクションの設定(どのような手順で下げるのか)
・担当の設定(誰が何を担当するのか)
上記はあくまで一例ですが、事前にプランニングをしないと思いつきのまま行動してしまい、思った成果に繋がらない事があります。
⑤プランニングが実践が出来ているか進捗確認のミーティングを行う
プロジェクトが始まったら少なくとも月に1回はプロジェクトメンバーで集まるようにしましょう。そこで話すべきことは、進捗共有と次アクションの整理などです。
<注意ポイント>
各々のメンバーが主業務を持っていますので、ミーティングの日時調整は地味に大変な業務だったりします。キックオフ時にミーティングは第2週目の月曜13時から、など固定しておく事をオススメします。
以上が経費削減を行う為に必要なステップとなります。
とはいえ経費削減は難しい。。
今回書かせて頂いたのは、経費削減成功の為のステップでありあくまで初級編。これだけやれば全てが上手くいくという事ではありません。
プロジェクトを進めて行く上では交渉ノウハウが必要ですし、プロジェクトを進める上ではマネジメントスキルも必要になります。
「やっぱりうまくいかないから相談したい」
「どう交渉して良いかわからない」
経費削減のお悩みがございましたらいつでもご相談ください!
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